SAFの原料として期待されるポンガミアの試験植林を豪州クイーンズランド州にて開始
―ポンガミアの専門性を持つ農業イノベーション企業のTerviva社へ出資―
出光興産株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:木藤俊一、以下「当社」)は、持続可能な航空燃料(以下「SAF」)をHEFA※1技術にて生産する際の原料として期待される非可食の油糧作物ポンガミアの試験植林を、1月中旬から豪州クイーンズランド州で開始します。試験植林は、10年以上にわたるポンガミアの栽培知見と研究成果を有する米国のTerviva(テルビバ)社(本社:カリフォルニア州)と行います。なお、当社はTerviva社へ出資も行いました。豪州でのポンガミアの試験植林は、日本企業として初※2の試みです。この試験植林を通じて、ポンガミアの長期安定的な栽培方法や、栽培からSAFを生産するまでのサプライチェーンの最適化などの検証を行います。また、植林によるカーボンクレジットの創出、殻のブラックペレット化(バイオマス発電所向け)、搾りかすの家畜飼料としての利用など、SAFの原料以外としての活用方法も検証します。
東南アジアやオセアニアに分布するマメ科植物ポンガミアは、油収量効率の良い油糧作物です。ポンガミアは食用に適していませんが、種子を圧搾して得られる油は、SAFの原料としての活用が期待されます。これまで、ポンガミアは商業栽培されたことがなく、長期安定的に高収量の油を得るためには、優良品種の厳選と生産技術に加え、その栽培ノウハウの蓄積が重要となります。
今回の試験植林は、非農業エリアにおける栽培を検証すべく、豪州の石炭資源会社であるStanmore(スタンモア)社(本社:ブリスベン)の協力のもと、同社が管理・運営する約50ヘクタール(東京ドーム約11個分)の石炭鉱山の周辺用地で行います。
当社は2030年までに年間50 万kL のSAF 供給体制を構築することを計画しています。この供給体制の構築に向けて、徳山事業所ではHEFA技術による年間25万kL のSAF生産を2028年度から開始することを目指しています。しかしながら、SAFの需要拡大に伴い、SAFの原料は将来的な需給ひっ迫や価格変動が起こると予想されており、原料の確保が課題となっています。当社はポンガミアの自社栽培・油の活用が、長期にわたって安定的かつ経済的な原料確保策と考えており、商業規模への拡大に向け、試験植林を開始します。
※1 HEFA(Hydroprocessed Esters and Fatty Acids)
植物油などを水素化処理して得られる水素化エステル・脂肪酸からSAFを製造する技術・プロセス。SAF の国際規格「ASTM D7566 Annex2」として認証されている。
※2 当社調べ(2024年12月時点)
■ポンガミアの特徴
・インド、東南アジア、豪州北部などの熱帯、亜熱帯エリアに自生。国内では沖縄県南部の一部にも自生。
・強い日差しや干ばつに強く、海岸近くの塩分が比較的高い土壌でも栽培が可能。
・植物の生育に重要な窒素を栄養として蓄えることができるため、肥料が少なくても栽培が可能。また、蓄えた栄養による土壌改良の効果を有する。
・食料用途と競合しない非可食の油糧作物。
・単位面積あたりの油収量が他の油糧作物と比較して多いため、エネルギー供給量が多く、エネルギー供給量単位あたりのCO2排出量(CI値)は大豆の半分以下。
■Terviva社について
Terviva社は、米国カリフォルニア州に本社を置く農業イノベーション企業で、米国のフロリダ・ハワイ、インド、豪州において、地元農家と連携し、2010年からポンガミアの試験栽培、研究開発を行っています。これらの取り組みを通じて、同社はポンガミアの価値を最大化するために、油収量の多い非遺伝子組み換え優良品種の開発や最適な栽培方法の確立、その他副産物の開発などの成果を上げています。
■Stanmore社について
Stanmore社は、豪州ブリスベンに本社を置く豪州国内最大規模の石炭資源会社の一つであり、クイーンズランド州において4つの炭鉱の管理、運営や複数の新たな炭鉱プロジェクトの探索、開発を行っています。現在運営する4つの炭鉱の冶金用石炭(鉄鋼製造用途)生産能力は年間1,300万トンで、世界市場に向けて供給を行っています。
【参考】Idemitsuが目指す2050年とアクション
ACTION「食べられない植物『ポンガミア』の実が、航空業界における脱炭素化の鍵に!?」
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