町屋良平『生きる演技』が第41回織田作之助賞を受賞!選考委員の古川日出男氏は「文学史に残る傑作」と講評。 文藝賞、芥川賞、野間文芸新人賞、川端康成文学賞受賞に続く、五冠達成の快挙! 1月に重版出来!
19日夜に織田作之助賞実行委員会が発表。 受賞作『生きる演技』は、現代日本の高校生の青春が、戦時下で実際に起きた「立川米軍俘虜虐殺事件」と交差し、 衝撃の結末を迎える物語。
株式会社河出書房新社(東京都新宿区/代表取締役小野寺優)から刊行している町屋良平さんの長篇小説『生きる演技』(税込2,475円)が、第41回織田作之助賞【主催:織田作之助賞実行委員会(大阪市、大阪文学振興会、関西大学、毎日新聞社)】を受賞しましたのでお知らせいたします。
■町屋良平 略歴
1983年東京都生まれ。2016年『青が破れる』で第53回文藝賞を受賞しデビュー。2019年『1R1分34秒』で芥川龍之介賞、2022年『ほんのこども』で野間文芸新人賞、2024年「私の批評」(『私の小説』収録)で川端康成文学賞、『生きる演技』で織田作之助賞を受賞。
他の著書に『しき』『ぼくはきっとやさしい』『愛が嫌い』『ショパンゾンビ・コンテスタント』『坂下あたると、しじょうの宇宙』『ふたりでちょうど200%』『恋の幽霊』がある。
■受賞作『生きる演技』
『生きる演技』は、W不倫で実母が自殺した過去を抱えて本心を隠し続ける元「天才」子役 ×「薬物ジャンキーレイプ野郎」を両親にもつ「炎上系」俳優、高校1年生ふたりの友情と愛憎を通して「生きること」「演技をすること」「戦争」をテーマに描いた長篇小説。人が他人に見せる「私」とは何か。人はいつ、どのように人を傷つけるのか。太平洋戦争末期に東京・立川市でおきた日本の市民800人による米兵の惨殺。実在する残虐な出来事を文化祭の演劇として作り上げ上演する危うい日々のなかで、登場人物たちはさまざまな角度から「生きるとは何か?」問い続ける。
◾️選考委員の古川日出男さんコメント
「作品では、地の文に『われわれ』という集合的な意識がなぜか噴出して語り始める。今までになかった小説を町屋さんが試みたのだと思う。新しい文学が始まっているとしたら、その文学史に残る傑作だ」
◾️町屋良平さん受賞コメント
「まだキャリアは浅いものの、自分が今まで書いてきたものの集大成という形で完成させた作品です。一つの大きい区切りとなる作品で歴史ある賞をいただけたことを本当に光栄に感じております」
文藝賞(2016年)、芥川賞(2019年)、野間文芸新人賞(2022年)、川端康成文学賞(2024年)、デビュー以降、大きな文学賞を確実に射止めてきた作家・町屋良平。このたび最新長編『生きる演技』が織田作之助賞を受賞し、五冠達成の快挙となります。
本書は作家本人が「デビューから考えてきたことのすべてを込めた」と語る会心の超大作であり、季刊文芸誌「文藝」2023年秋季号一挙掲載時から反響を呼んだ作品です。 単行本刊行は2024年3月。文芸誌各誌、多数の作家、書店、読者から称賛の声が寄せられ、異例の発売前重版となりました。
第41回織田作之助賞受賞を受け、1月中旬出来でさらなる重版を決定。本書は、これまでの"町屋作品"の印象的な"点"が複雑な線となって新たな物語を生む、町屋ファン垂涎のギミックも必読の作品です。この機会に町屋良平の最新長編『生きる演技』、そして素晴らしい町屋作品の数々にぜひご注目ください!
◾️町屋良平『生きる演技』 冒頭無料ためし読み
暗闇の解像度を上げると光った。かれは午前四時の公園にいる。あたりは暗く、視覚だけでは捉えきれない場を感じる。景色が五感に混ざっていく。土の匂いや風の音で風景をかきわけ、さわる樹皮の感覚で補う視界はまるく、重々しい塊のような世界が迫ってくる。それでようやくあらわれる枝葉の様子をその身で捉えると、視力が増していくかのように暗さに慣れる五感が下方へと繋つながっていき、ふくらみを帯びた幹に裂ける皮のさかいから新芽がこぼれるのを光が満ちる前にたしかに見た。
■書誌情報
書名:生きる演技
著者:町屋良平
仕様:四六判変形/上製/368頁
発売⽇:2024年3⽉14日
税込価格:2,475円(本体価格2,250円)
装丁:鈴木成一デザイン室
ISBN:978-4-309-03177-4
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