イトーキ、防災・防衛等を想定した、手動で開閉可能な約1400kgの地下シェルター向け特殊扉を開発し、日本核シェルター協会モデルルームに設置
部品調達および組み立てを全て日本国内で完結し、世界基準をリードする耐衝撃・気密水密・放射線遮蔽性能を実現
株式会社イトーキ(本社:東京都中央区、社長:湊 宏司)は、民間防衛用地下シェルター向け特殊扉「BOUNCEBACK(バウンスバック)」を開発し、特定非営利活動法人日本核シェルター協会(茨城県つくば市)※1のモデルルームに設置しました。
■開発の背景
地下シェルター整備の先進国であるスイスにおける地下シェルターの普及率は100%以上、またフィンランドは80%以上など北欧でも高い普及率であるのに対し、日本における普及率はほぼゼロに等しいのが現状です。一方、災害大国である日本における地下シェルターの重要性は高く、有事における避難シェルターの確保に向け「シェルター(堅固な避難施設)及び地下利用促進議員連盟」が2022年12月に発足し、普及に向けた議論が活性化しています。
当社は、半世紀に渡り国内の高度医療・研究施設等におよそ3,000基もの特殊扉を納入するとともに、その技術に裏付けされた確かな品質で多種多様な要求や条件に対応してまいりました。今回設置した民間防衛用地下シェルター向け特殊扉は、防災・防衛機能として耐衝撃・気密水密・放射線遮蔽性能を有し、天災やテロなどの様々な脅威から人命や社会生活基盤となるデータ機器などを防護・遮断するものです。また、操作性・安全性にも配慮しており、モデルルームでは扉の開閉もお試しいただけます。
本開発と並行して、一般社団法人レジリエンスジャパン推進協議会が立ち上げた、産・学・官・民による「災害大国日本における有事に備えた地下シェルターに求められる性能・仕様の在り方検討ワーキンググループ」(以下、「ワーキングループ」)※2の企業委員に特殊扉メーカーとして唯一選出。日本におけるシェルターの性能・仕様のあるべき姿の原案策定に参画するとともに、一般社団法人レジリエンスジャパン推進協議会が唯一の認証機関である「レジリエンス認証」※3を取得しています。
当社は、これまでの国内の高度医療・研究施設への納入実績で培ってきた技術・品質に基づき、これからも地下シェルター向け特殊扉の開発を進めるとともに、ワーキンググループへの積極的な参画活動を通じて、人々の安心・安全でより豊かな生活の実現に貢献してまいります。
■製品の主な特徴
・日本製で実現した、世界基準をリードする耐衝撃・気密水密・放射線遮蔽性能
BOUNCEBACKは企画・設計から部品調達および組み立てを全て日本国内で完結した完全日本製製品です。シミュレーション-FEM解析-に基づく防爆構造で400kN/㎡の耐衝撃性を実現しているほか、2WAYヒンジを採用することによる2㎥/㎡・h(差圧:10kPa時)の気密性と0.03㎥/㎡・h(水頭:10M時)の水密性、ハンドル軸部を迷路化することで遮蔽欠損なく、普通コンクリート200㎜相当の放射線遮蔽性能も実現しています。
・質量約1400kgでありながら、女性や子どもでも扱える開閉&締付システム
質量約1400kgの扉には高性能ヒンジと据付精度の高さにより、女性や子どもでも扉の重さを感じずにスムーズに開閉することが出来ます。
・緊急時にも安心して扱える6つの安全対策
小口を掴ませない扉一体型の開閉バー、手や指が入らない吊元安全カバー、靴先が入らない床面クリアランス、ハンドル操作で枠に寄付く2WAYヒンジ、隙間や突起が無く手や瓦礫を巻き込まない丸型平面ハンドル(スポークレスハンドル)、開扉時に操作できないハンドルロック機構を採用。緊急時における混乱の中でも安全に操作でき、怪我などの2次災害を防ぎます。
■製品名に込めた願い
製品名「BOUNCEBACK(バウンスバック)」には、爆風、熱線・水害・放射線・飛来物・生物/化学剤・EMPを「跳ね返す」、被災下の困難な状況から「回復する」「立ち直る」の願いを込めています。文字の空色は「希望・解放」を、背景の銀色は「先進性・ミライ」をイメージしています。
扉裏面に印字している「みんなで力を合わせて困難を乗り越えよう」のメッセ―ジは、イトーキの企業理念から引用し、22言語で表記。住民同士の協力といたわりを促しつつ、日本にいる外国人への配慮と海外展開を意識しています。
ハンドル部分に描いたシンボルマークは、子どもの円陣を大人の円陣が囲う姿が弱者を守る大切さと尊さも教示しつつ、5色は生存環境としての「水・砂・土・木・火」を表し、ボーダレスとして5大陸も示唆します。
■主な仕様(※)
製品名 |
BOUNCEBACK(バウンスバック) |
サイズ |
枠:1330W×2130H×470D 扉:950W×2000H×350D |
質量 |
1400㎏(扉のみ) |
性能 |
耐衝撃:400kN/㎡ 気密:2㎥/㎡・h(差圧:10kPa時) 水密:0.03㎥/㎡・h(水頭:10M時) 放射線遮蔽:普通コンクリート200㎜相当 |
※ 今回設置した製品の標準的な仕様です。用途や条件等に合わせて設計、製作します。
■モデルルーム概要
施設名 |
特定非営利活動法人日本核シェルター協会 モデルルーム |
アクセス |
茨城県つくば市竹園2丁目13番地30 つくばエクスプレス「つくば駅」より徒歩16分 |
開館時間 |
10:00~17:00 |
休館日 |
土曜日、日曜日 ※年末年始等の長期休業期間 |
見学方法 |
会員、行政・自治体関係者、報道関係者のみに公開。但し、会員と同行する場合は一般見学が可能。お申込みはホームページ(https://www.j-shelter.com/)のお問い合わせフォームより。 |
■参考情報
※1:特定非営利活動法人日本核シェルター協会(プレスリリース)
「災害大国日本における有事に備えた地下シェルターに求められる性能・仕様の在り方検討ワーキンググループ」委員及び事務局へ(2024年2月9日付)
https://www.j-shelter.com/shelter_wg/
※2:一般社団法人レジリエンスジャパン推進協議会(プレスリリース)
「災害大国日本における有事に備えた地下シェルターに求められる性能・仕様の在り方検討ワーキンググループ」立上げ(2024年2月9日付)
https://www.resilience-jp.biz/wp-content/uploads/2021/09/d555496228c08e5fcc8e81a915055887.pdf
※3:一般社団法人レジリエンスジャパン推進協議会(ホームページ)
「レジリエンス認証」トップページ
https://www.resilience-jp.biz/certification/
■特定非営利活動法人日本核シェルター協会について
2003年に発足し、今年で設立21年を迎えるNPO法人です。一定の水準を満たした核シェルターの普及を最大の目的としています。中心となって立ち上げた企業はスイスと50年以上の付き合いがあり、世界で最も核シェルターが普及しているスイスの情報を保有しています。2023年以降は地下シェルターワーキンググループへの参加や研究部会で取り纏めた研究結果を、シェルター(堅固な避難施設)及び地下利用促進議員連盟と連携して、政府へ提言していく活動を行っています。
■イトーキの設備機器事業について
株式会社イトーキは1890年創業。ミッションステートメントに『明日の「働く」を、デザインする。』を掲げ、オフィス家具の製造販売、オフィス空間デザイン、働き方コンサルティング、オフィスデータ分析サービスのほか、在宅ワークや家庭学習用家具、公共施設や物流施設向け機器など、”Tech×Design based on PEOPLE”を強みに、さまざまな「空間」「環境」「場」づくりをサポートしています。
設備機器事業では、安全性と機能性が求められる工場・物流設備(SAS)をはじめ、高い技術と信頼性を要する特殊扉、生体認証やICカードによる情報セキュリティシステムなど、社会ニーズに的確に応えるシステム設備を幅広く提供しています。
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