下部マントルの不均一性を解く鍵:沈み込みスラブを起源とするブリッジマナイトの単結晶構造物性が明らかに!

国立大学法人岡山大学

山口大学、高輝度光科学研究センター、東北大学、広島大学、岡山大学の共同研究成果です!
2021(令和3)年 11月 30日
国立大学法人岡山大学
https://www.okayama-u.ac.jp/
 



<発表のポイント>
  • 下部マントルへ沈み込んだ海洋地殻で生成する鉄成分とアルミニウム成分に富んだブリッジマナイトにおける鉄とアルミニウムの導入メカニズムは、それらがマグネシウム・珪素と置き換わる「電荷カップル置換」だけに支配されていることを明らかにしました。
  • 歪んだペロブスカイト型構造をもつブリッジマナイトが、下部マントル深部に行くにつれて、他のペロブスカイト型構造へ相転移する可能性は否定できないことを示しました。
  • 弾性波速度の一つであるバルク音速を結晶学的アプローチから見積る方法論も提案しました。この手法は下部マントル中での地震波特性を知る有力な手掛かりになると期待されます。


◆概 要
 山口大学大学院創成科学研究科の中塚晃彦准教授は、高輝度光科学研究センターの福井宏之研究員(研究当時、兵庫県立大助教)および平尾直久主幹研究員、東北大学学際科学フロンティア研究所の鎌田誠司助教(研究当時)、広島大学大学院先進理工系科学研究科の大川真紀雄助教、東北大学金属材料研究所の杉山和正教授、岡山大学惑星物質研究所の芳野極教授との共同研究において、鉄(Fe)とアルミニウム(Al)の成分に富む中央海嶺玄武岩(MORB)組成から生成されるブリッジマナイト(下部マントルの主要鉱物)の単結晶合成に成功しました。

 この単結晶試料に対するX線精密構造解析と放射光メスバウア分光測定により、下部マントルへ沈み込んだ海洋プレート(スラブ)のうち最上部を構成するMORBすなわち海洋地殻で生成されるブリッジマナイトでは、電荷カップル置換というメカニズムのみによって、FeとAlが結晶構造中へ導入されることを明らかにしました。

 下部マントルの化学組成の不均一性を解く鍵を握るMORB組成から生成したブリッジマナイトの単結晶構造物性を明らかにしたのは、本研究が世界で初めてです。

 この研究成果は、2021年11月24日に英国の科学雑誌Natureの姉妹誌である「Scientific Reports」に掲載されました。
 

図1.(a)SPring-8のビームラインBL10XUに設置されているメスバウア分光装置と(b)その模式図。(c)ブリッジマナイト単結晶のメスバウアスペクトルと(d)そのフィッティング残差。この測定から、合成されたブリッジマナイト中の鉄(Fe)はすべて3価の高スピン状態であることが分かった。

 

図2.ブリッジマナイトの結晶構造。珪素/アルミニウムが中心に存在する配位多面体(八面体)の結合を描いている。ソフトウェアATOMS (https://www.shapesoftware.com/00_Website_Homepage/)で作成した。


◆論文情報
 題 目:Incorporation mechanism of Fe and Al into bridgmanite in a subducting mid-ocean ridge basalt and its crystal chemistry
 著 者:Akihiko Nakatsuka, Hiroshi Fukui, Seiji Kamada, Naohisa Hirao, Makio Ohkawa, Kazumasa Sugiyama & Takashi Yoshino
 雑 誌:Scientific Reports
 D  O  I:10.1038/s41598-021-00403-6
   U  R  L:https://www.nature.com/articles/s41598-021-00403-6


◆詳しいプレスリリースについて
 下部マントルの不均一性を解く鍵:沈み込みスラブを起源とするブリッジマナイトの単結晶構造物性が明らかに!
 http://www.okayama-u.ac.jp/up_load_files/press_r3/press20211129.pdf


◆参 考
・岡山大学惑星物質研究所
 http://www.misasa.okayama-u.ac.jp/jp/
 



◆本件お問い合わせ先
<岡山大学の研究担当者>
 岡山大学惑星物質研究所 教授 芳野 極
 〒682-0193 鳥取県東伯郡三朝町山田827
 http://www.misasa.okayama-u.ac.jp/~hacto/top_j.html

<岡山大学の産学官連携などに関するお問い合わせ先>
 岡山大学研究推進機構 産学官連携本部
 〒700-8530 岡山県岡山市北区津島中1-1-1 岡山大学津島キャンパス 本部棟1階
 TEL:086-251-8463
 E-mail:sangaku◎okayama-u.ac.jp
     ※ ◎を@に置き換えて下さい
 https://www.orsd.okayama-u.ac.jp/

 岡山大学メディア「OTD」(アプリ):https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000011.000072793.html
 岡山大学メディア「OTD」(ウェブ):https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000215.000072793.html
 岡山大学SDGsホームページ:https://sdgs.okayama-u.ac.jp/
 岡山大学Image Movie (2020):https://youtu.be/pKMHm4XJLtw
 産学共創活動「岡山大学オープンイノベーションチャレンジ」2021年12月期共創活動パートナー募集中:
 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000374.000072793.html

 岡山大学『THEインパクトランキング2021』総合ランキング 世界トップ200位以内、国内同列1位!!
 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000070.000072793.html
 岡山大学『大学ブランド・イメージ調査2021~2022』「SDGsに積極的な大学」中国・四国1位!!
 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000373.000072793.html
 岡山大学『企業の人事担当者から見た大学イメージ調査2022年度版』中国・四国1位!!
 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000122.000072793.html

国立大学法人岡山大学は、国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」を支援しています。また、政府の第1回「ジャパンSDGsアワード」特別賞を受賞しています国立大学法人岡山大学は、国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」を支援しています。また、政府の第1回「ジャパンSDGsアワード」特別賞を受賞しています

すべての画像


会社概要

国立大学法人岡山大学

51フォロワー

RSS
URL
https://www.okayama-u.ac.jp/
業種
教育・学習支援業
本社所在地
岡山県岡山市北区津島中1-1-1 岡山大学津島キャンパス 本部棟
電話番号
086-252-1111
代表者名
那須保友
上場
未上場
資本金
-
設立
1949年05月