教育危機:学校閉鎖、いまも6億人に影響~アジアでも8,000万人が遠隔教育受けられず【プレスリリース】

クウィル州に住むネルビ―さんは、学校が休校になってもラジオを通して勉強を続けることができ、学習意欲が高まった。学校が再開された後もリスニングクラブに通っている。(コンゴ民主共和国、2021年5月撮影) © UNICEF_UN0473536_Mulalaクウィル州に住むネルビ―さんは、学校が休校になってもラジオを通して勉強を続けることができ、学習意欲が高まった。学校が再開された後もリスニングクラブに通っている。(コンゴ民主共和国、2021年5月撮影) © UNICEF_UN0473536_Mulala

【2021年7月27日 ジュネーブ 発】

世界各地で学校閉鎖が続いている影響について、国連の定例記者会見においてユニセフ(国連児童基金)広報官のジェイムス・エルダーが報告した概要は下記の通りです。

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北半球の学校が夏休みに入っている一方で、本来は休みではない国々においても続く学校閉鎖によって、いまだに6億人以上の子どもたちが影響を受けています。

アジア・太平洋地域では、ほぼ半数の国で、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック中に200日以上も学校が閉鎖されています。
 

アルタベラパス県(Alta Verapaz)の自宅で勉強する11歳のマリアさん。2020年に学習が中断されたが、ユニセフの支援と先生の家庭訪問のおかげで再び教育を受けることができた。(グアテマラ、2021年2月撮影) © UNICEF_UN0486734_アルタベラパス県(Alta Verapaz)の自宅で勉強する11歳のマリアさん。2020年に学習が中断されたが、ユニセフの支援と先生の家庭訪問のおかげで再び教育を受けることができた。(グアテマラ、2021年2月撮影) © UNICEF_UN0486734_

ラテンアメリカ・カリブ海地域では、過去最長の休校期間を経て、一部は再開したものの、18の国と地域ではまだ閉鎖、または一部閉鎖されています。

また、最新の推計によると、驚くべきことに東部・南部アフリカでは、学校に通うべき子どもたちの40%が学校に通っていません。10人に4人です。

この地域では、最近のCOVID-19の急増により、年の途中で学校が再閉鎖されるケースが見られ、学校閉鎖や、再開しても戻ってこられなかったために、3,200万人以上の子どもたちが学校に通っていない状況であると推定されています。これに加えて、パンデミック以前から学校に通っていなかった子どもたちが3,700万人いるとみられます。

教育、安全、友人、食料が、不安、暴力、10代の妊娠に取って代わられているのです。

ウガンダを例にとると、昨年3月から今年6月までの間に、10〜24歳の若者の妊娠が20%以上増加しています。子どものヘルプライン(電話相談)は、3桁の増加を見せています。
 

南スラウェシ州の自宅で読書をする15歳のマーラさん(仮名)。休校によりオンライン学習に切り替わった中、男性より結婚の申し込みがあったが、勉強を続けるために断った。(インドネシア、2021年4月撮影) © UNICEF_UN0474036_Ijazah南スラウェシ州の自宅で読書をする15歳のマーラさん(仮名)。休校によりオンライン学習に切り替わった中、男性より結婚の申し込みがあったが、勉強を続けるために断った。(インドネシア、2021年4月撮影) © UNICEF_UN0474036_Ijazah

そして、世界の少なくとも3分の1の子どもたちにとって、遠隔学習は手の届かないものとなっています。ユニセフの推計によると、東アジア・太平洋地域では8,000万人以上の子どもたちが学校閉鎖中に遠隔学習を受けることができませんでした。東部・南部アフリカでは、ウガンダの場合学校

閉鎖日数が306日で、家庭でのインターネット接続率が0.3%と最も低く、次いで南スーダンの学校閉鎖日数が231日で、こちらも家庭でのインターネット接続率0.5%以下となっています。

南アフリカ共和国では、学校が閉鎖されたことにより、過去16カ月間で40万人から50万人の子どもたちが退学したと報告されています。

世界銀行の報告書によると、長期的に見たときこの世代の子どもたちは10兆ドルもの収入を失うと推計されています。

世界中の指導者たちが、難しい選択をしばしば迫られていることは認識していますが、学校は最後に閉鎖され、最初に再開されるべきです。学校は、感染拡大の主な要因ではありません。子どもたちや若者が学校に行かないことで被る損失は、2度と取り戻せないかもしれないのです。

ユニセフは、教育分野において5つの行動を呼びかけています。
  1. 学校はできるだけ早く再開すべきです。学校の再開は、すべての教師と生徒のワクチン接種を待ってはいられません。世界的なワクチン不足の中で、最前線で働く人々や、重症化や死亡のリスクが最も高い人々へのワクチン接種は、引き続き優先されるべきです。
  2. 政府とドナーは教育予算を守らなければなりません。
  3. 学校が再開される際には、COVID-19以前に既に学校に通っていなかった子どもたちにも入学の機会を与える必要があります。そのためには、経済的な障壁を取り除き、学習資材を提供し、入学要件を緩和し、学校教育と非公式教育の両方で柔軟なプログラムを提供することが必要です。年齢に関係なく、新入生全員を入学させることは、重要な戦略です。国によっては、政府関係者や学校関係者が一軒一軒訪問して、すべての子どもたちを入学させています。また、妊娠中の女の子の登校を禁止するような政策を改め、妊娠中の女の子や若い母親が学校に戻れるようにする必要があります。
  4. 最も弱い立場にある人々への現金給付支援を増やす必要があります。これには、国際金融機関の資金、ドナー国政府の政府開発援助を通じた支援などを資源とした、世界的な資金調達制度を通じた融資の拡大が必要です。
  5. このパンデミックを終わらせるために、私たちはできる限りのことをしなければなりません。どこでもワクチンを入手できるようにすることはその第1歩です。世界保健機関(WHO)、GAVIアライアンス、感染症流行対策イノベーション連合(CEPI)が主導し、ユニセフを実施パートナーとするCOVAXは、ワクチンの公平な分配への道筋を示すものです。しかし、COVAXへの供給はまだ不十分です。

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■ 新型コロナウイルスに関するユニセフの情報はこちらからご覧いただけます。
特設サイト: https://www.unicef.or.jp/kinkyu/coronavirus/
COVAX情報ページ: https://www.unicef.or.jp/kinkyu/coronavirus/covax/

■ ユニセフについて
ユニセフ(UNICEF:国際連合児童基金)は、すべての子どもの権利と健やかな成長を促進するために活動する国連機関です。現在約190の国と地域※で、多くのパートナーと協力し、その理念を様々な形で具体的な行動に移しています。特に、最も困難な立場にある子どもたちへの支援に重点を置きながら、世界中のあらゆる場所で、すべての子どもたちのために活動しています。 https://www.unicef.or.jp/
※ ユニセフ国内委員会(ユニセフ協会)が活動する33の国と地域を含みます
※ ユニセフの活動資金は、すべて個人や企業・団体からの募金や各国政府からの任意拠出金で支えられています

■ 日本ユニセフ協会について
公益財団法人 日本ユニセフ協会は、先進工業国33の国と地域にあるユニセフ国内委員会のひとつで、日本国内において民間として唯一ユニセフを代表する組織として、ユニセフ活動の広報、募金活動、政策提言(アドボカシー)を担っています。 https://www.unicef.or.jp/

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会社概要

公益財団法人日本ユニセフ協会

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業種
官公庁・地方自治体
本社所在地
東京都港区高輪4-6-12 ユニセフハウス
電話番号
03-5789-2016
代表者名
赤松良子
上場
未上場
資本金
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設立
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