気候変動の影響を受ける中東・北アフリカの子どもたち~COP27開催国エジプト、「子どもの気候危機指数」最も高く【プレスリリース】

ユニセフ、COP27を前に報告書発表

公益財団法人日本ユニセフ協会

ファイユーム州の村で、自宅に設置された水道を使う子どもたち。エジプトは年間約70億㎥の水不足に直面している。(エジプト、2022年1月撮影) © UNICEF_UN0639362_Emadファイユーム州の村で、自宅に設置された水道を使う子どもたち。エジプトは年間約70億㎥の水不足に直面している。(エジプト、2022年1月撮影) © UNICEF_UN0639362_Emad

【2022年10月30日 アンマン(ヨルダン)】

特にエジプトに焦点をあててユニセフ(国連児童基金)が行った、中東・北アフリカ地域における「子どもの気候危機指数(CCRI)」の報告によると、この地域の多くの国の子どもたちが気候変動の影響に対して脆弱であることがわかりました。

11 月にエジプトで開催されるCOP27(国連気候変動枠組条約第27回締約国会議)を前に、気候変動がエジプトの子どもたちやその家族に与える影響について、中東・北アフリカの他の国と比較しながら考察した本報告書によると、「気候・環境ショックへの曝露(*1)」に関して、エジプトは「極めて高いリスク」のカテゴリーに分類され、指数スコアは10点中7.3点で、この地域で最も高いことが明らかになっています。エジプトは、気候や環境によるショックを大きく受けており、例えば、推定530万人の子どもたちが熱波にさらされています。エジプトの平均気温は、過去 30 年間で 10 年ごとに 摂氏0.53 度上昇していて、気候関連の7つのハザードのうち4つで、地域のトップ3に入っています。

中東・北アフリカでは、4カ国(*2)の子どもたちが気候変動の高リスクから超高リスクに直面しています。例えば、2021年には、約8,600万人の子ども(0~17歳)と3,400万人以上の若者(15~24歳)がこれらのリスクに直面しています(*3)。これらの国々では、緊急の緩和・適応策が取られなければ、2050年までに1億300万人以上の子どもと5,350万人以上の若者が、気候変動の影響に対してさらに脆弱な状態に陥る可能性が高い(*4)ことが示されています。
 

ファイユーム州の村に水道が設置される前は、子どもたちは一日の終わりにこの用水路で、食器を洗っていた。(エジプト、2022年1月撮影) © UNICEF_UN0639394_Emadファイユーム州の村に水道が設置される前は、子どもたちは一日の終わりにこの用水路で、食器を洗っていた。(エジプト、2022年1月撮影) © UNICEF_UN0639394_Emad

また、エジプトは「気候・環境ショックに対する脆弱性」に関する指数が3点で、「低・中リスク」 のカテゴリーに分類されています。これは、水、衛生設備、保健医療、栄養、教育など、子どもにとって不可欠なサービスの提供状況と質が地域の平均よりも総じて高く、エジプトの子どもたちの脆弱性が下がっていることを示しています。基礎的なサービスを十分に利用できる子どもたちは、脆弱性が低いだけでなく、気候変動に対してより柔軟に対応でき、適応力が高い傾向が強いのです。

気候変動という課題に直面し、地域の国々は様々な対応策を講じてきました。エジプトを例に挙げると、国内外において、気候変動に取り組み、その影響を緩和するためのコミットメントを強化しています。また、エジプトは長年にわたり、最も脆弱な家庭や最も貧困な地域に焦点をあて、子どもたちの心身の健康に投資してきました。

この地域における気候危機の影響は極めて懸念されるものですが、行動を起こすチャンスはまだあり、未来に希望を抱ける余地もあります。子どもや若者を守るため、重要な社会サービスを気候変動に適応させ、気候変動教育を行い、彼らの声を聞いて行動に移し、気候変動に関する資金調達・政策・資源配分において彼らを優先させるなど、今すぐ行動することが必要です。

*1 「子どもの気候危機指数」の第1の軸。もう1つの軸は、気候や環境のショックやストレスに対する子どもの脆弱性をとらえるもの。
*2 エジプト、ジブチ、イエメン、スーダン
*3 国連経済社会局(UNDESA)「World Population Prospects 2022(世界人口予測2022)」
*4 ユニセフ「The Coldest Year of the Rest of Their Lives, 2022(残りの人生で最も寒い年 2022年)」

■注記:
2021年に発表された世界の「子どもの気候危機指数」は、子どもが複数の気候・環境ショックやストレスにさらされていることを捉えるための、マルチショックモデルに基づく複合指数です。この指数は、気候関連や環境関連のショックやストレスの中で、子どもの困窮の原因となり得る側面に着目し、子どもの心身の健康に関連する様々な分野を対象としています。
この指数は、2つの軸にまたがる一連の指標に基づいて算出されます。
第1の軸は、どの程度気候や環境の危険、ショック、ストレスに子どもがさらされているかを測定します。
第2の軸は、気候や環境に関するショックやストレスに対する子どもの脆弱性を測定するものです。
 

 

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■ ユニセフについて
ユニセフ(UNICEF:国際連合児童基金)は、すべての子どもの権利と健やかな成長を促進するために活動する国連機関です。現在約190の国と地域※で、多くのパートナーと協力し、その理念を様々な形で具体的な行動に移しています。特に、最も困難な立場にある子どもたちへの支援に重点を置きながら、世界中のあらゆる場所で、すべての子どもたちのために活動しています。ユニセフの活動資金は、すべて個人や企業・団体からの募金や各国政府からの任意拠出金で支えられています。 https://www.unicef.or.jp/
※ ユニセフ国内委員会(ユニセフ協会)が活動する33の国と地域を含みます

■ 日本ユニセフ協会について
公益財団法人 日本ユニセフ協会は、先進工業国33の国と地域にあるユニセフ国内委員会のひとつで、日本国内において民間として唯一ユニセフを代表する組織として、ユニセフ活動の広報、募金活動、政策提言(アドボカシー)を担っています。 https://www.unicef.or.jp/

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業種
官公庁・地方自治体
本社所在地
東京都港区高輪4-6-12 ユニセフハウス
電話番号
03-5789-2016
代表者名
赤松良子
上場
未上場
資本金
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設立
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