Samsungの独自AI技術「Galaxy AI」「Bixby」日本語開発の裏側を語る サムスン日本研究所 特別インタビュー取材会 開催レポート
サムスン電子ジャパン株式会社(以下、サムスン)は、2025年3月31日(月)に、サムスンが開発する「Galaxy AI」「Bixby」の日本語開発についてサムスン日本研究所の担当者が語るメディア向けの講演会を開催いたしました。当日は、株式会社サムスン日本研究所Mobile Solution Lab Artificial Intelligence Part長 赤迫より、Galaxy AI・Bixby機能の仕組みや開発の裏側について説明いたしました。

●サムスン日本研究所の開発内容とは?
これまでサムスン日本研究所ではハードウェアの開発に取り組んでいましたが、2023年に初めてソフトウェアの開発チームを発足しました。2024年発売の「Samsung Galaxy S24シリーズ」に搭載されたGalaxy AIの日本語化対応に携わり、さらに2025年2月発売の「Samsung Galaxy S25シリーズ」にて初めて日本語版Bixby(ビクスビー)をリリースいたしました。
●外国語→日本語に翻訳する「Galaxy AI」の構造は?|3段階エンジンによる通訳機能
Galaxy AIは、通信不要、プライバシー保護された状態でオンデバイス処理ができる「オンデバイスAI」と、クラウドで処理する「クラウドベースAI」のハイブリッド型AIで構成されています。現在サムスンはオンデバイスAIの開発に力を入れており、特に日本語に関しては、約2年前から日本での開発を開始し、精度高い言語開発を追求し続けています。
また、特に「AIの多言語化」にも真剣に力を注ぎ、オンデバイスAIの「通訳」機能※を構成するAIモジュールの開発も注力し続けています。開発の仕組みは、例えば①“Hello”という音声を認識する音声認識、②“Hello”を“こんにちは”と訳す機械翻訳、そして③音声合成で“こんにちは”と音声が発話され相手に伝わる音声合成の3段階のエンジンで成り立ち、音声認識は日本で、機械翻訳と音声合成は日本と本社合同で開発しています。
※通訳機能は、主に旅行中など現地の方と会話する際の活用を想定して開発しています。

●「Galaxy AI」開発の裏側|開発拠点を日本に移行したことで開発スピードが向上
Galaxy AIのAIモジュールは、言語パックの形でGalaxy Storeから提供され、オンデバイスで機能します。品質向上のため、定期的にストアに最新のパックをアップロードしてバージョンアップしています。
Galaxy AIの日本語音声認識エンジンは2024年3月まで中国北京のサムスン研究所で開発していましたが、4月以降は日本で開発を行っています。これにより、多くの日本語ネイティブエンジニアが開発に関わるようになり、上記のような日本語特有の問題も早期発見が叶い、開発スピード向上につながっています。
また、品質向上、機能拡張のため、定期的にコンポーネント単位でバージョンアップを行っています。
●「Galaxy AI」開発の難しさ|同音異義語が多い日本語
日本語には、同音異義語が多い(以下、カッコ内例:「橋」と「箸」)、文脈でも判断が難しい人名表記、アラビア数字・英語の読み方が一定ではない(「S25」を「エストゥエンティーファイブ」と読む人もいれば「エスにじゅうご」「エスにーごー」と読む人もいる)、同形異音語が多い(「その方」というテキストについて、「そのほう」「そのかた」と読む場合がある)、曖昧な表現が多いハイコンテクストな言語である(主語の不在)、ラテン言語などと異なりスペースで単語を区切らないといった特徴があります。日本語特有の難しさがあることが開発における難しいポイントです。

●「Bixby」の仕組みとは?|5段階エンジンによる機能・サービス呼び出し
Bixbyは、2023年11月に開発をスタートしました。Bixbyのほとんどのコンポーネントはクラウドで動作するため、豊富なサービスを提供できます。
サポートしているタスクは、主に「デバイスの機能呼び出し (電話、メッセージ、設定など、サムスンのアプリケーション等) 」と「サービス呼び出し (ウェザーニュース、Netflix等) 」に分類されます。Bixbyはいわゆる「AIアシスタント」と呼称されるソフトウェアで、音声認識(以下、カッコ内例:「ランニングの記録を開始して」という発話をテキストに変換)、言語理解(「ランニングを記録したい」という意図を理解)、タスク実行(Samsung Healthのランニング記録開始タスクを実行)、言語生成、音声合成というような、様々なAIが関連するコンポーネントで構成されています。ここで用いられる音声認識エンジンと音声合成エンジンはGalaxy AIの通訳機能と同じもので、開発の短縮化・効率化につながります。
●「Bixby」の強み|Samsung Galaxyデバイスへ最適化・Samsungアプリケーションへの連携の深さ
Bixbyはユーザーと気軽に会話をするよりも、「タスク実行」にフォーカスしたシステムであることが特長です。また、Samsung Galaxyデバイスへ最適化している点、Samsungアプリとの連携の深さも強みとして挙げられます。先月にはSamsung Walletとの連携強化、2つのアクションを連携させる機能の提供を開始いたしました。

今後も、高品質で真に有用な日本語AIの開発を通じて、Samsung Galaxyユーザーの満足度向上を目指してまいります。
【登壇者について】
株式会社 サムスン日本研究所
Mobile Solution Lab Artificial Intelligence Part長 赤迫貴行(あかさこ たかゆき)
生活家電やディスプレイなどハードウェア関連の研究開発を中心に行っているサムスン日本研究所による初のソフトウェア開発チームの立ち上げと同時に入社。
現在は、日本語Galaxy AI開発およびサムスンのAIエージェント「Bixby」の日本語版開発を担当し、品質向上および新機能開発に努めている。

【株式会社サムスン日本研究所について】
サムスン日本研究所は、韓国・サムスン電子の日本における研究開発法人として、1992年8月に株式会社AITECHとして設立。1998年1月に株式会社サムスン横浜研究所に商号を変更。2025年現在、日本には横浜・大阪の2か所に研究開発拠点を持つ。
研究開発領域として、生活家電、ディスプレイ、画像処理、メカトロニクス、モバイルソリューション、オープンイノベーションの6つのハードウェア関連領域に加え、ソフトウェアの開発も行っている。

【Galaxy AIについて】
2024年4月に日本発売された「Samsung Galaxy S24シリーズ」に初搭載した最先端AI技術。サムスン独自の「オンデバイスAI」とクラウドを利用した「クラウドベースAI」の両方を活用したハイブリット型のAI技術を指します。特に、サムスン独自のオンデバイスAIはインターネットを介すことなく使用できるため大切なプライバシー情報の流出を防ぎ、安心してご利用いただくことが可能です。
さらに、2025年2月14日に発売された最新AIフォン「Samsung Galaxy S25シリーズ」では、Galaxy AIがさらに進化し、画像検索や編集、ウェブサイトやメモ、ボイスメモの要約、リアルタイムな通訳や翻訳に加え、動画内の音声を解析し、背景の不要な音を分類して削除・音声の調整をすることが可能な「オーディオ消しゴム」や、ユーザーの行動や習慣を学習してパーソナライズされた情報を提供する「Now Brief」、SamsungアプリやGoogleアプリ、Spotifyのような3rdパーティーアプリ間もスムーズに操作が可能になる「マルチモーダル機能」などを新たに搭載しました。日本市場にとって、ガラケー・スマートフォンに次ぐ第3のコミュニケーションツール「AIフォン」として次の10年の幕が開ける新技術です。
【Bixbyについて】
「Bixby(ビクスビー)」はユーザー体験、パフォーマンス、機能を向上させるサムスン独自のAIエージェントです。世界中で優秀な音声アシスタントとして3億人以上に愛されているBixbyは、ユーザーがしたいことを簡単に完結できる便利な機能です。また、Bixbyは自然言語を使ったSmartThingsや、モードとルーチン作成もサポートします。デバイスの接続や管理をより簡単に直感的に実施できます。今後もBixbyはシームレスな接続を強化してまいります。なお、本日より日本語に対応したBixbyは「Galaxy S25シリーズ」で利用可能です。
※Bixbyを利用するにはSamsungアカウントへのサインインが必要です。
※初期設定でサイドボタンの長押しはGeminiが起動します。Bixbyを起動する場合は設定が必要です。またはBixbyアプリを起動、声を登録し「ハイビクスビー」「ビクスビー」などで起動してください。
●「Samsung Galaxy」はSamsung Electronics Co., Ltdの商標または登録商標です
●その他、記載されている会社名、商品名、サービス名称等は、各社の商標または登録商標です。
このプレスリリースには、メディア関係者向けの情報があります
メディアユーザー登録を行うと、企業担当者の連絡先や、イベント・記者会見の情報など様々な特記情報を閲覧できます。※内容はプレスリリースにより異なります。
すべての画像