中東・北アフリカ:新型コロナで深まる食料危機ーユニセフ、FAOなど警鐘【プレスリリース】

Covid-19の影響が続き、中東・北アフリカ地域を襲う食糧危機が悪化する可能性が高まっている。© UNICEF_MENACovid-19の影響が続き、中東・北アフリカ地域を襲う食糧危機が悪化する可能性が高まっている。© UNICEF_MENA

【2020年5月27日 アンマン(ヨルダン)/カイロ(エジプト) 発】

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)によって危機が深まる中東・北アフリカ地域における食料問題について、ユニセフ(国連児童基金)はFAO(国連食糧農業機関)、国連WFP(国連世界食糧計画)および世界保健機関(WHO)と共同で声明を発表しました。以下はその概要です。

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中東・北アフリカ地域の各国政府とパートナー団体は、COVID-19から人々を守るために日夜、取り組んでいます。これらの取り組みが多くの命を救っている一方で、食品のサプライチェーンや、より安全で栄養価の高い食品の入手可能性と価格に大きな影響を及ぼしています。弱い立場に置かれた家族は食料を手にするための収入を得るのに苦難を強いられています。
 

サヌアの病院で、すぐに食べられる栄養治療食(RUTF)を口にする1歳半のマゼンちゃん。(イエメン、2020年2月5日撮影) © UNICEF_UNI312482_Alghabriサヌアの病院で、すぐに食べられる栄養治療食(RUTF)を口にする1歳半のマゼンちゃん。(イエメン、2020年2月5日撮影) © UNICEF_UNI312482_Alghabri

以前より食料危機に直面してきたこの地域の国々が、パンデミックによる打撃を最も受けています。アフガニスタン、スーダン、シリア、イエメンで、子どもや家族が消費する食料の量、頻度や種類がさらに少なくなっています。これらの国々は、2019年に食料危機が最も深刻な10カ国に含まれ、危機またはそれ以上の段階(IPC / CHフェーズ3以上)で、約4,000万人が影響を受けました。今回、新たな形態の食料危機を引き起こすか、既存の食料危機が深まる可能性が高まっています。

私たちは、最も影響を受けている人々、特に地域の貧困層や最も弱い立場に置かれたコミュニティの人々の栄養面にパンデミックが及ぼす影響を綿密に追跡しています(注1)。2019年、この地域では5人にひとりが栄養不良でした(注2)。
 

 

各国政府、開発パートナー、支援者や企業に対し、必要な保健、予防管理対策を実施しながら、安全で栄養価の高い食品のアクセスや入手可能な価格維持に取り組み、地域全体で最も弱い立場に置かれた家庭、子ども、妊娠中および授乳中の女性の栄養を守るよう求めます。これには、以下の行動が必要です:

1. 食品サプライチェーンが機能し続け、安全で栄養価の高い食品が引き続き手に入るようにする。

2. 農家や日雇い労働者の収入を守る。

3. 社会的保護とコミュニティのプログラムを確立・サポートし、最も弱い立場に置かれた人々や、都市封鎖のために仕事を失った人々が十分な量の、安全で栄養価の高い食品を入手できるようにする。

4. 妊娠中および授乳中の母親、新生児、病気の子どもに不可欠な栄養サービスを提供し、COVID-19に感染した母親を含む母乳育児をサポートすることにより、母子の栄養を促進し、関連する情報を正確に発信する。
 

ラッカにあるMahmoudliキャンプで、上腕計測メジャーを使い栄養不良の検査を受ける子ども。(シリア、2020年3月29日撮影) © UNICEF_UNI318711_WaselラッカにあるMahmoudliキャンプで、上腕計測メジャーを使い栄養不良の検査を受ける子ども。(シリア、2020年3月29日撮影) © UNICEF_UNI318711_Wasel

5. 消耗症、栄養不良の子どもや母親を治療し、治療の頻度を減らし家庭で使用できる供給品を増やすことで、消耗症を管理する。高齢者や病人など、痩せているリスクのある弱い立場に置かれた子どもや他の集団に向けて消耗症の予防策を行う。免疫力の弱いこれらの人々は、COVID-19に感染した場合死亡リスクが高くなるため、以下のことが重要です:
  • 母親と養育者が子どもの栄養状態を把握する能力を強化するための取り組みを行う
  • 可能な限りコミュニティベースの治療に移行することにより、合併症のない消耗症に対する治療の分散化を開始・強化する。
  • 子どもの消耗症の治療に使われる主要物資へのアクセスの混乱を防ぐための取り組みを開始・強化する。

6. 妊娠中の女性と幼児のための定期的なサービスを通じて微量栄養素を補給する。計画されていた微量栄養素キャンペーン(ビタミンAの補給や虫下しの薬など)は、一時中断・延期し、状況が整い次第、可能な限り早い時期に再開する。

7. 休校措置がとられている間、学校給食に代わり、栄養をとれるものを提供する。学校職員、保護者や生徒に向けて、学齢期の子どもの安全で健康的な食事、公衆衛生、運動の重要性について助言する。現金給付や家庭への食料配達などの代替手段を検討し、休校の間も貧困家庭の子どもが栄養のある食事をとれるよう支援する。学校の再開とともに学校給食を再開し、職員に向けてそのことを子どもとその家族に宣伝するよう働きかける。
 

 

8. 食料安全保障と栄養の監視システムを確立する。携帯電話またはウェブでの調査を通じ、食品市場の機能性、対処メカニズム、食品消費パターン、多次元の貧困を監視し、食料安全保障と栄養情報を都度収集・更新し、リスクのある集団を特定し、弱い立場に置かれた集団の栄養状態に悪影響を及ぼす可能性のある要素を監視・対処する。 

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(注1)
以下の国々を対象としています:アフガニスタン、アルジェリア、バーレーン、ジブチ、エジプト、イラン、イラク、ヨルダン、クウェート、キルギス、レバノン、リビア、モーリタニア、モロッコ、オマーン、パキスタン、パレスチナ、カタール、サウジアラビア、ソマリア、スーダン、シリア、タジキスタン、チュニジア、トルコ、アラブ首長国連邦、イエメン

(注2)
栄養不良には以下の4つの型があります:消耗症、発育阻害、低体重、ビタミンとミネラルの不足。栄養不良は子どもたちを、特に病気や死に対してより脆弱にします。

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■ 新型コロナウイルスに関するユニセフの情報はこちらからご覧いただけます。
特設サイト: https://www.unicef.or.jp/kinkyu/coronavirus/
各種ガイドライン: https://www.unicef.or.jp/kinkyu/coronavirus/info/

■ ユニセフについて
ユニセフ(UNICEF:国際連合児童基金)は、すべての子どもの権利と健やかな成長を促進するために活動する国連機関です。現在約190の国と地域※で、多くのパートナーと協力し、その理念を様々な形で具体的な行動に移しています。特に、最も困難な立場にある子どもたちへの支援に重点を置きながら、世界中のあらゆる場所で、すべての子どもたちのために活動しています。( www.unicef.org )
※ユニセフ国内委員会(ユニセフ協会)が活動する33の国と地域を含みます
※ユニセフの活動資金は、すべて個人や企業・団体からの募金や各国政府からの任意拠出金で支えられています

■ 日本ユニセフ協会について
公益財団法人 日本ユニセフ協会は、先進工業国33の国と地域にあるユニセフ国内委員会のひとつで、日本国内において民間として唯一ユニセフを代表する組織として、ユニセフ活動の広報、募金活動、政策提言(アドボカシー)を担っています。( www.unicef.or.jp )

 

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会社概要

公益財団法人日本ユニセフ協会

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URL
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業種
官公庁・地方自治体
本社所在地
東京都港区高輪4-6-12 ユニセフハウス
電話番号
03-5789-2016
代表者名
赤松良子
上場
未上場
資本金
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設立
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