パワー半導体「フル SiC SLIMDIP」「ハイブリッド SiC SLIMDIP」サンプル提供開始

SLIMDIP シリーズ初の SiC 製品で高出力化と電力損失の大幅低減を実現、家電の省エネ化に貢献

三菱電機株式会社

フル SiC SLIMDIP「PSF15SG1G6」 (ハイブリッド SiC SLIMDIP「PSH15SG1G6」は上記写真と同様の外形)

 三菱電機株式会社は、ルームエアコンなどの家庭用電化製品(以下、家電)向けパワー半導体モジュールSLIMDIP(スリムディップ)シリーズの新製品として、「フルSiC(※1)SLIMDIP『PSF15SG1G6』」と、「ハイブリッドSiC SLIMDIP『PSH15SG1G6』」の2製品のサンプル提供を4月22日に開始します。小型で端子配列を最適化した当社独自のSLIMDIPパッケージで初めてSiC製品化をしたことにより、高出力化と電力損失の大幅低減を実現。小容量から大容量まで幅広い電気容量の家電に対応し省エネ化に貢献します。なお、本製品は「PCIM Expo & Conference 2025」(5月6日~8日、於:ドイツ連邦共和国・ニュルンベルク)や、日本、中国等で開催される展示会へ出展予定です。

 近年、脱炭素社会の実現に貢献するキーデバイスとして、電力を効率よく変換するパワー半導体の需要が拡大しています。なかでも、家電向けパワー半導体モジュールは、ルームエアコンや洗濯機で使われる圧縮機やファン等を制御するインバーターの電力変換機器に使用されています。脱炭素社会の実現に向け、世界的には、家電の省エネ化を実現するためインバーター化が進んでいます。一方、日本では、家電に対する省エネ規制の強化が進み、普及しているインバーター家電のさらなる省エネ化が求められており、インバーターの効率化に寄与するパワー半導体モジュールにおいては、より高効率な製品の要望が高まっています。

 当社は、スイッチング素子とその駆動・保護を行う制御ICを内蔵したトランスファーモールド構造のインテリジェントパワー半導体モジュール「DIPIPM」を1997年に製品化しました。2015年には、RC-IGBT(※2)を搭載し、従来品(※3)と比べ約30%小型化した「SLIMDIP」を発売するなど、ルームエアコンや洗濯機など家電の省エネ化や小型化に貢献してきました。SiC製品においては、2010年に世界で初めてSiCパワー半導体モジュールを当社ルームエアコン「霧ヶ峰」に搭載しました。2016年にはSiC-MOSFET(※4)を搭載した「フルSiC超小型DIPIPM」を発売し、家庭用エアコン等のさらなる省エネ化に貢献してきました。

 今回、小型で端子配列を最適化したSLIMDIPパッケージへの搭載を可能とした当社独自のSiC-MOSFETチップを新開発し、SLIMDIPシリーズで初めてSiCで製品化を実現した「フルSiC SLIMDIP」と「ハイブリッドSiC SLIMDIP」を開発しました。現行のRC-IGBT(Si製)SLIMDIP製品(以下、現行Si品)と比較して高出力化を実現し、1つのパワー半導体モジュールで、より電気容量の大きな家電まで対応可能となります。また、現行Si品と比べ、「フルSiC SLIMDIP」は電力損失を約79%低減(※5)、「ハイブリッドSiC SLIMDIP」では電力損失を約47%低減(※5)し、家電の低消費電力化に貢献します。これらにより、ルームエアコン等の家電のインバーター基板への使用においては、同一パッケージの「フルSiC SLIMDIP」「ハイブリッドSiC SLIMDIP」「RC-IGBT(Si製)SLIMDIP」の3製品から、電気容量や能力等のニーズに合わせた選択が可能となり、インバーター基板の設計負荷も軽減します。

■新製品の特長

1.SiC-MOSFETを初搭載し高出力化を実現、家電向けインバーターの大容量帯に対応

・小型で端子配列を最適化したSLIMDIPパッケージ搭載用に、当社独自の設計・生産技術を適用したSiC-MOSFETチップを新開発し、SLIMDIPシリーズで初めてSiCでの製品化を実現。現行Si品と比較して高出力化することで、1つのパワー半導体モジュールで、より電気容量の大きな家電に対応が可能

2.SiC-MOSFETの搭載により電力損失を約79%低減し、家電の低消費電力化に貢献【フルSiC SLIMDIP】

・「フルSiC SLIMDIP」向けにチップサイズと特性を調整した新開発のSiC-MOSFETを搭載することで、現行Si品と比較して電力損失を約79%低減(※5)し、家電の低消費電力化に貢献。たとえば、家庭用エアコンのコンプレッサー駆動におけるインバーター回路に適用した場合、現行Si品を搭載したエアコンに比べ、インバーター回路の年間消費電力量を約80%低減(※6)

3.家電用途で業界初、SiC-MOSFETとRC-IGBTを1つのパワー半導体モジュールに搭載し、電力損失を約47%低減、家電の低消費電力化に貢献【ハイブリッドSiC SLIMDIP】

・家電用途として業界で初めて(※7)、SiC-MOSFETとRC-IGBTを1つのパワー半導体モジュールに搭載することで、現行Si品と比較して電力損失を約47%低減(※5)し、家電の低消費電力化に貢献。たとえば、家庭用エアコンのコンプレッサー駆動におけるインバーター回路に適用した場合、現行Si品を搭載したエアコンに比べ、インバーター回路の年間消費電力量を約41%低減(※6)

・SiC-MOSFETとRC-IGBT(Si)の並列駆動を可能にした新開発の駆動ICと、SLIMDIPのパッケージに複数素子を搭載・配線する技術により、家電用途として業界で初めて(※7)、SiC-MOSFETの低電流時のオン電圧特性とRC-IGBTの大電流の通電能力の長所を引き出したパワー半導体モジュール「ハイブリッドSiC SLIMDIP」を開発

 ※今回、「ハイブリッド SiC SLIMDIP」に搭載の並列駆動技術、および組立技術は、NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)の助成事業「脱炭素社会実現に向けた省エネルギー技術の研究開発・社会実装促進プログラム」の結果得られたものです。
https://www.nedo.go.jp/news/press/AA5_101841.html
また、本技術は2024年度「NEDO省エネルギー技術開発賞」理事長賞を受賞しました。
https://www.nedo.go.jp/news/press/AA5_101806.html

■製品仕様

■商標関連

「SLIMDIP」「DIPIPM」

三菱電機株式会社の商標

■製品担当

 三菱電機株式会社 パワーデバイス製作所

 〒819-0192 福岡県福岡市西区今宿東一丁目1番1号

■三菱電機グループについて

 私たち三菱電機グループは、たゆまぬ技術革新と限りない創造力により、活力とゆとりある社会の実現に貢献します。社会・環境を豊かにしながら事業を発展させる「トレード・オン」の活動を加速させ、サステナビリティを実現します。また、デジタル基盤「Serendie®」を活用し、お客様から得られたデータをデジタル空間に集約・分析するとともに、グループ内が強くつながり知恵を出し合うことで、新たな価値を生み出し社会課題の解決に貢献する「循環型 デジタル・エンジニアリング」を推進しています。1921年の創業以来、100年を超える歴史を有し、社会システム、電力システム、防衛・宇宙システム、FAシステム、自動車機器、ビルシステム、空調・家電、情報システム・サービス、半導体・デバイスといった事業を展開しています。世界に200以上のグループ会社と約15万人の従業員を擁し、2023年度の連結売上高は5兆2,579億円でした。詳細は、www.MitsubishiElectric.co.jpをご覧ください。

■お問い合わせ先

<お客様からのお問い合わせ先>

 三菱電機株式会社 半導体・デバイス第一事業部 パワーデバイス営業部

 〒100-8310 東京都千代田区丸の内二丁目7番3号

 https://www.MitsubishiElectric.co.jp/semiconductors/powerdevices/contact/

■ウェブサイト

 パワー半導体デバイスウェブサイト

 https://www.MitsubishiElectric.co.jp/semiconductors/powerdevices

                                                                                                      

(※1) Silicon Carbide:炭化ケイ素

(※2) Reverse Conducting-IGBT:IGBTとダイオードを1チップ化したもの

(※3) 従来製品 超小型DIPIPM Ver.6パッケージとの比較

(※4) Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor:金属酸化膜半導体製の電界効果トランジスタ

(※5) 従来製品SLIMDIP-Lとの比較。Vcc=300V, fc=5kHz, PF=0.8, M=1, fo=60Hz, 三相変調

(※6) 従来製品SLIMDIP-Lとの比較、年間の運転時間はJIS C9612を参照し、エアコンの基本4動作モード(冷房定格、冷房中間、暖房定格、暖房中間)毎の運転時間を想定して配分。各モードの運転条件は当社推定

(※7) 2025年4月15日現在。当社調べ

(※8) Restriction of the Use of Certain Hazardous Substances in Electrical and Electronic Equipment

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会社概要

三菱電機株式会社

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URL
https://www.MitsubishiElectric.co.jp/
業種
製造業
本社所在地
東京都千代田区丸の内2-7-3 東京ビル
電話番号
03-3218-2111
代表者名
漆間 啓
上場
東証プライム
資本金
1758億2077万円
設立
1921年01月