ルナルナ×シンクパール 共同調査

~女性の健康週間に考える、女性とがんの関係~

株式会社エムティーアイ

 (株)エムティーアイが運営する女性の健康情報サービス『ルナルナ』では、定期的にサービス内で様々な意識調査を行っています。多くのユーザーから回答が寄せられ、生理やカラダに関する内容をはじめ、ほかでは聞けない女性の悩みや本音が明らかになっています。
 Vol.38では、毎年3月1日~8日の「女性の健康週間」にちなみ、女性の健康教育と婦人科系疾患の予防啓発活動を行う一般社団法人シンクパール(代表理事:難波美智代)と共同で行った、女性とがんの関係についての調査結果をお届けします。
 国立がん研究センターと国立成育医療研究センターの集計※1によると、15歳から39歳までのAYA(Adolescent and Young Adult)世代では女性のがん患者が非常に多く、特に20歳以降は約8割の患者が女性であることがわかっています。子宮頸がんは20代後半から、乳がんは30代から増加することからも、若いうちから女性特有のがんについて正しく理解することはとても大切だといえますが、日常生活においてがんについて深く考えている人はどの程度いるでしょうか。ルナルナユーザーの声を聞いてみました。
■ 若い世代のがん患者は8割が女性?!衝撃的な事実も、知らない人が圧倒的多数
Q. あなたは、20〜39歳のがん患者の80%が女性ということを知っていますか。

 初めに、20歳から39歳のがん患者のうち約8割が女性であることを知っているか聞いてみると、「いいえ」が85.4%と圧倒的多数派でした。国立がん研究センターが推計する、生涯でがんに罹患する確率※2は、男性が62%、女性が47%と男性の方が高いため、一般的には「男性の方ががんになりやすい」というイメージを持っている人も多いのではないでしょうか。

 一方で「がんに女性特有のものがあることを知っていますか」という質問には9割以上の人が「知っている」と回答しており、特に子宮頸がんの認知率は99.3%、乳がんは92.4%と、ほぼすべての人が女性特有のがんだと認識していることが明らかになりました。

 

 

 

■ がんの知識は足りている?女性特有のがんの情報に触れるタイミングには個人差があった
Q. 現在のあなたの、女性特有のがんに対する知識は十分足りていると思いますか。

 女性特有のがんを初めて知った時期は人によって様々で、中学生の頃までに知っていた人は23.0%、社会人になって初めて知った人は26.4%と、いずれも同程度の割合でいることがわかりました。女性特有のがんを知ったきっかけとしては「TVや新聞、雑誌」が49.2%と最も多く、その次に「学校の授業」24.1%が続いています。2割弱の人は、身近な人の罹患によって初めて女性特有のがんの存在を知ったと回答しているように、人生の中でがんの情報に触れるタイミングやきっかけはかなり個人差があるようです。

 続いて「女性特有のがんに対する知識は十分だと思うか」という質問をしてみると、実に66.1%の女性「いいえ」と回答しました。多くの女性が、自分のがんに対する知識に不安を感じていることがうかがえます。
 

■ 子宮頸がんの感染経路やHPVワクチンの情報は十分に届いていないことが明らかに!
Q. 「子宮頸がん」の主な感染経路が「性交渉」であることを知っていますか。

 では、ルナルナユーザーは具体的にがんの知識をどの程度知っているのでしょうか。20歳代後半から増加し、40歳代でピークを迎える※3という子宮頸がんは、性交渉の際にヒトパピローマウイルス(HPV)に感染することが原因とされていますが、主な感染経路が性交渉であることについては「知っていた」59.8%、「知らなかった」40.3%という結果となりました。6割近くの人がきちんと認識している一方で、感染経路を理解していない人も約4割おり、がんの予防のためにも感染経路を含めた正しい知識をより啓発していく必要性を感じます。

 Q. HPVワクチンが政府にどのように定められているかを知っていますか。/お住まいの自治体のHPVワクチンの接種における取り組みを知っていますか。
 
次に、子宮頸がんを予防する手段のひとつであるHPVワクチンについて、ルナルナユーザーがどのように理解しているのかをたずねてみました。 
 HPVワクチンは、平成 22 年度から公費助成が開始され、平成25年より定期接種化されています。しかし、改めてHPVワクチンがどのように定められているかを問うと、「わからない」42.3%が最も多い回答となりました。予防接種法に基づき、12歳から16歳までは定期接種として受けられますが、「定期接種(公費助成)」で受けられると認識している人は約2割にとどまっています。 

 また、自分の住んでいる自治体が行っているHPVワクチンの接種における取り組みについても「全く知らない」58.9%、「あまり知らない」31.0%となり、約9割の女性が自治体の情報に触れていないことが明らかになりました。この結果には、HPVワクチンが副反応の影響などから現在積極的勧奨が中断されていることが一因にあるかもしれません。

 ■ 約9割の女性が「HPVワクチンを接種したことがない」!接種を受けた人の生の声とは

Q. あなたは、HPVワクチンを接種したことがありますか。
 
これまでの質問で、HPVワクチンについての情報にはなかなかアクセスしづらい状況がわかりますが、実際にワクチンの接種状況を聞いてみたところ、全体の約9割の人が「接種したことがない」ことがわかりました。
 ただ、現在20代前半にあたる女性のみ接種率が約4割にのぼっており、これは平成 22 年度から開始された公費助成、および平成25年の定期接種化が影響しているのかもしれません。






 Q.接種した理由を教えてください。(複数回答:上位5つ)/接種した後、どのような症状を感じましたか。(複数回答:上位5つ)
 
ワクチンを接種した人を対象に接種の理由を聞いてみると、「家族からすすめられて」46.9%が最も多く、その後「学校ですすめられて」30.7%、「地域の役所や保健所がすすめていたので」23.0%が続きました。

 また、ワクチンを接種した後に感じる症状について聞いてみると1位「痛みがあった」42.0%、2位「腫れや赤みができた」40.6%と、何らかの症状を感じた人が少なくないこともわかります。
 厚生労働省によると、ワクチンの接種後に一部から慢性疼痛や運動障害などの症状が報告されており、重篤と判断される頻度は10 万人あたり 51.1 人※4だとされています。
 一方、ワクチンの有効性も高く、子宮頸がん全体の50~70%の原因とされる2種類のHPVなどに持続感染の予防効果があり、これまで該当する2種類の感染やがんになる手前の異常を90%以上予防したという報告※5もあります。これらのことから、ワクチン接種の判断には、リスクと効果を医師や家族と十分に検討することが大切です。

 ■ 非接種の最大の理由は「ワクチンの存在を知らない」だった・・・!
Q. 接種していない理由を教えてください。(複数回答:上位5つ)

 最後に、HPVワクチンの接種をしていない人を対象に、その理由を聞いてみました。すると1位は「ワクチンがあることを知らなかった」37.0%となり、多くの人がワクチンの接種について自身で判断できる環境にすらないという結果となりました。2位は「接種後の副反応が心配だから」32.6%、3位は「信頼できる情報がないから」22.2%と続き、接種に不安を感じている女性が多いことがわかります。
子宮頸がんは、早期に発見できれば比較的治療しやすいがんであることからも、ワクチンの接種経験に関わらず、定期的に婦人科を受診し子宮頸がん検診を受けることで早めに異常に気付くことのできる状態を自ら作って欲しいと思います。

≪内閣官房参与・慶應義塾大学名誉教授・元日本産科婦人科学会理事長 吉村泰典医師からのコメント≫
がんの中でも子宮頸がんは近年、際立って増加しています。国内で子宮頸がんにより亡くなるのは年間約3,000人。その主要な原因は子宮頸部に感染するHPVです。子宮頸がんを予防する効果があるとWHO(世界保健機関)が認めているのがHPVワクチンですが、日本における接種率は、厚生労働省の積極的勧奨中止後1%以下の極めて低い水準にとどまっています。一次予防としてまずHPVワクチンによって子宮頸がんの罹患率を抑え、二次予防として検診によって死亡率を下げる、これが子宮頸がん対策の基本的な考え方です。こうした調査結果を通して、HPVワクチンに対する正しい理解が定着することを願ってやみません。

≪東京大学医学部付属病院放射線科准教授・厚生労働省がん対策推進企業アクション議長 中川恵一医師からのコメント≫
子宮頸がんの原因のほぼ100%が性交渉によるウイルス感染が原因ですが、4割の女性がこのことを知らないのは衝撃的でした。公費助成と定期接種化によって7割近い接種率になった5学年では、このがんの発症数が半分以下となりますが、今、接種率はほぼゼロとなっていますので、元の1万1千人/年に戻ることになります。しかも、発症が一番多いのが30代ですから影響は甚大です。このがんは検診が非常に有効ですから、ワクチン接種と検診を心掛ければ怖くありません。このことが徹底されている欧米では、子宮頸がんは胃がん同様、「過去のがん」になりつつありますが、日本では主要ながんのなかで唯一、死亡率が増加しています。知識と行動で、自分のカラダを自分で守る意識が必要です。 

≪女性特有のがんを経験した、女優 生稲晃子様からのコメント≫

HPVワクチンを接種させるべきかどうか…年頃の娘を持つ親御さんにとって共通の悩みの一つではないでしょうか。勿論子宮頸がんの予防になるのですから、私は我が娘が小さい頃から、中高生を目処にと考えていました。接種したことにより、一部重い副反応が出たとの報道があり戸惑いもありましたが、数少ないリスクよりも効果を信じ、いずれは受けさせたいと思っています。ただ情報も少ない上、思春期の娘にHPVワクチンの必要性を上手く伝えられるだろうかという不安があります。そこでがん教育が始まった今、病院の先生から直接子供達へ、正しい知識とワクチンの有効性を伝え、その流れで友達とともに接種を受けられるようにしていただくことを親として願っています。

≪一般社団法人シンクパール 難波美智代代表理事からのコメント≫

毎年、女性の健康週間に合わせて行っている本調査ですが、ここまで「知らない」という声が集まったのは、はじめてのことです。特にHPVワクチンの接種について、昨年末に婦人科や小児科の専門家団体から、定期接種で受けられることなど、正しい情報を自治体から告知することに対して、積極的な活動を支持する、という大きな動きも「あまり知らない」26.3%、「全く知らない」62.3%を合わせると約9割の人が知らないという結果となりました。自由回答の中では、「ニュースやワイドショーでは、芸能人の不倫とか薬物報道ばかりではなく、こういった生活の情報をもっと取り上げて欲しい」との声も。全くその通りだと思いました。私たちは、ワクチンに限らず予防や早期発見により、どう健康が守られるのかや、疾患に関する正しい知識持つこと、そして環境づくりに取り組むことが具体的にどう私たちの未来を支えるのかをわかりやすく示していくことが大切ですね。

 今回の「女性とがんの関係」の意識調査では、がんの存在自体は広く知られているものの、年代別の罹患率や、疾患の詳しい内容、予防方法までは情報が行き渡っていない状況がわかりました。特にAYA世代の女性はがんと無関係でないということを、女性の健康週間をきっかけに改めて意識し、自分の未来を守るための行動を取って欲しいと思います。
 「すべての女性の幸せの実現に貢献する」をミッションとする『ルナルナ』は、あらゆるライフステージの女性が人生においていつも自分の望む選択ができるようサポートするために、女性特有のがんとその予防に関する情報発信を今後も継続的に行っていきます。


調査実施時期 : 2020年2月7日~10日、調査方法および人数 :『ルナルナ』にて10代~50代以上の女性 6,334名
※1:国立がん研究センターと国立成育医療研究センターによる「がん診療連携拠点病院等院内がん登録2016-2017年小児AYA集計報告」 (2019年)より
※2:国立がん研究センター 2014年全国推計値データに基づく最新がん統計より
※3:国立がん研究センターHP 「子宮頸がん検診について」より
※4:厚生労働省による第 31回副反応検討部会(平成29年 11月)より
※5:厚生労働省HP 子宮頸がん予防ワクチンQ&A Q15より
 

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上場
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52億1800万円
設立
1996年08月