【国立映画アーカイブ】上映企画「撮影監督 三浦光雄」開催のお知らせ

国立映画アーカイブでは、上映企画「撮影監督 三浦光雄」を4月8日(火)より開催いたします。
光と影の交錯がもたらす階調豊かな画と美しい構図のキャメラによって、映画撮影を芸術的創造の領域まで高めた三浦光雄(1902-1956)。日本間に差し込む柔らかい光線を捉えるために、暗部を強調したライティングを採用するなど、たえず新しい撮影技法を追求しながら、戦前・戦中・戦後の日本映画に真に的確な表現を与え続けました。1957年には、新人の優れた撮影者を対象とする「三浦賞」が制定され、日本映画撮影監督協会(JSC)による顕彰が行われています。
本特集では、無声映画『愛よ人類と共にあれ』(1931、島津保次郎)から遺作『猫と庄造と二人のをんな』(1956、豊田四郎)まで、33作品(31プログラム)を上映することで、国内最高峰の撮影技術を遺した三浦光雄の業績を回顧します。
当館における撮影監督単独の特集としては、1984年の「撮影監督 宮川一夫」以来、およそ40年ぶりです。
見どころ
▼陰影の美を追求した撮影監督・三浦光雄の業績を回顧
三浦は『空は晴れたり』(1925、五所平之助)で撮影デビュー後、五所に画面構成を全面的に委ねられコンビを確立、創意溢れる撮影で松竹の"蒲田調"に新風を吹き込みます。1928年には半年間にわたりハリウッドに遊学、詩情豊かな画調にリアリスティックな表現を加味していきます。1931年には松竹を去って不二映画に移籍、次いで新興キネマ(1932)、日活(1933)、入江ぷろだくしょん(1934)、P.C.L.(1937)を経て東宝に転籍、山本嘉次郎、衣笠貞之助、成瀬巳喜男、豊田四郎ら名匠の作品を中心に、生涯を通じて100作品あまりの撮影を手がけました。本特集では、キャリア全体を通じた主要作を採り上げ、その技術的成果の軌跡をたどります。



▼可燃性オリジナルネガからのダイレクトプリント
戦後日本の撮影技術の到達点を示した五所平之助とのコンビ作『わかれ雲』(1951)、『朝の波紋』(1952)、『煙突の見える場所』(1953)については、2018年に可燃性オリジナルネガから作製した、階調豊かな白と黒、シャープな画質といった特徴を併せ持つ35mmプリントを上映します。この機会に、三浦が目指していた陰影美を再現した作品群を大スクリーンでご堪能下さい。



▼三浦光雄の撮影技術への理解を深める講演を開催
4月12日(土)の『腰辨頑張れ/嬉しい娘』の上映後には、映画研究者の鷲谷花氏(大阪国際児童文学振興財団特別専門員)による講演会を開催します。また4月19日(土)の『藤十郎の戀』(1938、衣笠貞之助)の上映後には、『影の美学ー日本映画と照明』(2019年、名古屋大学出版会)で三浦の撮影技術を大きく取り上げた宮尾大輔氏(カリフォルニア大学サンディエゴ校教授)による講演会を開催します。両氏による講演により、三浦光雄の撮影がもたらす作品世界への理解がいっそう深まります。
上映作品(31プログラム、計34作品)
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『愛よ人類と共にあれ』(1931、島津保次郎)
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『腰辨頑張れ』(1931、成瀬巳喜男)
『嬉しい娘』(1934、千葉泰樹) -
『榮冠涙あり』(1931、鈴木重吉)
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『雁来紅』(1934、鈴木重吉)
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『女人哀愁』(1937、成瀬巳喜男)
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『白薔薇は咲けど』(1937、伏水修)
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『禍福 前篇』(1937、成瀬巳喜男)
『禍福 後篇』(1937、成瀬巳喜男) -
『藤十郎の戀』(1938、山本嘉次郎)
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『多甚古村』(1938、今井正)
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『妻の場合[前篇・后篇]』(1940、佐藤武)
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『虞美人草』(1941、中川信夫)
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『川中島合戰』(1941、衣笠貞之助)
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『婦系圖』(1942、マキノ正博)
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『ハワイマレー沖海戰』(1942、山本嘉次郎)★
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『若き姿』(1943、豊田四郎)
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『明日を創る人々』(1946、山本嘉次郎)
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『今ひとたびの』(1947、五所平之助)
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『東京の門』(1950、杉江敏男)★
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『せきれいの曲』(1951、豊田四郎)
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『わかれ雲』(1951、五所平之助)
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『朝の波紋』(1952、五所平之助)
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『春の囁き』(1952、豊田四郎)
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『煙突の見える場所』(1953、五所平之助)
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『愛情について』(1953、千葉泰樹)★
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『雁』(1953、豊田四郎)
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『わたしの凡てを』(1954、市川崑)
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『女性に関する十二章』(1954、市川崑)
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『麥笛』(1955、豊田四郎)
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『夫婦善哉』(1955、豊田四郎)
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『白夫人の妖恋』(1956、豊田四郎)
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『猫と圧造と二人のをんな』(1956、豊田四郎)
★があるものはニュープリント上映
開催概要
企画名:撮影監督 三浦光雄
(英題:Cinematographer Mitsuo Miura)
会期:2025年4月8日(火)-5月11日(日) ※月曜休館
会場:国立映画アーカイブ 長瀬記念ホール OZU[2階]
HP:https://www.nfaj.go.jp/film-program/mitsuo-miura202504/
問合せ:050-5541-8600(ハローダイヤル)
チケット:詳細はHPでご確認ください。
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