水中の遺伝子情報から生物多様性を観測する「環境DNA調査」のデジタル化。採水地点の位置情報や調査日時などの記録を自動化!データ登録工数が約60%削減

東北大学大学院生命科学研究科 近藤研究室がフィールド調査記録を手書きからスマホ入力へ

アステリア株式会社

アステリア株式会社(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長:平野洋一郎、証券コード:3853、以下 アステリア)とキーウェアソリューションズ株式会社(本社:東京都世田谷区、代表取締役社長: 三田昌弘、証券コード:3799、以下 キーウェア)は、両社が連携し国立大学法人東北大学大学院(所在地:宮城県仙台市)生命科学研究科(以下 生命科学研究科)の近藤研究室(教授:近藤倫生)が主導する水中の遺伝子情報から生息する生物の多様性を観測する「環境DNA調査」のフィールド調査を、ノーコード※モバイルアプリ作成ツール「Platio(プラティオ)」を用いてデジタル化したことを発表します。

近藤教授がアプリを作成する様子


東北大学大学院生命科学研究科 近藤研究室が「環境DNA調査」をデジタル化した背景

同大学院では、生命科学研究科の近藤倫生教授の統括の下、バケツ1杯の水に含まれる遺伝子情報から生息する生物の種類や分布を判別する環境DNA調査を手掛けています。この調査では、市民ボランティアなどの調査員が全国各地の海や川の水を採取。調査員は採水した日時、位置情報(経緯度)、天候などの情報を紙に手書きで記載する形態でのフィールド調査を行ってきました。


しかしながらフィールド調査における記録が屋外での手書き入力であったために、桁数が多くなる経緯度などの記録では記載ミスが多発したほか、紙の調査票が汚れるなどアナログならではの課題を抱えていました。紙に記載された大量の情報をパソコンで入力する必要があるなど、後工程でのデータ登録作業も非効率になっていたため、フィールド調査のデジタル化を検討していました。

Platioでの入力の様子
従来の紙の調査票(イメージ)


Platioを導入したポイント

抱えていた課題

Platioが解決したポイント

紙に記録された調査結果をデータ化する入力作業に相当の工数が必要

アプリに入力された内容は即座にデータ化されるので、紙への記録をデータ入力する作業が解消された

 [100件あたり約2.5時間の登録工数削減を実現]

手書きで記録していたため位置情報(緯経度)を中心に記載ミスが多い

スマホのGPS機能が活用できるので、位置情報の記録が自動化され経緯度の転記ミスが撲滅された

[全体の20%程度必要だった修正を撲滅]

デジタル化やアプリ化を検討するにも関係者に専門知識のある人がいない

アプリ作成経験のない非IT技術者でもアプリの作成やカスタマイズが可能なノーコード仕様(注)

山間部や海岸が主要調査地点のため、通信圏外となる調査地点が多い

アプリ利用時に通信圏外であっても、通信接続回復時に自動アップロードされるPlatio独自の機能が僻地調査で有効

屋外かつ水辺でのフィールド調査が多く調査票が濡れるなどの問題が多発

屋外での紙によるアナログ記録からスマホアプリへの入力になり記録情報の品質向上へ[ヒューマンエラーの撲滅]

(注)Platioのアプリを利用する環境はアステリアが提供し、実際のフィールド調査で使用するアプリのプロトタイプ作成はPlatioパートナーのキーウェアが担当。Platioは非IT技術者でもアプリの変更や修正が可能なノーコード仕様であることから、調査現場のニーズや用途に合わせて近藤教授自ら手直しを重ねて完成度を高めてきました。


これにより、今まで手書きで記録していた採水地点の位置情報や調査日時等の記録が自動化・デジタル化され、調査データの取り込みもCSVデータで一括処理が可能となり、データ登録工数が半分以下に削減されました。東北大学大学院生命科学研究科の近藤倫生教授は、今後も全国各地で行われるフィールド調査に対応した新規アプリを作成するなど、調査・研究活動におけるデジタル化やDXを推進していく方針です。


ユーザーコメント

地球環境の持続可能性を高める上で、生物多様性を確保していくことや適正にモニタリングしていくことが喫緊の課題になっています。環境DNA調査は、バケツ一杯の水から存在する生物の種類や分布が分かる革新的な生物調査で、幅広い業界での利活用が期待されています。

その一方で、紙によるアナログ的な手法で行っていたフィールド調査では効率が悪く、調査範囲を拡げることを阻むハードルになっていました。今年からPlatioを導入し小学生から高齢者まで150名以上の調査員が利用しましたが、従来の紙への記録では多発していた経緯度の誤記や入力ミスがほぼ無くなり、データ登録作業時間もいっきに削減することができました。ノーコード仕様なので、私自身がPlatioアプリのカスタマイズができることも画期的で、小さなことでも気がつく度に改善を加え続けています。大学の調査・研究活動には、まだまだ沢山のアナログ処理が残っているので、他の研究活動でもPlatioによるデジタル化を検討していきたいです。

東北大学大学院生命科学研究科:近藤 倫生 教授

山を愛するものとして山岳地帯の環境調査に協力するために、今年の5〜6月にかけてクライマーなどの山岳愛好家(山の人)とともに全国約100箇所で環境DNA調査を実施しました。私自身もアプリを使ったフィールド調査は初めてでしたが、Platioアプリの直感的な操作により戸惑うことなくスムーズな報告や集計をすることができました。特に山岳地帯は足元が厳しい場所や圏外のエリアが多いのですが、スマホから簡単に登録ができて、経緯度などの複雑な情報はスマホのGPS機能から自動的に記録できるので子供でも簡単に登録ができました。またPlatioは圏外であっても問題なく動作し通信回復時に自動アップロードされる仕様も好評でした。

大学などの機関が実施する調査でPlatioのようなアプリが導入されていると、初心者でも気軽に参加できるので、今後も環境DNA調査に協力していきながら、山岳地帯の環境保全やネイチャーポジティブなマインドの普及啓発に向けた活動を推進してまいります。

特定非営利活動法人ファーストアッセントジャパン 理事長

宮城県山岳連盟 会長:むらかみ みちこ 氏

<事例掲載URL:Platio> https://plat.io/ja/case/tohokudaigaku

 
※:ソースコードを書かなくてもソフトウェアやアプリなどの開発ができる仕組み。ノーコードで開発することができるPlatioは、プログラミング言語に関する専門的な知識がなくても、必要とする機能の実装や現場の運用に合わせたアプリ仕様の調整などが可能。


■「アステリア株式会社」について( Webサイト https://jp.asteria.com/
アステリアは社会や企業を「つなぐ」エキスパートとして「ソフトウェアで世界をつなぐ」をコンセプトに、ヒト、モノ、オモイを「つなぐ」製品やサービスを提供するソフトウェア開発企業です。基幹製品のASTERIA Warpは、様々なシステムやクラウドのデータをノーコードで連携できる製品として、1万社(2023年8月1日現在)を超える企業に導入されています。また、デジタルコンテンツプラットフォームHandbook Xは、資料や動画、Webサイトなどあらゆる情報をアプリにまとめて管理できるクラウドサービス。モバイルアプリ作成ツールPlatioは誰でも簡単に自社の業務に合ったモバイルアプリをノーコードで作成・活用できるクラウドサービス。ノード統合プラットフォームGravioはノーコードで様々な場所にある多様なデータを集約、活用し情報の一元管理を可能とするノードコンピューティング基盤。これらの製品提供を通じて、DXや業務の効率化を推進しています。また、(一社)ブロックチェーン推進協会、(一社)ノーコード推進協会などの設立に参画するなど、様々なイノベーションを推進し新しいテクノロジーや価値観を普及啓発する活動にも取り組んでいます。

■「キーウェアソリューションズ株式会社」について( Webサイトhttps://www.keyware.co.jp/
キーウェアは創業以来、約60 年以上にわたり、官公庁、運輸、通信、金融、医療、流通、製造など多様な分野において、社会インフラを支える情報システムの構築に携わってまいりました。数多くの実績を通じて培った豊富な業種・業務ノウハウと多種多様な ITスキルを基に、IT コンサルティングから、IT 導入・構築・運用まで一連のシステムのライフサイクル全般にわたり、お客様のニーズに最適なソリューションを提供しております。さらに近年は、業務最適化コンサルティング、「Platio」「AI-OCR KeyRex with AI inside」などのデジタル化ソリューション、各種RPAソリューション、「ASTERIA Warp」などのデータ連携ソリューションを通じDX推進に取り組む企業を支援する「DXファーストステップソリューション」を提供し、企業のデジタル化を強力にサポートしています。

■「東北大学大学院生命科学研究科」について( Webサイトhttps://www.lifesci.tohoku.ac.jp/
「こころと体を制御するしくみの解明をめざす、脳生命統御科学専攻 (Integrative Life Sciences)」、「環境変動下における細胞・生物個体から生態系までの維持機構の解明をめざす、生態発生適応科学専攻 (Ecological Developmental Adaptability Life Sciences)」、「分子が生命体内で働く仕組みから生命制御の方法を解明する、分子化学生物学専攻 (Molecular and Chemical Life Science)」の3つの専攻で構成されています。それぞれの専攻では、最先端の研究・教育を通して、ライフサイエンスに関する幅広い知識と研究力をもち、さまざまな方面で活躍できるグローバルリーダーを育成します。

■ 「Platio」について( Webサイト https://plat.io/
Platioは、誰でも簡単に自社の業務に合ったモバイルアプリをノーコードで作成・活用できるクラウドサービスです。現場のデジタル化と業務プロセス改善をスピーディに実現できるため、現場のDX推進に最適です。Platioは100種以上の豊富なテンプレートによりプログラミング未経験の現場担当者でも業務アプリを簡単に作成できます。アプリに入力したデータは管理者へリアルタイムに共有されるほか、検知機能により現場の異常をいち早く管理者へ通知できます。複雑かつ高価格になりがちな業務用アプリを、手軽に作れるソリューションであることが評価され、2018年度には「 グッドデザイン賞」を受賞しています。2022年にはアプリ作成・活用だけでなく、データ連携までをノーコードで実現できるPlatio Connectを発売。これにより、現場データと様々なシステムやサービスをシームレスに連携し、データ活用の支援もしています。

■ 「環境DNA」について
水中や土壌中など環境中に存在する生物由来のDNA(デオキシリボ核酸)を指します。生物はフンや粘液などと一緒に自らのDNAの痕跡を環境中に残します。野外で採取した水や土壌などから生物由来DNAを抽出、分析することでそこに住む生物の種類を知る技術(環境DNA技術)が近年になって大きく発展しました。捕獲や直接観察に頼る従来の生物調査法に比べて、調査現場での作業が圧倒的に少ないことから、従来の調査法では容易ではなかった多地点、高頻度での生物調査を実現する画期的な方法として注目されています。


アステリア、ASTERIA、Handbook、Platioはアステリア株式会社の登録商標です。
本文中の商品名は、各社の商標または登録商標です。

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会社概要

アステリア株式会社

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URL
https://jp.asteria.com/
業種
情報通信
本社所在地
東京都渋谷区広尾1丁目1番39号 恵比寿プライムスクエアタワー19F
電話番号
03-5718-1297
代表者名
平野洋一郎
上場
東証プライム
資本金
22億7534万円
設立
1998年09月