昨年急逝した津原泰水さんの最高傑作短篇「五色の舟」を、宇野亞喜良さんが奇跡のヴィジュアル化! Toshiya Kameiさんによる英語対訳も収録。

初回特典として津原泰水さんの「直筆サイン+創作メモ」カード(複製)付き。第43回日本SF大賞・功績賞受賞&「SFマガジン」4月号では追悼特集も。

河出書房新社

2022年10月2日に58歳で急逝した津原泰水さんの最高傑作短篇「五色の舟」(2014年『SFマガジン』700号記念「オールタイムベストSF」国内短篇部門第1位)を、宇野亞喜良さんが18点の描き下ろし(装画・挿画)でヴィジュアル化した本が、3月14日に河出書房新社(東京都渋谷区/代表取締役小野寺優)より発売されます。
















 


  • 構想2年、奇跡のコラボレーションが実現

「オールタイムベストSF」国内短篇部門第1位(2014年『SFマガジン』700号記念)にも輝いた津原泰水さんの最高傑作短篇「五色の舟」を、宇野亞喜良さんが18点の描き下ろし(装画・挿画)でヴィジュアル化。
さらにToshiya Kameiさんによる英訳(初訳)を収録。

「ヴィジュアル版 五色の舟」ともいえる本書は、津原泰水さんが生前企画立案したもので、津原さんのご希望は2点。
[1]装画・挿画を宇野亞喜良さんにお願いしたい。
[2]海外の読者にも届けたいので英語の対訳を収録したい。英訳はToshiya Kameiさんにお願いしたい。

 津原さんが憧れてやまなかった宇野亞喜良さんに装画・挿画をご依頼したのが2021年のこと。2022年6月末には宇野さんの事務所に、津原さんとデザイナーの大島依提亜さんがうかがい、英訳が入った本文レイアウトと宇野さんが描かれた挿画ラフを前に、2時間近い打ち合わせが行われた。


宇野亞喜良さん描き下ろし挿画宇野亞喜良さん描き下ろし挿画

宇野亞喜良さん描き下ろし挿画宇野亞喜良さん描き下ろし挿画

本文レイアウト本文レイアウト


しかし残念ながら本作の完成を前に、津原さんは急逝されました。
その後、ご遺族、宇野亞喜良さん、大島依提亜さん、Toshiya Kameiさんをはじめ多くの方々のお力添えにより、ついに本書が完成。奇跡のコラボレーションをご堪能下さい。


  • 初回特典として、津原泰水さんの「直筆サイン+創作メモ」カード(複製)付き

本書には初回特典として、津原さん直筆の「サイン」(表面)と「創作メモ」(裏面)の複製が付きます。
5色の色紙に刷られた貴重な初回特典、ご期待下さい。
※1部につき1枚挟み込み。色はランダムになります。

  • 津原泰水、特別エッセイ公開

*津原さんが2020年のコロナ禍の最中、Web河出に「五色の舟」を全文公開した際の前書き。小説家としての姿勢が感じられる貴重なエッセイです。

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すこしのあいだ、ほんの暫くのあいだだけ、SARS-CoV-2が誕生しなかった世界を想像してみてください、「新型コロナウイルス」という不穏な響きに無縁で生きていられた世界を、反対派にぶつくさ云われながらも東京オリンピック・パラリンピックの準備が荒々しく進み、テレビは選手たちに意気込みを語らせて彼らの及第点を引き上げ、子供達は新しい教室に慣れを感じはじめる一方で連休の予定に胸を躍らせ、お洒落な人々は初夏を先取りした装いでコンサートや芝居に出掛けて風邪をひいている世界を。
そちら側のあなたにとって、治療法が確立されていない疫病が蔓延して連日数多くの人命が奪われ、悲嘆と閉塞感、対策を巡っての口論や罵倒に充ち満ちているこちら側は、失笑が洩れてしまうほど空想的で、野蛮で、もどかしく、でもすこしのあいだ、ほんの暫くのあいだだけなら覗いてみたい世界かもしれません。元の世界に戻れるあてもなく、だらだらと身を置きたいとは思わないでしょうけれど。
もし朝、目覚めたとき、自分がそういう世界の住人だったら――と「むこう側」のあなたはもうひとりの自分を想像し、しかし程なくしてみずからにこう宣言するでしょう――出来ることは限られるかもしれないが、少なくとも、人々への無償の愛と凛々たる勇気を胸に、世界の残酷さに挑み返してやる、断じて負けるものか、後退るものか、と。
誰しもがSARS-CoV-2なき世界に暮らしていた頃、僕はひとつの小説を書きました。その頃から見ても遥かに昔の出来事を、空想して描いた作品です。あるべきだった世界の姿と実際に訪れた世界の姿が、凄まじい速度で乖離していく今、僕はその空想を、改めてたくさんの方に読んでいただきたくなりました。自分の希望というよりも、果たさねばならない義理を思い出したような感覚でした。矢も楯もたまらずその日のうちに出版権を委ねている河出書房新社に相談を持ちかけましたところ、幸いにして無償公開へのご快諾を賜ることが出来ました。
残酷で退屈な「こちら側」でのご退屈しのぎが、いまそこに居られるはずだった「むこう側」のあなた、そしてその思い描くところの凛々しい「こちら側」のあなたへと、輝かしい反射を重ねてくれますならば、かつての僕はこの小説をものした甲斐がありました。

2020年4月28日
津原泰水
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「五色の舟」全文公開はこちら
https://web.kawade.co.jp/bunko/3479/

「SFマガジン」4月号。津原泰水・追悼特集の詳細はこちら
https://www.hayakawa-online.co.jp/shopdetail/000000015368/shurui_71_SFM/page1/order/
 


【書誌情報】
タイトル:五色の舟
著者:津原泰水・作/宇野亞喜良・絵/Toshiya Kamei・英訳
デザイン:大島依提亜
定価:2,860円(本体2,600円)
体裁:A5変判/上製・角背/128頁
備考:宇野さんの「絵」は4色+2色で掲載
ISBN:978-4-309-03099-9
発売日:2023年3月14日(火)予定
https://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309030999/



【著者略歴】
津原泰水 (つはら・やすみ)
1964年広島市生まれ。青山学院大学卒業。“津原やすみ”名義での活動を経て、97年“津原泰水”名義で『妖都』を発表。著書に『蘆屋家の崩壊』『ブラバン』『バレエ・メカニック』『11 eleven』(Twitter文学賞)他多数。「五色の舟」(『11 eleven』収録)は、「SFマガジン」700号記念「オールタイムベストSF」国内短篇部門第1位となる。2022年10月2日逝去。

 宇野亞喜良 (うの・あきら)
1934年名古屋生まれ。名古屋市立工芸高校図案科卒業。日本デザインセンター、スタジオ・イルフィルを経てフリー。日本絵本賞、読売演劇大賞選考委員特別賞等を受賞。99年紫綬褒章、2010年旭日小綬章受章。

 Toshiya Kamei (としや・かめい)
おとぎ話や民話を題材に小説を執筆。短篇を『Daily Science Fiction』や『Galaxy’s Edge』などの雑誌に掲載。翻訳を『Strange Horizons』などに寄稿。

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会社概要

河出書房新社

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業種
情報通信
本社所在地
東京都新宿区東五軒町2-13
電話番号
03-3404-1201
代表者名
小野寺優
上場
未上場
資本金
3000万円
設立
1957年05月