ユニセフ報告書『2030年世代アフリカ 2.0』発表-2030年、アフリカの子ども7億5,000万人に【プレスリリース】

子どもへの投資で経済成長へ

公益財団法人日本ユニセフ協会

『2030年世代アフリカ 2.0 人口配当を受けるために子どもへの投資を優先に』『2030年世代アフリカ 2.0 人口配当を受けるために子どもへの投資を優先に』

【2017年10月26日 ヨハネスブルグ(南アフリカ)/ ダカール(セネガル) 発】

アフリカ大陸は前例のない速度で人口が推移しており、予想されるアフリカの子どもの人口の拡大にともない、今後十年間に、教育および保健分野の専門技術を身に着けた人材を1,000万人増加させる必要があると、本日ユニセフ(国連児童基金)は発表しました。

ユニセフは本日、アフリカ大陸の子どもの人口およびそれが大陸と世界に与える影響を分析した新たな報告書『2030年世代アフリカ 2.0: 人口配当を受けるために子どもへの投資を優先に』(原題:“Generation 2030 Africa 2.0: Prioritizing investment in children to reap the demographic dividend”)を発表しました。報告書は、2030年までにアフリカの18歳未満の子どもの人口は、現在より1億7,000万人増加し、7億5,000万人に達すると予測しています。

報告書は投資すべき3つの重点課題として、保健ケア、教育、ならびに女性および女子の保護とエンパワーメントを挙げています。具体的には、急速に増加する人口に対して保健ケアおよび教育の分野における国際基準を最低限満たすサービスを提供するために、アフリカ全体で今後13年間に、420万人の新期の保健従事者、580万人の新期の教員を訓練する必要性を訴えます。

コンゴ民主共和国のカサイ地域で続く、暴力から逃れてきた子どもたち。(アンゴラ)2017年5月撮影© UNICEF_UN068249_Wielandコンゴ民主共和国のカサイ地域で続く、暴力から逃れてきた子どもたち。(アンゴラ)2017年5月撮影© UNICEF_UN068249_Wieland
 

 「保健、保護および教育の分野への投資は、アフリカの今後2030年までの絶対的な優先事項にすべきです」とユニセフ東部・南部 アフリカ地域事務所代表のレイラ・パカラは話します。「私たちは今、アフリカの子どもたちにとって最も重要な岐路に立っています。正しい決断をすれば、何億人もの人々を極度の貧困から抜け出させ、より繁栄し、安定した平和な世界に貢献する経済成長の基盤を築くことができます」 

ユニセフの報告書は、アフリカ大陸のほぼ半数の人口は18歳未満で、アフリカ連合加盟国55カ国のうち約3分の1の国々では子どもが人口の半数以上を占めるとしています。また、ユニセフの現時点の予測では、2055年には、アフリカの子どもの数は10億人に達します。

「10億人の子どもの潜在能力を想像してみてください」とユニセフ西部・中部アフリカ地域事務所代表のマリー・ピエール・ポワリエが述べました。「アフリカが子どもと若者への投資を促進し、教育システムを改革し、女性と女子を地域、職場、および政治活動に存分に参加できるようエンパワーしたなら、人口転換によってより早く、深く、そして長く配当を受けることが可能になるのです」 

さらに報告書は、アフリカ経済に対する国際社会および国内の投資と並行して雇用増加を促進する政策が策定・実行されたなら、アフリカは2050年までに一人当たり所得を4倍に増やすという人口配当を受けることも可能との重要な指摘をしています。 

逆に、アフリカの若者や子どもたちへの投資がなければ、一世代に一度しか機会の訪れない人口配当は、失業や不安定に象徴される人口の悲劇に取って代わられる可能性があります。 

ユニセフは、アフリカの新しい世代のための社会経済状況を創造するために、3つの政策の実行を提案します:
  • 保健、社会福祉および保護分野の公共サービスを、国際基準を満たすべく改善する。すでに満たすことが近い国はその上を目指す
  • アフリカの子どもと若者が21世紀の労働市場のニーズに見合った技術を身に着けられるように、学習成果の向上に向けて、カリキュラムの改革および技術へのアクセスの改善を通して、教育、技術、および職業訓練の制度を適応させる
  • 暴力、搾取、児童婚、虐待から子どもを守り、子どもの権利の保護を確実なものとする。女性と女子が地域、職場、および政治活動に自由に参加することを妨げている要因を取り除き、リプロダクティブヘルスのサービスを受けやすくする

 報告書では、以下の点についても指摘しています:
  • 人口の急激な変化をもたらす3つの主な要因: 5歳の誕生日を過ぎて生存する子どもの数の増加、高い出生率、ならびに出産可能年齢の女性の数の急増
  • アフリカの人口は2016年の12億人から2050年には2倍の25億人になる
  • ナイジェリアの出生数は、アフリカ全体の20%を占め、世界全体の5%を占める。現時点の予測では、2050年には世界の出生数の13件のうち1件はナイジェリアで起きることになる
  • アフリカでは2015年から2030年までの間に、初等教育学齢期の子どもの数が1億8,900万人から2億5,100万人へと33%増加する。西アフリカ(2,200万人)および東アフリカ(1,800万人)において最も多く増加する
  • アフリカで都市部に暮らす人々の割合は、1950年はわずか14%だったが、現在は40%。この傾向が続けば、2050年には約60%が都市部に暮らすことになる
  • 過去25年間にアフリカの子どものために果たした顕著な成果に積み上げることで、10億人の子どもの可能性は途方もなく広い。子どもの死亡率を半減、特に学校に通う女の子の数の増加、児童婚の急速な減少を含むこれらの成果は、未来の世代にも引き継がれていくべきもの
  • ユネスコによれば、女性を教育することは、貧困や出生率を減少させるための最も早い方法のひとつ。サハラ以南のアフリカでは、教育を受けたことのない女性は平均で6.7人の子どもを出産。それに比べて、初等教育を受けた女性は5.8人、中等教育を受けた女性では約半分の3.9人
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■ユニセフについて
 ユニセフ(UNICEF:国際連合児童基金)は、すべての子どもの権利と健やかな成長を促進するために活動する国連機関です。現在190の国と地域※で、多くのパートナーと協力し、その理念を様々な形で具体的な行動に移しています。特に、最も困難な立場にある子どもたちへの支援に重点を置きながら、世界中のあらゆる場所で、すべての子どもたちのために活動しています。(www.unicef.org
※ユニセフ国内委員会(ユニセフ協会)が活動する34の国と地域を含みます
※ユニセフの活動資金は、すべて個人や企業・団体からの募金や各国政府からの任意拠出金で支えられています

■日本ユニセフ協会について
 公益財団法人 日本ユニセフ協会は、先進工業国34の国と地域にあるユニセフ国内委員会のひとつで、日本国内において民間として唯一ユニセフを代表する組織として、ユニセフ活動の広報、募金活動、政策提言(アドボカシー)を担っています。(www.unicef.or.jp)

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会社概要

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URL
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業種
官公庁・地方自治体
本社所在地
東京都港区高輪4-6-12 ユニセフハウス
電話番号
03-5789-2016
代表者名
赤松良子
上場
未上場
資本金
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設立
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