コロナ禍における後継者不在旅館M&A事例:後継者を公募した旅館(兵庫県)が約1カ月で譲渡先決定

~「日本の夕陽百選」の夕日を敷地内から望める絶景宿を、設計事務所(神奈川県)が引き継ぐ~

Visional

Visionalグループのビジョナル・インキュベーション株式会社(所在地:東京都渋谷区/代表取締役社長:村田 聡)が運営する事業承継M&Aプラットフォーム「ビズリーチ・サクシード」(https://br-succeed.jp/)は、事業を譲りたい経営者がオープンに譲り受け企業を公募する「ビズリーチ・サクシード 後継者公募」を2021年8月17日に開始しました。第1弾として、山陰海岸国立公園内に立地する旅館「臨海荘」を運営する株式会社今子浦臨海センター(所在地:兵庫県/以下、臨海荘)が、後継者不在で早くよい相手に出会うべく、名前を公表して譲渡先を広く募集したところ、2021年9月28日に株式譲渡契約を締結し、約1カ月で譲渡先が決定したことをお知らせします。譲渡先は、設計事務所を営む設計舎三日月株式会社(所在地:神奈川県)です。2020年の後継者不在の旅館・ホテルは60.7%(注1)、2020年の宿泊業の倒産は前年比1.5倍の118件で(注2)、コロナ禍の影響を大きく受けている宿泊業は厳しい環境のなか、約1カ月で成約するのは異例です。

■旅館「臨海荘」の特徴、周辺の見どころ:国立公園内の美しい景観と、海や山の幸

・山陰海岸国立公園内に位置し、「日本の夕陽百選」(注3)にも選ばれた素晴らしい景観が敷地内から望める。
・周辺の自然が豊か(海岸まで徒歩1分)で、さまざまなアクティビティを満喫できる。夏は海水浴やスキューバダイビング、シーカヤック。冬はスキー。
・四季を通じて新鮮な魚介類がそろう海の幸、山の幸の宝庫。代表的なものは、松葉ガニ、香住(かすみ)ガニ、但馬牛(たじまぎゅう)、活イカ料理、日本酒「香住鶴」など。
・総敷地面積は700坪(駐車場は自家用車25台分)と広く、バーベキューなど屋外でのアクティビティも可能。
※臨海荘公募記事:https://br-succeed.jp/content/news/pr/post-5770

■譲渡先は、宿泊業も手がける設計事務所。臨海荘の名前とともに想いを引き継ぐ
臨海荘の譲渡先となる、設計舎三日月株式会社は、土地の分譲事業などを手がける設計事務所を運営。建築業界歴29年の代表取締役の山下 猛次 氏は、5年ほど前から宿泊業に興味を持ち、沖縄県で宿泊施設を建設予定のほか、関東地方で飲食店を経営。このようななか、さらに沖縄県で宿泊事業や外食事業のM&Aを検討すべく、「ビズリーチ・サクシード」に登録していたところ、臨海荘の公募を知り、即日応募。もともとは国立公園内の立地に興味を持ち、建物は築50年超のため、建て替えを想定。しかし、応募3日後に臨海荘代表の駒居氏にオンラインで初面会した際に、先代から引き継いできた臨海荘の51年間の想いや魅力について聞き、「臨海荘の名前を残し、必要な改修はするものの、建物もできるだけ残したまま引き継ぎたい」と考えを変える(ただし、今後、建物の詳細状況を確認しながらプランを決定)。その2週間後に「臨海荘」を訪問し、駒居氏と面会し、譲り受けることを決意。

設計舎三日月株式会社 代表取締役 山下 猛次  コメント
初めて臨海荘を訪問したときに最も印象に残ったことは、臨海荘の中を案内してくださっているときの、駒居様の温かさです。すごく親切に接してくださいました。そして何といっても景色です。日本海の美しさや波の立ち方を目の当たりにし、すてきな場所だと感激しました。今後についてですが、雇用は地元の方を募る方向です。急いで何かをするのではなく、長期的に考えて新しい形にしていきたいです。広い敷地内でのグランピングもあるでしょうし、リノベーションした建物内でこれまで通りファミリー層に過ごしていただきたいとも思います。お子様からお年寄りまで、地域の皆さんやちょっと足を延ばしたいというお客様、多くの方に愛されるような場所にしたいです。

これまで、設計事務所の運営を本業としながら、宿泊や学習塾など他業種に領域を広げることで、目のつけどころや違った視点が生まれました。そこから本業の設計にフィードバックできることもあります。多角化経営や「M&A経営」は、それまででは気づけなかった点を浮かび上がらせてくれます。今、私たちは未曽有のコロナ禍にありますが、この先同様の事態が起きたとき、複眼的な経験が事業経営においていろいろな転用を可能にするように思います。

 

株式会社今子浦臨海センター 代表取締役 駒居 誠治  コメント

今年1月に長男を亡くし、後継ぎを突然失いました。私は79歳、家内は75歳と高齢なので、経営が悪くならないうちに、どなたかにお譲りしたいと考えるようになりました。日本政策金融公庫様からM&Aの話を聞き、「ビズリーチ・サクシード」を紹介していただきました。経験のない者が交渉に臨むよりも、間に信頼できる会社に入ってもらう方が、譲渡する側も譲り受けする側も納得がいくだろうと思ったからです。また、コロナ禍の影響で、お客様の数は、一昨年と比較して、去年も今年も半分くらいで不安もありました。今年の1月以降は娘が手伝ってくれていたのですが、娘も家族がいて大変なので、8月で営業をやめることにし、公募しました。しかし、「もし良い方にお会いできなかった場合、廃業するにも費用がかかるし・・・」と不安もありましたが、できれば結論は冬までは先延ばしにしたくないと考えていました。
 

公募のインタビューでは、譲渡先への希望として、「できれば宿泊・観光業を継続してくださる方が良いですが、他の用途でも、改装していただいても大丈夫ですし、敷地も広大なので、アイデアをお持ちの事業者様ならいろいろな可能性がある」「この地域を盛り上げてくださる方にお譲りできれば、うれしい。地元の食材を使い、今ある景色・自然を大切にしていただけるとありがたい」とお伝えしていました。そのようななか、山下様が即日応募してくださり、「名前も建物と共に想いを引き継ぎたい」とおっしゃってくださり、大変うれしく思いました。実際にお会いし、山下様の想いがわかり、お任せしたいと思いました。専門家に相談し、公募してよかったです。


【「ビズリーチ・サクシード 後継者公募」について:経営者に新たな選択肢と可能性を提供】
譲渡企業が経営者の想いや事業の特徴を公開することで、想いに共感した企業による応募を促進し、より良質なマッチングの可能性が高まります。これまでの事業承継M&Aではあまり一般的ではない「公募」という手法で、経営者に新たな選択肢と可能性を提供し、事業承継問題の解決に向けた一助となることを目指します。第1弾は、臨海荘。

※ビズリーチ・サクシード 後継者公募 第1弾:https://br-succeed.jp/content/news/pr/post-5770

 

 

■コロナ禍において、「後継者公募」により、スピーディーに「M&A経営」が可能

ビジョナル・インキュベーション株式会社

ビズリーチ・サクシード事業部 事業部長 前田 洋平 コメント

 

コロナ禍の影響を大きく受け、厳しい状況の宿泊業において、今回のように約1カ月で成約するのは異例です。「ビズリーチ・サクシード」では、譲り受け企業としての利用者様の約7割が経営に携わる方で、経営者自らが積極的に活用されています。譲り受け企業様は、これまでは譲り受けたい事業や地域をある程度定めてから、それに該当する企業を探すケースが多く見受けられました。しかし、「ビズリーチ・サクシード」では、譲り受け企業様は、さまざまな業種・業態・地域の譲渡を検討する企業情報を実際に閲覧することで、思いがけない可能性に気づき、新しい事業を生み出すことができます。今回も、設計舎三日月の山下代表は沖縄県での宿泊事業や飲食事業をM&A候補として探していましたが、思いがけず、兵庫県の臨海荘様に出会いました。また、「ビズリーチ・サクシード」では、経営者がやりとりするケースが多いため、判断のスピードが速く、過去の成約の69%が半年未満で成約(注3)していますが、今回は公募形式で、譲渡企業が経営者の想いや事業の特徴を公開していたため、良質なマッチングとなり、さらに早く成約しました。

そして、コロナ禍の影響下における「ビズリーチ・サクシード」経由の中小企業のM&A動向を見ると、これまで一本足打法だった企業がM&Aによって多角化したり、業態転換や事業転換を図ったりするなど、「M&A経営」(M&Aを経営に取りいれること)を実践する譲り受け企業が増加しています。その傾向を表すように、異業種・異業態同士のM&Aがコロナ禍前と比較して倍増しています。「M&A経営」により、コロナ禍の影響下において、企業はスピーディーに変化していくことができます。今後は「afterコロナ」の「ニューノーマル」を見据えたM&Aがさらに増えていくと予想しています。

■参考:2020年の後継者不在の旅館・ホテルは60.7%、宿泊業の倒産は前年比1.5
ある調査によると、2020年の後継者不在の旅館・ホテルは60.7%でした(注1)。また、別の調査によると、2020年の宿泊業の倒産は、前年比1.5倍の118件で、2013年(118件)以来、7年ぶりに100件台に達しています(注2)。このうち、新型コロナウイルス感染症拡大を要因とした倒産は55件発生し、宿泊業の倒産の約半数(構成比46.6%)を占めています(注2)。インバウンド観光客の入国停止、緊急事態宣言発令による外出自粛などで、宿泊業は大きな影響を受けています。このようななか、「ビズリーチ・サクシード」における宿泊業の公開中譲渡案件(譲渡を希望する案件)は161件で、コロナ禍前の2019年9月比2倍です。一方、宿泊業を譲り受けたい企業は636社で、2019年9月比1.3倍で、譲渡案件が顕著に増加しています。

譲渡企業と譲り受け企業の経営者による対談
https://br-succeed.jp/content/agreement/post-6690

(注1)株式会社帝国データバンク「特別企画:全国企業「後継者不在率」動向調査(2020年)」
(注2)株式会社東京商工リサーチ「宿泊業の倒産動向」調査 2020年(1-12月)
(注3)NPO法人 日本列島夕陽と朝日の郷づくり協会の「日本の夕陽百選」に、兵庫県香美町今子浦が選定される

■事業承継M&Aプラットフォーム「ビズリーチ・サクシード」について
「ビズリーチ・サクシード」は、譲渡企業と譲り受け企業をオンライン上でつなぐ事業承継M&Aプラットフォームです。譲渡企業は、「ビズリーチ・サクシード」に、会社や事業の概要を匿名で登録でき、譲り受け企業は、その情報を検索して閲覧できます。これにより、譲渡企業は経営の選択肢の一つとして事業承継M&Aを早期から検討できるため、経営者の選択肢が広がります。
譲渡企業は、登録から案件成約時まで、本プラットフォームの利用料は完全無料です。そのため、コストを気にせず、企業や事業の譲渡を安心して検討できます。また、譲渡企業から相談を受けたM&A仲介会社や金融機関等も、同様に本プラットフォームを無料で利用できます。
譲り受け企業は興味をもった譲渡企業へ直接アプローチできるため、譲渡企業にとっては、潜在的な資本提携先の存在や、自社の市場価値を把握するきっかけになります。2017年11月下旬にサービスを開始し、全国の譲渡案件が累計9,900件以上(公開中3,900件以上)登録され、累計譲り受け企業は8,000社以上です(2021年10月1日時点)。事業承継M&Aプラットフォームにおいて日本最大級の譲渡案件数となっています。URL:https://br-succeed.jp/

■ビジョナル・インキュベーション株式会社について
「新しい可能性を、次々と。」をミッションとするVisionalグループの新規事業開発を担う。事業承継M&Aプラットフォーム「ビズリーチ・サクシード」、脆弱性管理クラウド「yamory(ヤモリー)」、クラウド活用と生産性向上の専門サイト「BizHint(ビズヒント)」を運営。2020年2月、グループ経営体制への移行にともない、株式会社ビズリーチの新規事業開発組織を分社化し新設。URL:https://visional.inc/visional-incubation/

■Visionalについて
「新しい可能性を、次々と。」をグループミッションとし、HR Tech領域を中心に、産業のデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進するさまざまな事業を展開。「ビズリーチ」をはじめとした採用プラットフォームや、人財活用プラットフォーム「HRMOS」シリーズを中心に、企業の人材活用・人材戦略(HCM)エコシステムの構築を目指す。また、事業承継M&A、物流Tech、サイバーセキュリティ、Sales Techの領域においても、新規事業を次々に立ち上げている。URL:https://visional.inc

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