世界水週間(8/23~8/27):9割の子どもたちが高い水ストレス~6,600万人が基本的な衛生設備持たず【プレスリリース】

国内避難民キャンプで、水容器などの支援物資を受け取った7歳のリームさん。(イエメン、2021年6月撮影) © UNICEF_UN0486562_Hayyan国内避難民キャンプで、水容器などの支援物資を受け取った7歳のリームさん。(イエメン、2021年6月撮影) © UNICEF_UN0486562_Hayyan

【2021年8月22日 アンマン(ヨルダン) 発】

中東・北アフリカ地域に住む子どもたちの10人のうち9人近くが、水ストレス*の高い、あるいは極めて高い地域で生活しており、健康、栄養、認知的発達、将来の生活に深刻な影響を受けています。同地域は、世界で最も水不足の地域であると言われています。世界で最も水ストレスの高い17カ国のうち、11カ国がこの地域にあります。ユニセフ(国連児童基金)の新しい報告書『枯渇していく水:中東・北アフリカ地域の子どもたちに水不足が与える影響(原題:Running Dry: The Impact of Water Scarcity on Children in the Middle East and North Africa)』によると、この地域では約6,600万人が基本的な衛生設備を持っておらず、下水が適切に処理されている割合は非常に低いとされています。

世界水週間に際して発表された本報告書では、中東・北アフリカ地域における水不足の背景にある主な要因として、農業需要の増加や帯水層を利用した灌漑農地の拡大などが挙げられています。世界全体では、水使用量の平均70%を農業が占めていますが、この地域においては80%を超えています。また、さらなる要因としては、特にシリア、イエメン、スーダンでの紛争、農村部から都市部への移住、人口増加、不適切な水管理、水インフラの劣化、管理・運営の問題などが挙げられます。

ユニセフ・中東・北アフリカ地域事務所副代表のバートランド・バインベルは「水不足は、子どもたちやその家族に健康や栄養面で深刻な影響を与えています。また、紛争や人々の移動の原因にもなっています」と述べました。「このような状況下で、紛争の当事者たちが水インフラを標的にすることは、ますます受け入れることができません。水インフラへの攻撃は止めなければなりません」

紛争や地域の経済・政情不安により、トラック輸送を含む非常用水源への需要が高まり、地下水はどんどん枯渇しています。
 

エチオピアとスーダンの間を流れる川で水を汲む男の子。(スーダン、2020年11月撮影) © UNICEF_UN0403214_Abdalkarimエチオピアとスーダンの間を流れる川で水を汲む男の子。(スーダン、2020年11月撮影) © UNICEF_UN0403214_Abdalkarim

水不足の唯一の原因ではありませんが、気候変動によって農業に必要な雨が少なくなり、塩水が淡水の帯水層に移動したり、汚染濃度が高まったりすることで、蓄えている淡水の質が低下しています。

ユニセフ・中東・北アフリカ地域事務所水と衛生アドバイザーのクリス・コーメンシーは「この地域の多くの国では、子どもたちは学校に行ったり、友達と一緒に遊んだり学んだりする代わりに、水を汲むためだけに長距離を歩かなければならないことが増えています」と述べています。

ユニセフは、現地パートナー、政府、市民社会、民間部門に対し、中東・北アフリカ地域における水源の脆弱性に対応する以下の取り組みを支援します。
  • 水と衛生設備を利用するという個々の人権を、ほかの目的での水利用によって損なわれたり、紛争下で水インフラが標的となったりすることなく、維持する。
  • 地下水の過剰取水、水量計算、データ分析などに関し強力な国の政策・規制システムを用いて水不足に対応し、実現可能で強固な環境を作る。
  • 市民社会、特に変革の担い手である若者と協力して、水の価値や水の保全に取り組む。
  • 気候変動対応計画を開始し、水不足を優先事項として組み込み、水不足に対応するために十分な国家予算を割り当てる。
  • 主要な省庁(水、農業、エネルギー、金融など)と各分野のアクターの間に調整グループを作り、政策の改訂や技術力の向上を支援する。
  • 老朽化したインフラを改良し、持続可能な運営を行い、水の浪費を削減するために、規制当局、民間事業者、国の水道事業者など、水分野の主要アクターの能力向上を支援する。

*水ストレス:一定期間の利用可能な水量に対して、水の需要がかなりの割合を占める場合や、水質の低さにより水の利用が制限される場合に発生する。

* * *

■ ユニセフについて
ユニセフ(UNICEF:国際連合児童基金)は、すべての子どもの権利と健やかな成長を促進するために活動する国連機関です。現在約190の国と地域※で、多くのパートナーと協力し、その理念を様々な形で具体的な行動に移しています。特に、最も困難な立場にある子どもたちへの支援に重点を置きながら、世界中のあらゆる場所で、すべての子どもたちのために活動しています。 http://www.unicef.or.jp/
※ ユニセフ国内委員会(ユニセフ協会)が活動する33の国と地域を含みます
※ ユニセフの活動資金は、すべて個人や企業・団体からの募金や各国政府からの任意拠出金で支えられています

■ 日本ユニセフ協会について
公益財団法人 日本ユニセフ協会は、先進工業国33の国と地域にあるユニセフ国内委員会のひとつで、日本国内において民間として唯一ユニセフを代表する組織として、ユニセフ活動の広報、募金活動、政策提言(アドボカシー)を担っています。 http://www.unicef.or.jp/

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会社概要

公益財団法人日本ユニセフ協会

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業種
官公庁・地方自治体
本社所在地
東京都港区高輪4-6-12 ユニセフハウス
電話番号
03-5789-2016
代表者名
赤松良子
上場
未上場
資本金
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設立
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