J.D. パワー 2024年カスタマーセンターサポート満足度調査℠<金融業界編>

高年層でもオンラインチャネルへの移行が進む一方、満足度は低下

J.D. パワー

 CS(顧客満足度)に関する調査・コンサルティングの国際的な専門機関である株式会社J.D. パワー ジャパン(本社:東京都港区、代表取締役社長:山本浩二、略称:J.D. パワー)は、J.D. パワー 2024年カスタマーセンターサポート満足度調査℠<金融業界編>の結果を発表した。


 本調査は金融業界におけるカスタマーセンターサポートの利用者満足度を調べるもので、金融8業態を対象に、「コールセンター」、「オペレーターによるチャットサポート(有人チャット)」、「自動応答によるチャットサポート(AIチャットボット)」、「メール問い合わせ/問い合わせフォーム」、「FAQ(よくある質問)ページ)」を利用した人を対象に行った。


調査開始以降初めてオンラインサポート利用がコールセンター利用を上回る

 業界全体におけるオンラインサポート*¹ の利用率は年々上昇しており、本年調査では53%と、2021年の調査開始以降初めてコールセンターの利用率(47%)を上回った。オンラインサポートの中では、「FAQ(よくある質問)ページ)」の利用率が26%と最も多く、「自動応答によるチャットサポート(AIチャットボット)」が10%、「オペレーターによるチャットサポート(有人チャット)」、「メール問い合わせ/問い合わせフォーム」がともに9%であった。

 前年調査(2023年10月発表)においては、若年層(20-30代)・中年層(40-50代)のオンラインサポートの利用割合の増加が見られていたが、高年層(60-70代)ではこれまでオンラインサポートへの移行がさほど進んでいなかった。本年調査においては、高年層のオンラインサポート利用は未だ38%と、若年層(65%)や中年層(51%)と比較すると低いものの、2021年の調査開始時より5ポイント増加しており、全年代においてオンラインサポートへの移行が進んでいることが確認された。

*¹「オペレーターによるチャットサポート」、「自動応答によるチャットサポート」、「メール問い合わせ/問い合わせフォーム」、「FAQページ」。


高年層ではオンラインサポート、特に有人チャットの満足度が低下

 本年調査の業界全体の総合満足度は、前年調査から-4ポイントの706ポイント(1,000ポイント満点)となった。コールセンターの満足度は前年と同スコアだった一方、オンラインサポートの満足度は前年比で5ポイント低下した。オンラインサポートの満足度を年代別にみると、特に60-70代で前年比-16ポイントと大きな低下が見られた。中でも有人チャットの満足度の低下幅が最も大きく、前年から37ポイント低下した。

 本調査では、問い合わせ用件の解決に要した労力を聴取し、労力レベルを高負担、中負担、低負担に分類している*²。本年調査では、全体の傾向は前年調査とほぼ変化がなかった一方、60-70代有人チャット利用者では「高負担」と感じた割合が前年比で5ポイント増加し、他のサポートチャネルに比べ最も負担感が高かった。また、利用時の経験としては「問い合わせ開始時の用件の選択/入力は簡単だった、わかりやすかった」、「自分の知識や理解度に応じた説明があった」などの項目で低下がみられ、導入部分でのわかりづらさや利用者自身の経験や理解度に合わない煩雑な説明により、利用者の負担感が増したことが満足度の低下につながったと考えられる。

 高年層を中心としてこれまでコールセンターを利用していた層にとっては、AIチャットボットやFAQの自己解決型のオンラインチャネルと比較し、有人チャットは利用の障壁が低くスイッチしやすいと考えられる。一方、本年調査の高年層に見られるように、有人チャットを利用したものの導入部分や説明のわかりにくさを経験すると低い満足度にとどまり、次回以降カスタマーセンターサポートを利用する際にオンラインチャネル離れが発生してしまう可能性もある。今後、有人チャットを始めとしたオンラインサポートの利用を促進し定着させていくためには、コールセンターを利用した場合と遜色のない水準の、利用者一人ひとりのニーズや理解度に合った顧客体験を提供できるような仕組み作りが求められているといえよう。

*² 高負担は「非常に労力がかかった」と「労力がかかった」の合計、中負担は「やや労力がかかった」と「どちらともいえない」と「あまり労力はかからなかった」の合計、低負担は「労力はかからなかった」と「全く労力はかからなかった」の合計。


J.D. パワー 2024年カスタマーセンターサポート満足度<金融業界編>No.1を発表

総合満足度ランキングは下記の通り。


【全国系銀行部門】(対象5ブランド)

第1位:三井住友銀行(707ポイント)

「利用のしやすさ」、「用件に対し提供された情報や回答内容の適切さ」、「説明の丁寧さ/応対の丁寧さ」の3ファクターで最高評価。

第2位:りそな銀行(704ポイント)

「利用のしやすさ」、「問題の解決や対応に要した時間」の2ファクターで最高評価。

第3位:三菱UFJ銀行(698ポイント)

※三井住友銀行とりそな銀行の「利用のしやすさ」ファクターのスコアは同点。

【ネット銀行部門】(対象6ブランド)

第1位:ソニー銀行(729ポイント)

4年連続の総合満足度第1位。「利用のしやすさ」、「用件に対し提供された情報や回答内容の適切さ」、「問題の解決や対応に要した時間」の3ファクターで最高評価。

第2位:auじぶん銀行(721ポイント)

「説明の丁寧さ/応対の丁寧さ」のファクターで最高評価。

第3位:PayPay銀行(711ポイント)

【対面証券部門】(対象5ブランド)

第1位:大和証券(724ポイント)

「用件に対し提供された情報や回答内容の適切さ」、「説明の丁寧さ/応対の丁寧さ」、「問題の解決や対応に要した時間」の3ファクターで最高評価。

第2位:野村證券(720ポイント)

第3位:SMBC日興証券(717ポイント)

【ネット証券部門】(対象5ブランド)

第1位:auカブコム証券、松井証券(同点、715ポイント)

auカブコム証券は2年連続の総合満足度第1位。「利用のしやすさ」、「用件に対し提供された情報や回答内容の適切さ」、「説明の丁寧さ/応対の丁寧さ」の3ファクターで最高評価。

松井証券は「問題の解決や対応に要した時間」のファクターで最高評価。

第3位:楽天証券(700ポイント)

【生命保険会社部門】(対象11ブランド)

第1位:アフラック生命(755ポイント)

「利用のしやすさ」、「用件に対し提供された情報や回答内容の適切さ」、「説明の丁寧さ/応対の丁

寧さ」、「問題の解決や対応に要した時間」の全4ファクターで最高評価。

第2位:ソニー生命(741ポイント)

第3位:メットライフ生命(728ポイント)

【代理店系損害保険会社部門】(対象4ブランド)

第1位:東京海上日動火災保険(741ポイント)

「利用のしやすさ」、「用件に対し提供された情報や回答内容の適切さ」、「説明の丁寧さ/応対の丁

寧さ」、「問題の解決や対応に要した時間」の全4ファクターで最高評価。

第2位:三井住友海上火災保険(733ポイント)

第3位:損害保険ジャパン(726ポイント)

【ダイレクト系損害保険会社部門】(対象7ブランド)

第1位:ソニー損害保険(760ポイント)

4年連続の総合満足度第1位。「利用のしやすさ」、「用件に対し提供された情報や回答内容の適切

さ」、「説明の丁寧さ/応対の丁寧さ」、「問題の解決や対応に要した時間」の全4ファクターで最高

評価。

第2位:イーデザイン損害保険(747ポイント)

第3位:アクサ損害保険(745ポイント)

【クレジットカード会社部門】(対象11ブランド)

第1位:アメリカン・エキスプレス・インターナショナル(775ポイント)

4年連続の総合満足度第1位。「利用のしやすさ」、「用件に対し提供された情報や回答内容の適切

さ」、「説明の丁寧さ/応対の丁寧さ」、「問題の解決や対応に要した時間」の全4ファクターで最高

評価。

第2位:三菱UFJニコス(714ポイント)

第3位:JCB(710ポイント)

《J.D. パワー 2024年カスタマーセンターサポート満足度調査℠<金融業界編>概要》

年に1回、直近1年以内に金融機関において、商品・サービスに関する困りごと解決や各種問い合わせ、情報

収集でカスタマーセンターサポート*³ を利用した人*⁴ を対象に、利用状況や各種経験、満足度を聴取し明らか

にする調査。今回で4回目の実施となる。


■実施期間:2024年8月上旬~8月中旬 

■調査方法:インターネット調査

■調査対象:金融機関においてカスタマーセンターサポートを利用した人(20歳~74歳)

■調査回答者数:26,870人

全国系銀行部門:3,050人 ネット銀行部門:1,920人

対面証券部門:2,150人 ネット証券部門:2,150人

生命保険会社部門:5,650人 代理店系損害保険会社部門:2,500人

ダイレクト系損害保険会社部門:2,900人 クレジットカード会社部門:6,550人


総合的な顧客満足度に影響を与えるファクターを設定し、各ファクターに関するユーザーの評価を基に1,000

ポイント満点で総合満足度スコアを算出。顧客満足度を構成するファクターは、総合満足度に対する影響度が

大きい順に、「利用のしやすさ*⁵」(28%)、「用件に対し提供された情報や回答内容の適切さ」(25%)、

「説明の丁寧さ/応対の丁寧さ」(24%)、「問題の解決や対応に要した時間」(22%)となっている

(カッコ内は影響度)。

*³「コールセンター」「オペレーターによるチャットサポート」「自動応答によるチャットサポート」

「メール問い合わせ/問い合わせフォーム」「FAQ(よくある質問)ページ)」

*⁴ 既存顧客のみならず、見込み客からの問い合わせ等も含む

*⁵「利用のしやすさ」:問い合わせ先の見つけやすさ、利用できる時間帯、待ち時間、使いやすさなど


*J.D. パワーが調査結果を公表する全調査は、J.D. パワーが第三者機関として自主企画し実施したものです。


【注意】本紙は報道用資料です。弊社の許可なく本資料に掲載されている情報や結果を広告や販促活動に転用することを禁じます。


J.D. パワーについて:

米国に本社を置くJ.D. パワーは消費者インサイト、アドバイザリーサービス、データと分析における国際的なマーケティングリサーチカンパニーです。ビッグデータや人工知能(AI)、アルゴリズムモデリング機能を活用して消費者行動を捉える先駆者であり、消費者に関する鋭い業界インテリジェンスを提供してきました。J.D. パワーは半世紀以上に渡って、顧客とブランド・製品に関わり続け、主要産業における世界の大手企業から、顧客対応戦略の指針として信頼されています。

J.D. パワーは、北米、ヨーロッパ、アジア太平洋にオフィスを構えています。事業内容の詳細については、https://japan.jdpower.com/jaをご覧ください。

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会社概要

URL
https://japan.jdpower.com/ja
業種
サービス業
本社所在地
東京都港区虎ノ門5-1-5 メトロシティ神谷町8F
電話番号
03-4570-8445
代表者名
山本 浩二
上場
未上場
資本金
-
設立
1990年10月