世界遺産・富岡製糸場が幻想的な映像と音楽に包まれる、「富岡製糸場World Heritage RUNWAY」で発信した繊細で美しい日本カルチャー

アソビシステム株式会社

2023年10月18日 10時00分

観光再始動事業「富岡製糸場World Heritage RUNWAY」が、10月6日（金）より2週に渡り6日間、群馬県富岡市で開催された。

「富岡製糸場World Heritage RUNWAY」は、国宝・世界文化遺産に登録されている富岡製糸場を舞台にした映像・音楽・ファッションの複合型イベント。富岡製糸場を中心に群馬県富岡市の街と連携し、『お蚕の世界と現実のパラレルワールドが交わる幻想的で特別な体験を楽しむことのできる祭り』というコンセプトのもと、群馬から世界へ日本カルチャーを発信するイベントとして初開催された。

＜アフタームービー＞
https://www.youtube.com/watch?v=eUA8XZoo-ZQ

イベントの舞台となった富岡製糸場は、明治5年に建設された日本で最初の官営模範製糸場。高品質生糸の大量輸出を目的とし、設立指導者ポール・ブリュナ他10人ほどのフランス人を雇い、近代的な製糸技術を導入。全国から数多くの工女が集まり、日本の絹産業を支えるだけでなく、女性の社会進出の先駆けにもなった。2014年6月には近代製糸業の発展に貢献した歴史的価値と、それらを証明する建造物群などが良好な状態で保存されていることが大きく評価され、世界遺産として登録。同年12月には繰糸所、西置繭所、東置繭所の3棟が国宝となった。

今回のイベントの最大の目玉は、プロジェクションマッピングやライトアップなどのデジタルアート作品で観客を魅了するクリエイティブカンパニー NAKED, INC.（ネイキッド）が空間演出を務めた国宝・富岡製糸場西置繭所での幅約45ｍの巨大なプロジェクションマッピングショー。文化的な歴史も深い富岡ならではの演出が組み込まれたショーは、絹のように光り輝く糸や富岡の豊かな草木、昔ながらのレトロな看板や提灯などをカラフルかつ幻想的に映し出していた。普段の富岡製糸場では見ることのできない鮮やかな景色に、富岡に住む市民たちも思わず息をのむほどであった。

また、富岡製糸場、旧韮塚製糸場、しるくるひろば東屋（市庁舎前ひろば）など3箇所では「NAKED夜さんぽ™ -世界遺産・富岡製糸場-」を開催。『NAKED夜さんぽ™』は、ネイキッド発案の屋外回遊型のナイトウォークイベントで、これまでも群馬県の伊香保温泉街や、宮城県松島の国宝・瑞巌寺をはじめ、様々な地域とコラボレーションしてきた。今回は富岡製糸場の所在地・群馬県に縁のある草木染カラーをモチーフに、赤、青、ピンク、緑、黄色の5色のカラーバリエーションの提灯アート「NAKEDディスタンス提灯（R）」を用意。巨大プロジェクションマッピングショーだけでなく、富岡製糸場東置繭所、旧韮塚製糸場のライトアップなど夜の富岡市を幻想的に彩った。

富岡製糸場東置繭所

旧韮塚製糸場

しるくるひろば東屋では提灯アートの貸し出しのほか、X（旧Twitter）の国内急速リツイートにもランクインした大人気のアートおみくじ「NAKED花みくじ（R）」も実施。地元の若者だけでなく外国人観光客もSNS映えするコンテンツを大いに楽しんでいた。それだけでなく、富岡市との連携イベント「富岡ナイトグルメさんぽ」として、期間中に営業を行っている富岡製糸場周辺の飲食店、土産物店を紹介するMAPも配布され、地域活性化を後押しした。

さらに、14日（土）、15日（日）にはスペシャルイベントとして富岡製糸場西置繭所前広場特設ステージにて「Tomioka Silk Fantasia 〜絹の幻想祭〜」を開催。今イベントでは、世界最大の演劇祭エジンバラ・フェスティバル・フリンジにて舞台作品「THE SAKE」を発表し、5つ星を獲得するなど国内外で活躍する群馬県出身の山田淳也が演出を担当。閉園後の富岡製糸場で行われたこのイベントには地元住民だけでなく、県外からの観光者、外国人観光客なども来場。片手に「NAKEDディスタンス提灯（R）」を持ってやってくる人も多く見受けられた。

熱気が溢れる会場は巨大プロジェクションマッピングショーからイベントが幕を開けると、和太鼓奏者・山部泰嗣が登場。虫の鳴き声が聴こえる静寂な夜空の下、時に繊細で、時に力強い太鼓が響き渡る。一打一打振り落とされるその手に魂がこもった圧巻のパフォーマンスを堂々と披露した。

山部泰嗣

打って変わって軽快なサウンドとともに続いてステージに上がったのは、東京を拠点に活動するクリエティブ集団・bala（バラ）。MANON、SUNNY ONLY 1、DAN、KANOらZ世代で構成されたbalaは、蚕のように真っ白な衣装を身に纏いパフォーマンスを繰り広げる。ポップなメロディで客席を沸かせたと思いきや、美しい歌声で観客の心を掴むなど、Z世代らしい何者にも縛られない変幻自在な世界観を見せつけた。

bala bala

ラストは群馬県出身であり作曲家・プロデューサー・DJであるDÉ DÉ MOUSEが雷鳴とともに登場し、メインコンテンツであるファッションショーがスタート。このショーは群馬県に住む一人の少年が時空の狭間に迷いこむという設定で、DÉ DÉ MOUSEによる幻想的なライブと、それに調和するアート性の高いファッション、モデルたちによるダンスパフォーマンスが入り混じる。妙義山、榛名山、赤城山といった群馬の山々、そして今回のショーの舞台となった富岡製糸場や蚕の世界などを音楽と映像、そして多種多様なファッションやシルクのようにしなやかで美しいダンスで見事に表現した。見る者を惹きつける圧倒的な世界観に包まれた約60分はまさに“ファンタジー”。幻想的な光に照らされた富岡製糸場をより一層輝かせた。

DÉ DÉ MOUSE

最終日となる15日には4年ぶりとなる「とみおか秋まつり」も日中に開催され、大盛り上がりのなか幕を閉じた「富岡製糸場World Heritage RUNWAY」。生糸を世界中へ輸出するために建設された歴史を持つ富岡製糸場だが、今回のイベントもシルクと同じく繊細で美しい日本カルチャーを世界中に発信したに違いない。