ユニセフ基幹報告書「世界子供白書2024」 日本語要約版公開 脅威にさらされる「2050年の子どもたち」 【プレスリリース】

世界子供白書2024「2050年の子どもたち」-日本語要約版 © 日本ユニセフ協会

【2025年4月17日 東京発】

ユニセフ(国連児童基金)は最新の「世界子供白書」(2024年11月発表)において、2050年に子どもたちを取り巻く世界はどのようなものとなっているのかを予測し、子どもの権利を守るための行動が今取られなければ、未来は危機に瀕する、と警鐘を鳴らしました。この切迫した訴えを一人でも多くの方々に伝えることを目的に、日本ユニセフ協会は「世界子供白書2024」の概要を日本語に翻訳し、このたびホームページ上で発表しました。

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「世界子供白書」は、子どもを取り巻く主要課題をテーマに取り上げた本文と、子どもに関連する主要なデータを各国・地域で比較可能な形でまとめた統計表から成るユニセフの代表的な発行物で、1980年以来発行されています。

 

最新版白書は、「2050年の子どもたち」というタイトルの下、世界を変える3つの大きな要因(メガトレンド)――人口動態の変化、気候危機・環境危機、先端技術――が2050年の子どもたちの生活にどのような影響を与えるかを分析しています。

 

メガトレンド1:人口動態の変化

2050年代は、世界の子どもの人口は現在の水準とほぼ同様の23億人程度で推移すると予測されていますが、子どもの占める割合は世界のどの地域でも減る見込みで、アフリカでは40%を、東アジアや西欧では19%を下回る見通しです。人口構成の変化は機会と課題をもたらし、子どもへの支援を含む社会サービスの拡大が見込まれる国々がある一方で、高齢者へのニーズとのバランスを図らなければならない国々もあります。

ユニセフがSTEM教育(科学、技術、工学、数学)を支援しているジャンム・カシミール準州のにある高校ので、笑顔の生徒たち(インド、2024年11月30日撮影) © UNICEF/UNI715549/Nazir

メガトレンド2:気候危機・環境危機

気候・環境危機はすでに切迫した状況にあり、世界の子どものほぼ半数にあたるおよそ10億人が、気候災害や環境災害のリスクが高い国々で暮らしています。脅威は世界中で深刻化しており、このままでは、2000年代と比較して極端な熱波にさらされる子どもの数は最大8倍に、極端な河川洪水にさらされる子どもの数は3.1倍に、極端な山火事にさらされる子どもの数は1.7倍へと増加する見通しです。

大洪水の被害を受けたソマリ州で、休校となっている学校の再開を待ち望む9歳の女の子(エチオピア、2023年12月6日撮影) © UNICEF/UNI485924/Pouget

 

メガトレンド3:先端技術

人工知能(AI)、ニューロテクノロジー、次世代再生可能エネルギー、画期的なワクチン開発などの先端技術は、子どもたちの将来を良いものにする可能性があると同時に、子どもがさまざまなリスクにさらされる可能性も包含しています。国や地域によってはデジタル化がもたらす機会を利用できない子どももいるため、不平等が悪化する恐れも指摘されています。

カッサラ州の国内避難民キャンプで、デジタル機器を使って学習ををする子どもたち(スーダン、2024年2月28日撮影) © UNICEF/UNI533203/Elfatih

白書はこのような分析を背景に、より良い未来のための行動を起こした場合、現状維持で進んだ場合、行動が遅滞した場合のそれぞれのケースによってどのような未来がやってくるのかの道筋を提示しています。

 

このたび公開した日本語要約版では「現状維持」の場合の道筋を示し、現在の傾向が継続することによるリスクと、子どもたちの将来をより良くするチャンスのある領域を明らかにしています。

 

また、各国がメガトレンドに対処する際は、あらゆる戦略、政策、行動において、子どもの権利を中心に据えることが重要であるとし、以下に取り組むよう呼び掛けています。

 

  • 教育、医療、子どもに配慮したインフラへの投資を強化し、変化する人口構成に適応する。具体的には、すべての子どもが質の高い教育と医療を受けられるようにし、子どものニーズに対応した持続可能でレジリエントな都市環境を整備する。

  • 再生可能エネルギーへ投資し、温室効果ガス排出量削減のための解決策を推進し、気候変動に適応できるインフラを強化するなど、気候変動への対応と持続可能な開発を国の政策に組み込む。

  •  デジタル格差を解消し、すべての子どもが安全なデジタル環境にアクセスできるように、 インターネット接続の提供、デジタルリテラシーの向上、子どもをオンラインの危険から守るための規制を導入する。

 

白書は、国や地域別の子どもの人口、死亡率、保健・栄養・教育・水と衛生などに関する指標をはじめとする一連の統計も掲載しています。日本語版ではすべての統計を翻訳・掲載しており、世界の子どもの現状およびユニセフの取り組みの進捗状況などの把握に、また学生の皆さまの「調べ学習」などにも役立てていただけます。

 

日本ユニセフ協会広報・アドボカシー推進室室長の中井裕真は次のように述べています。「日本は、今回白書が提示した3つの課題を克服し、克服のための道筋を見つけてきた国です。60年代から70年代に、とても深刻だった公害を克服しました。世界に先駆けて携帯電話をインターネットに繋げた日本は、デジタル世界で起きている問題への取り組みも世界に先駆けて始めた国の一つです。そして何より、近年は、国や自治体はもちろん、多くの企業や個人の皆さまも、いろいろな場面で『こどもまんなか』を意識されています。そんな日本だからこそ、日本のみならず世界が進むべき道を示すことができるのではないでしょうか? 多くの方々、特に日本に住む子ども・若者が『未来のために何ができるか?』を考えるきっかけになればとの思いをもって、日本語版を制作いたしました」

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■ 「世界子供白書2024」日本語版は以下のURLでご覧いただけます。

https://www.unicef.or.jp/sowc/ 

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■ ユニセフについて

ユニセフ(UNICEF:国際連合児童基金)は、すべての子どもの権利と健やかな成長を促進するために活動する国連機関です。現在約190の国と地域※で、多くのパートナーと協力し、その理念をさまざまな形で具体的な行動に移しています。特に、最も困難な立場にある子どもたちへの支援に重点を置きながら、世界中のあらゆる場所で、すべての子どもたちのために活動しています。ユニセフの活動資金は、すべて個人や企業・団体からの募金や各国政府からの任意拠出金で支えられています。(https://www.unicef.org )

※ユニセフ国内委員会(ユニセフ協会)が活動する32の国と地域を含みます

 

■ 日本ユニセフ協会について

公益財団法人 日本ユニセフ協会は、32の先進国・地域にあるユニセフ国内委員会の一つで、日本国内において民間で唯一ユニセフを代表する組織として、ユニセフ活動の広報、募金活動、政策提言(アドボカシー)を担っています。(https://www.unicef.or.jp )

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会社概要

公益財団法人日本ユニセフ協会

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URL
http://www.unicef.or.jp
業種
官公庁・地方自治体
本社所在地
東京都港区高輪4-6-12 ユニセフハウス
電話番号
03-5789-2016
代表者名
赤松良子
上場
未上場
資本金
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設立
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