横浜で白いサギが増加中?こども1万人の調査で判明
こども「いきいき」生き物調査2024調査結果
横浜市の環境科学研究所では、毎年市立小学校の小学生を対象に、家や学校の近くで見つけた生き物を報告してもらう調査を実施しています。
2024(令和6)年は、164校、10,188人の小学生が回答し、水辺の鳥である白サギの確認率が増加していることなど、今後の生物多様性保全に資する貴重な情報を得ることができました。
調査は今回で11回目となり、参加児童数はのべ12万人を超えました。
■調査方法
横浜市立小学校の5年生(約29,000人)に調査票を配布し、過去1年間に「家や学校の近く」で見つけたり、鳴き声を聞いたりした生き物に対して○をつけてもらいました。
■調査結果
学校ごとに、対象の生き物を見つけた人の割合(以下、確認率)を集計し、その情報をもとに市内全域における確認率の高低を色の濃淡で表示しています。
白サギの確認率は2015年の23%から、2019年の26%、今回の32%と増加傾向にあります。
さらに確認率が高いことを示す色の濃い範囲が拡がっており、こどもが白サギを見かける機会が増えているようです。
■白サギが増えた?
白サギは白いサギの総称であり、横浜市内に最も多いのはコサギ、次にダイサギと考えられています。いずれも在来種で、主に魚などを食べますが、食べるエサの大きさや利用する環境には違いがあると考えられています。コサギは全国的に減少傾向ですが、NPO法人バードリサーチの調査では、東京都心部では分布が拡大傾向にあるといいます。原因はわかりませんが、大きな河川では減り、小さな河川では変化がない、または増えているとのことです。
過去(1987-1988年、1991年)に横浜市が行った調査では、白サギの生息が確認された地点は減少傾向にあり、水田などのエサ場や営巣できる山の減少が原因と考えられていました。しかし、2015年から今回(2024年)にかけての調査では、白サギの確認率が上昇しています。市内河川の水質改善や市街地での水辺環境整備により白サギが増えた可能性があり、今後の変化に注目です。
本調査は地域の自然や生き物への関心を高めてもらうこと、生物多様性保全に資する基礎データを取得することを目的に行っています。
そのため、調査対象とした9種類の生き物も、分類(同定)のしやすさに配慮しながら、市内の自然環境を特徴づけるもの、減少又は増加傾向にあるものなどを選定し、年ごとに種類を変えてローテーションさせています。
確認率は観察場所へのアクセスのしやすさなど、さまざまな要因により変動し、必ずしも生き物の生息密度を表すものではありません。調査は長期的な視点での解析・考察が重要であり、来年以降も対象とする生き物の種類を変えながら継続実施する予定です。
▼その他くわしくは、横浜市ウェブサイト『こども「いきいき」生き物調査』に掲載しています
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