近畿大学と共同で、住宅内温熱環境に基づく居住者の医療費・薬剤費の研究論文を発表

窓断熱改修による医療費削減額と薬剤費削減額への効果を検証

株式会社LIXIL

株式会社 LIXIL(以下 LIXIL)は、近畿大学生物理工学部人間環境デザイン工学科 准教授・博士(工学)藤田 浩司と共同で「住宅内温熱環境に基づく居住者の医療費・薬剤費の研究」の論文を、この度発表しました。

窓をはじめとした開口部の断熱性能を高め、住宅の高性能化を推進することは、CO₂排出量や光熱費削減に繋がるほか、ヒートショックなど循環器疾患(脳梗塞・くも膜下出血・心筋症等)発症リスクの低減、アレルギー症状の緩和など健康面にも好影響を及ぼします。

昨年11月、LIXILと近畿大学は、戸建て住宅の窓断熱改修による光熱費及び医療費削減効果に関する研究論文を共同で発表しましたが(※1)、今回は戸建て住宅と集合住宅の窓断熱改修による光熱費及び医療費削減効果、薬剤費削減効果について検証することを目的とし、調査・研究を実施した結果をまとめました。

「住宅内温熱環境に基づく居住者の医療費・薬剤費の研究」の結果概要

この研究結果から、暖冷房費削減、医療費削減に加え、薬剤費削減という新たな効果を示すことで、窓断熱改修が促進され、省エネかつ健康な暮らしの進展が期待できると考えています。


近畿大学生物理工学部人間環境デザイン工学科 准教授・博士(工学)藤田 浩司のコメント

日本には依然として断熱性能の低い住宅が多く存在し、その結果、冬の寒さによって病気になったり、命を落とす方が多数います。日本では冬に亡くなる方が夏よりも10万人以上多く、その中には住宅の断熱性能が向上していれば救えた命が多くあったと考えられます。そこで、住宅の断熱性能向上の効果を医療費や薬剤費を通じて具体的に示すことで、より多くの方に断熱の重要性を理解していただけるのではないかと思い、この研究を進めました。本研究が健康的な住環境の普及に寄与することを願っています。

LIXILは、今後も窓・ドアブランド TOSTEM を通じて、住宅の高性能化を推進し、人々の暮らし、ひいては社会全体が豊かで快適になるよう貢献していきます。 

※1 昨年のLIXILと近畿大学の共同論文で「住宅内温熱環境と居住者の健康に関する研究」の発表に関するプレスリリースはこちら


LIXIL・近畿大学 「住宅内温熱環境と居住者の健康に関する研究」

■LIXIL・近畿大学 研究経緯

窓断熱改修による経済効果は暖冷房費などの光熱費のみで表されることが多いなか、昨年LIXILと近畿大学は光熱費に加え、戸建て住宅における窓断熱改修に関わる医療費の経済効果を算出しました。今回は光熱費・医療費に加え、薬剤費(※2)について、戸建て住宅と集合住宅で窓断熱改修による経済効果を算出しています。

(図)経済効果算出のイメージ

※2 本研究では、医療費は診療費、入院費、検査、手術費および院内薬剤費などの費用、薬剤費は調剤薬局薬剤費(一般用医薬品費は含まず)の費用を用いて算出しています。

■住宅内温熱環境と居住者の健康に関する研究

薬剤費の算出方法は、昨年報告した医療費と同様、約2万4千人を対象とした転居前後の健康変化に関する調査結果をもとに、住宅内温度が起因する10疾患(心疾患、脳血管疾患、高血圧、糖尿病、気管支喘息、アトピー性皮膚炎、肺炎、関節炎、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎)を対象に、住宅内温度から調剤薬局の薬剤費を推定できる式を作成しました。調剤薬局薬剤費はNDBオープンデータを疾患毎に分類して利用しています。

心疾患と脳血管疾患については、住宅内の温度差が一要因となることから非暖房室(浴室やトイレなど)の最低温度を基に、その他の8疾患については居間や寝室などの滞在室の平均温度を基に、調剤薬局薬剤費の期待値(※3)を推定しました。以下に、心疾患と糖尿病の住宅内温度と調剤薬局薬剤費の関係グラフ、および推定式を示します。

※3 期待値とは、確率によって重みづけされた平均値です。例えば、ある人が医療費10万円の病気Aにかかる確率が1/10、医療費1万円の病気Bにかかる確率が3/10の場合、病気AとBの医療費の期待値は「(10万円×1/10)+(1万円×3/10)=1.3万円」となります。今回算出した医療費、薬剤費の期待値も、確率と重みづけを考慮した値ですので、必ず推定した医療費、薬剤費が発生する訳ではありません。


この推定式を用いて、戸建て住宅および集合住宅の窓を断熱改修した際の住宅内温度シミュレーション結果から、調剤薬局薬剤費、医療費、暖冷房費を算出しました。シミュレーション条件を表に示します。また、50歳夫婦と18歳と15歳の子供が居住する家族を想定し、窓改修前後における30年間の調剤薬局薬剤費、医療費、暖冷房費、およびそれらの削減額(※4)を示します。 

(表)シミュレーション条件
※4 一例であり、種々の条件によりシミュレーション結果は異なります。

この結果、戸建て住宅の窓改修による暖冷房費削減効果は約73万円/世帯・30年、医療費削減効果は約25万円/世帯・30年、薬剤費削減額は約5万円/世帯・30年となり、合計で約103万円/世帯・30年の経済的効果となりました。また、集合住宅の窓改修による暖冷房費削減効果は約33万円/世帯・30年、医療費削減効果は約15万円/世帯・30年、薬剤費削減額は約4万円/世帯・30年となり、合計で約52万円/世帯・30年の経済的効果となりました。これまで窓改修の経済的効果は暖冷房費の削減のみで評価されていましたが、健康コスト削減(医療費と薬剤費)を含めることで、約1.41〜1.61倍の経済的効果が見込まれることが分かりました。この研究により、窓断熱改修が省エネかつ健康な暮らしの推進に寄与することが期待されます。


窓断熱改修に関する商品情報

・内窓「インプラス」

快適さの秘密は「空気層」。インプラスを取り付けることで、今ある窓との間に空気層が生まれ、これが壁の役割となって、断熱効果や防音効果を生み出します。また、インプラスは樹脂製内窓。樹脂の熱伝導率はアルミに比べて約1/1000。外気の温度に左右されにくく、断熱効果、防露効果を発揮します。工事は最短1時間で完了(※)。今お使いの窓枠を利用して取り付けるため、壁や柱を傷つける心配もありません。

優れた断熱性・遮音性・防露性はもちろん、これまでにない表情と質感を再現したデザインで、快適で理想のインテリア空間を演出するリノベーション向けの内窓「インプラス for Renovation」を2020年10月より発売しています。

※現場の状況により施工に必要な時間は異なります。

※病気の予防、治療等を目的とした製品ではありません。

・取替窓「リプラス」

古い窓を新しい窓に取り替えて見た目も機能もリフレッシュ。たとえば、ガタガタしていた窓の開閉もスムーズに。高断熱窓に取り替えることで、外の寒さ・暑さの侵入を抑えてお部屋の快適さもアップ。さらに、リプラスなら窓のタイプの変更もOK。大掛かりな工事が必要ないので、約半日~1日で窓リフォーム完了※。メーカー・シリーズを問わず取り替え可能です。

※現場の状況により施工に必要な時間は異なります。

※病気の予防、治療等を目的とした製品ではありません。

About LIXIL

LIXILは、世界中の誰もが願う豊かで快適な住まいを実現するために、日々の暮らしの課題を解決する先進的なトイレ、お風呂、キッチンなどの水まわり製品と窓、ドア、インテリア、エクステリアなどの建材製品を開発、提供しています。ものづくりの伝統を礎に、INAX、GROHE、American Standard、TOSTEMをはじめとする数々の製品ブランドを通して、世界をリードする技術やイノベーションで、人びとのより良い暮らしに貢献しています。現在約53,000人の従業員を擁し、世界150カ国以上で事業を展開するLIXILは、生活者の視点に立った製品を提供することで、毎日世界で10億人以上の人びとの暮らしを支えています。

株式会社LIXIL(証券コード: 5938)は、2024年3月期に1兆4,832億円の連結売上高を計上しています。

LIXILグローバルサイト:https://www.lixil.com/jp/

このプレスリリースには、メディア関係者向けの情報があります

メディアユーザー登録を行うと、企業担当者の連絡先や、イベント・記者会見の情報など様々な特記情報を閲覧できます。※内容はプレスリリースにより異なります。

すべての画像


ダウンロード
プレスリリース素材

このプレスリリース内で使われている画像ファイルがダウンロードできます

会社概要

株式会社LIXIL

59フォロワー

RSS
URL
http://www.lixil.co.jp/
業種
製造業
本社所在地
東京都品川区西品川一丁目1-1 大崎ガーデンタワー24F
電話番号
-
代表者名
瀬戸欣哉
上場
東証1部
資本金
346億円
設立
2001年10月