三井住友カード株式会社が2021年2月にリリースした新たなクレジットカードは、クレジットカードの常識を破る「ナンバーレスカード」。その名の通り、券面にはカード番号・有効期限・セキュリティコードの記載がなく、まさに「クレカの異端児」です。

リリース開始5ヵ月で50万枚を超えるハイペースで申込が殺到している本カード。2021年7月、新たにそのラインナップに「三井住友カード　ゴールド（NL）」が加わることを機に、ナンバーレスカード（NL）ならびに「三井住友カード　ゴールド（NL）」の開発秘話をご紹介します。商品企画開発部の藤原さん、長久保さんに話を聞きました。

◆クレカの異端児「ナンバーレスカード」とは

――「ナンバーレスカード」の開発に関し、藤原さんと長久保さんはどういった立ち位置で携わられたのですか？

藤原：私は商品設計から実際のカード発行まで全体のプロジェクトマネージャーを担当しました。お客様はどんなカードなら利用したいか、そのためにはどういった商品・サービス設計およびシステム開発や社内調整をすべきなのか、各部門との話し合いを幾度も重ねています。

長久保：私は主にプロモーション周りや各種媒体、コールセンター調整など、お客様との 接点の部分を中心に担当しました。当社のコールセンターの部署で働いていたときのお客様とのやり取りの経験を活かしながら、どうすればわかりやすく誤認のないようお伝えできるのか、試行錯誤しています。

――あらためて、2月に出たナンバーレスカード（三井住友カード（NL））についてご紹介をお願いします。

藤原：「ナンバーレス」の名前の通り、これまでクレジットカードに当然のように記載されてきたカード番号・有効期限・セキュリティコードといった決済に必要な情報をカード券面からなくした新しいクレジットカードです。「安心安全」と「利得性の高さ」が特徴ですね。

長久保：安心安全面については、これまで弊社が積み重ねてきた高いセキュリティに加えて、カード表面からカード番号・名前を取り去ったことで、盗み見による不正利用を防止できます。これまで、セキュリティ対策はお客様から見えない部分でしか行われてきませんでしたが、「カード番号が券面からなくなる」という大きな変化は、誰から見てもわかりやすいセキュリティ対策です。

藤原：利得性の高さに関しては、日常使いにフォーカスして機能を検討しました。もっと日常的にクレジットカードでキャッシュレス決済を利用してほしいという思いから、大手コンビニ3社とマクドナルドでの利用で最大5％還元といった「お得」な特典を付けています。

◆高額消費用から日常使いへ。時代の変化が「ナンバーレスカード」を生んだ

――ナンバーレスカードは画期的な新しいカードです。とはいえ、すでに多数の会社からさまざまなクレジットカードが出ている中で、ナンバーレスカードを作ろうと思ったのはなぜなのでしょうか。

藤原：今の時代に合ったクレジットカードを新たな打ち手としたかったためです。もともと、クレジットカードは高額な出費のときに使われることがメインでした。しかし、2018年頃からキャッシュレスブームが起き、クレジットカードの日常利用が増加。数百円単位の買いものでもカード払いをすることが当たり前になりました。

弊社の調査によると、コロナ前後でネットショッピング、ECでのクレジットカード利用がおよそ10％増えていることがわかっています。旅行や飲食が難しくなったことから、決済件数や金額こそ一時期減少しましたが、昨年8月以降は回復。感染予防の観点から、キャッシュレス決済を導入する店舗も出てきたように思います。

また、クレジットカードの他、QRコード決済や交通系ICでの決済など、キャッシュレス決済の種類も多様化。その流れの中で、「何となくカードを使う」のではなく、何が自分にとってお得なのかを調べ、「お得なカードを使う」人が増えてきたのです。

このように、お客様のキャッシュレスの状況が変わった今、弊社が従来より発行しているクレジットカードではニーズに応えきれないと判断し、3年程前から既存カードのリニューアルにも力を入れていました。その延長線に今回のナンバーレスカードの開発があります。

――開発にあたって、重要視されたのはどういった点ですか？

藤原：カード番号をカード券面以外で表示するという対応において、安心して利用できるセキュリティ対策を施しつつ、利便性も落とさない、という点です。セキュリティ対策と利便性、両軸のバランスをどこで取るのか、他部署と幾度も検討を重ねました。2重3重のセキュリティを付けてくれという話もあったのですが、それではお客様にとってかえって手間です。しかし、セキュリティ対策が甘くなるのも本末転倒。そこで、スマホの生体認証を活用できるアプリのみで表示する形を採用しました。2タップでカード情報が確認できるよう、仕様はできるだけシンプルにしました。

――ナンバーレスカードのカード番号は、どうやって調べるのでしょうか。

長久保：専用アプリ「Vpassアプリ」から確認できます。アプリをダウンロードし、カードをお送りするときの台紙に書かれている情報を元に登録していただくと、アプリ上でカード番号をご確認いただける仕組みです。

一方で、アプリで使うクレジットカードという仕組みは初のことですから、お客様へのアナウンスについては試行錯誤を重ねました。2月のリリース当初は「番号はアプリで見られますよ」というシンプルなアナウンスにしていましたが、アプリは家計管理やカード使用通知の受け取りなど、カード番号の確認以外にもダウンロードするメリットがあります。そこで、「アプリをダウンロードしたらこういうメリットがありますよ」という伝え方に変更。お客様の反応が良くなったように感じています。

――お客様の反応はいかがでしょうか。

藤原：SNS等で「これまでお店の店員にカード番号が記載されたクレジットカードを当然のように渡していたが、これ実は危険だったよね」という投稿が見られました。ナンバーレスカードの登場によって、より強度なセキュリティに気づいていただき、今までの常識を見直した安全性が受け入れられたのかなと思いました。

長久保：デザインをお褒めいただくこともありますね。実は、カード表面から番号がなくなったことで、番号の視認性を意識する必要がなくなり、デザインの自由度も上がったんです。2月にリリースしたナンバーレスカード、7月にリリースするゴールドカード共に、裏面にもデザインを施した「両A面」仕様のデザインになっています。

藤原：私にも見分けがつかないくらい、細かい色の調整が行われています。また、「Visa」ロゴは偽造防止でホログラムにし、安全面と高級感を付け加えました。そして、裏面にある磁気テープの色も、通常の黒やシルバーではなく、カード券面の色に合った色を採用しています。実は、この磁気シートの色変更は高度な印刷技術が必要な大変な作業だったそうです。

――大手メディアのヒット予測に入るなど、好調さがうかがえます。

藤原：おかげさまで、これまでに類を見ないハイペースでお申し込みをいただいており、リリース開始5ヵ月で発行枚数50万枚超となりました。一時期はクレジットカードの元となるプラスチックカードの在庫が尽きかけたほどです。そのスピードは今も変わらず、右肩上がりの状態を維持しています。

長久保：別のカードの申込数と比較した際の変化をデータ化していまして、全世代で昨年より1.6倍の申し込みがあることがわかっています。特に30代女性は昨年より2倍以上多いという結果が出ています。

藤原：実はナンバーレスカードのサービス開発時には、「街中での日常使いの際にお得なカード」を一番に考えました。というのも、消費者アンケートの結果、どの年代でも1位2位に「ポイント還元率」「年会費の安さ」がランクインしていたのです。その2点の強化と「日常使い」を軸に、コンビニとマクドナルドで最大5％還元される仕組みを付与。年会費も永年無料としました。

◆7月、ナンバーレスカードに「ゴールドカード」が登場

――先ほどからお話にも挙がっているように、7月にはナンバーレスカードのラインナップにゴールドが登場します。こちらの特徴はいかがでしょうか。

藤原：2月にリリースしたナンバーレスカードの商品スペック（安心・便利・お得）はそのままに、よりお買い物好きな人に合わせたゴールドカードだけの特典をプラスしています。具体的には、大手コンビニ3社・マクドナルドでの利用で最大5％ポイント還元に加え、毎年、年間100万円以上ご利用いただくと、追加で10,000ポイントが還元されます。また、通常年会費は5,500円（税込）必要ですが、一度でも年間100万円以上ご利用いただくと、2年目以降の年会費が永年無料になります。さらに、国内空港ラウンジサービスや最高2,000万円の海外・国内の旅行傷害保険、年間300万円までのお買物安心保険など、一般的なゴールドカードが持つ特典も兼ね揃えています。条件付きではあるものの、年会費永年無料のゴールドカードで、このスペックを持っているカードは他にないと思っています。

また、この「年間100万円のご利用」の算定対象外の取引にはなってしまうのですが、SBI証券の積立投資にこの新しいゴールドカードを使っていただくと、常時1.0％、キャンペーン期間では2.0％が還元されるというメリットもあります。資産運用に関心がある方にも是非お勧めしたいカードです。

――最後に、あらためてメッセージをお願いします。

藤原：2月にリリースしたナンバーレスカードは、老若男女問わず18歳以上の全ての方が安全・便利に使っていただけるカードです。キャッシュレス初心者の方にぜひご利用いただけるとうれしいですね。その中で、「月々9万円以上はキャッシュレスで決済しているな」と思われる方は、ぜひ新しい「三井住友カード　ゴールド（NL）」をご検討いただきたいです。家賃や光熱費など、毎月固定で発生する出費をクレジットカード払いにまとめれば、案外簡単に月9万円に届くかと思います。

長久保：弊社では、キャッシュレス決済戦略の一環で「Have a good Cashless.」と掲げています。この言葉に込められているのは、「キャッシュレスを持ち歩いていただくことで、身軽な毎日を送っていただきたい」という思いです。カード1枚を持ち歩くだけでいいので、物理的に身軽。さらに、何枚ものカードを使い分ける必要がなくなることで、心理的にも身軽になります。

クレジットカードはあくまで手段であり、その目的はお買いものです。ナンバーレスカード1枚があれば、物理的にも心理的にも身軽に、かつお得にお買いものが楽しめる。ショッピングを楽しみたい方に、ぜひ「三井住友カード　ゴールド（NL）」をお持ちいただきたいですね。