映画監督・野村芳太郎再発見&再評価プロジェクト始動

没後20年(2025年)から――生誕110年(2029年)へ　多彩なる多才のアルチザン映画監督･野村芳太郎

松竹株式会社

2025年2月28日 17時30分

このたび、松竹では、「没後20年(2025年)から――生誕110年(2029年)へ　多彩なる多才のアルチザン映画監督･野村芳太郎」と銘打ち、かつて黒澤明監督をして最高の助監督と言わしめ、山田洋次監督をはじめ数々の優秀なスタッフを育てた人物、野村芳太郎監督（代表作：『砂の器』『八つ墓村』他）の再発見&再評価プロジェクトを始動実施いたします。

松本清張原作『張込み』『ゼロの焦点』『砂の器』など、骨太な魅力に溢れたサスペンス作品群で日本映画界に新境地を開拓してきた監督・野村芳太郎(1919年(大正8年)4月23日生～2005年(平成17年)4月8日没)。その才能はサスペンスだけではなく、風刺の効いた喜劇(コメディ)・青春ドラマ・時代劇・女性映画など多彩なジャンルに及ぶ。

　また、監督として手掛けた劇場公開映画は88作品だが、プロデューサー(製作者)としても辣腕を揮い、脚本・企画・原案、テレビ作品も加えると実に110作品にものぼる。まさに多彩なる多才のアルチザン(職人)なのである。
　しかし、代表作『砂の器』公開から2024年で半世紀が経過し、同じく代表作『八つ墓村』公開からも半世記が過ぎようとしている2025年現在、日本映画史に残る偉大な業績を残した映画人のひとりであるにも関わらず、有名作品以外は世の中の記憶から忘れ去られている、もしくは残念ながら最初から記憶に残っていない、というのが現実である。
　映画監督･野村芳亭を父に持ち、暁星学園～慶應義塾大学という経歴のイメージの通り、実に教養に富みスマートなインテリジェンスと粋な趣味性、ユーモアに溢れた人柄、黒澤明監督をして最高の助監督と言わしめ、山田洋次監督をはじめ数々の優秀なスタッフを育てた業績も含め、きたる没後20年の2025年を皮切りに、生誕110年の2029年までに、
「没後20年(2025年)から――生誕110年(2029年)へ　多彩なる多才のアルチザン映画監督･野村芳太郎」
と銘打ち、野村芳太郎監督の再発見と再評価、さらにはブランド化(ブランド力の強化)を目指す。
まず没後20年にあたる本2025年は、下記６つのメニューを実施、始動の年とします。

書籍「砂の器映画の魔性監督野村芳太郎と松本清張映画」刊行&記念特集上映「監督・野村芳太郎が描く、作家・松本清張の世界」開催
配信プラットフォーム「JAIHO (ジャイホー)」にて未DVD化７作品を日本独占【初】配信
「午前十時の映画祭15 デジタルで甦る永遠の名作」にて『砂の器』全国の劇場で上映
野村芳太郎公式HP始動および公式ロゴ制作
CS放送チャンネル「衛星劇場」にて、野村芳太郎没後20年特集番組が放送
BS放送チャンネル「BS松竹東急」にて、『砂の器』『八つ墓村』『事件』を2025年11月放送予定

① 書籍「砂の器映画の魔性　監督野村芳太郎と松本清張映画」刊行、および刊行記念上映「監督・野村芳太郎が描く、作家・松本清張の世界」を池袋・新文芸坐にて開催

公開から半世紀を経た今も人気の映画『砂の器』。

松本清張原作を大胆に映像化した脚本・監督・音楽家による仕掛けとは？

本書では、初公開秘蔵資料をもとに、その秘密に迫る！

書籍「砂の器映画の魔性監督野村芳太郎と松本清張映画」
(樋口尚文著/筑摩書房刊/刊行日:2025年3月10日/税込定価:2,750円)
筑摩書房詳細ページ：https://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480874177/

また、本書の刊行記念として3月1日(土)から3月14日(金)、池袋・新文芸坐にて、特集上映「監督・野村芳太郎が描く、作家・松本清張の世界」が開催。

『ゼロの焦点』『砂の器』や、未ソフト化作品『迷走地図』など清張映画7本を上映。

初日の3月1日(土)には、著者・樋口尚文氏と、春田和秀氏(『砂の器』子役=秀夫役)のトーク&サイン会も予定。

上映作品:『ゼロの焦点』『影の車』『砂の器』『鬼畜』『わるいやつら』『疑惑』『迷走地図』

新文芸坐公式インスタグラム：https://www.instagram.com/shin_bungeiza/p/DGFfgy_z_mF/?img_index=1

②キュレーション型配信サービス「JAIHO (ジャイホー)」にて、幻の7作品(全て未DVD化)が日本独占初配信

3月7日～『最後の切札』

1960年・サスペンス・93分
出演:佐田啓二/桑野みゆき/日比野恵子/芳村真理他

白崎秀雄の傑作小説「肉の僕」の映画化。

冷い打算に生きる男の行動と破滅を描く問題作。

3月18日～『観賞用男性』

1960年・ドラマ/コメディ・89分
出演:有馬稲子/杉浦直樹/芳村真理/十朱久雄他

デザイナー中林洋子のエッセイの映画化。

パリ帰りのデザイナーが国家をも巻き込んで起こす悲喜劇。

3月25日～『背徳のメス』

1961年・サスペンス・87分
出演:久我美子/高千穂ひづる/田村高廣/山村聡他

黒岩重吾の直木賞受賞作の映画化。

医師、薬剤師、看護婦たちの愛憎を描く。

4月2日～『左ききの狙撃者東京湾』

1962年・サスペンス・約82分
出演:石崎二郎/榊ひろみ/葵京子/西村晃他

麻薬取締官射殺事件の容疑者と刑事の攻防をスリリングに描く

ハードボイルド・フィルム・ノワール。

4月9日～『望郷と掟』

1966年・サスペンス・88分出演:安藤昇/竹脇無我/渥美清/殿山泰司/中村晃子他

密輸と黒い渦巻く国際都市神戸を背景に、

スリリングなアクションの連続で描く男の意地と復讐。

4月15日～『女たちの庭』

1967年・ドラマ・93分
出演:岡田茉莉子/倍賞千恵子/香山美子/生田悦子/高峰三枝子他

『赤ひげ』の井手雅人と永井素夫の共同脚本による、

女優陣の魅力が輝く感動のホームドラマ。

4月22日～『ダメおやじ』

1973年・ドラマ/コメディ・87分
出演:三波伸介/小山田宗徳/倍賞美津子/新藤恵美

古谷三敏の人気マンガを映画化。

当時一世を風靡した三波伸介の好演が光る意欲作。

JAIHO： https://www.jaiho.jp/

※期間:各作品180日間

③「午前十時の映画祭15 デジタルで甦る永遠の名作」にて『砂の器』上映

これまでの「午前十時の映画祭」で上映された全316作品の中から、71,742票のリクエストをもとに厳選された珠玉の名作25本を、4月4日から約1年間にわたり「午前十時の映画祭15」として全国の映画館で連続上映中。『砂の器』の上映期間は6月27日～7月24日

映画祭公式HP：https://asa10.eiga.com/2025/

④野村芳太郎公式HP 開設

野村芳太郎公式HP：https://www.cinemaclassics.jp/nomura/

当プロジェクト公式ロゴ制作

※左からカラー/黒1色/白1色

⑤CS放送チャンネル「衛星劇場」にて、特集「野村芳太郎没後20年芳太郎&芳亭親子鷹」4月放送

放送作品：●野村芳太郎監督作品 ★父・野村芳亭監督作品

●『ねずみ小僧怪盗伝』(1984)

[放送] 4月2日(水)午前8:30、10日(木)午前10:40、19日(土)午前9:30、25日(金)午後5:45

ねずみ小僧は、実は姉弟の二人一役だった・・・。そんな奇抜な設定で、小川真由美、中村雅俊

の名コンビが贈る、オカシクて素敵な時代劇コメディ。

脚本:ジェームス三木/古田求
出演:小川真由美/中村雅俊/松坂慶子/中条きよし/丹波哲郎他

●『鳩』(1952)

[放送] 4月3日(木)午後6:15、12日(土)午前9:25、23日(水)午前8:30、28日(月)午前11:40

一人の少年の責任感と周囲の無理解を通して青春の孤独を描く。

出演:石浜朗/有島一郎/美山悦子/草香田鶴子/磯貝元男/北竜二他

●『昭和枯れすすき』(1975)

[放送] 4月4日(金) 深夜1:45、9日(水)午前8:30、14日(月)午前10:05、22日(火) 午後7:25

都会の荒波に押し流されながらも懸命に生きる刑事の兄とヤクザな妹!

原作:結城昌治脚本:新藤兼人

出演:高橋英樹/秋吉久美子/伊佐山ひろ子/下條アトム/鈴木瑞穂/池波志乃他

★『天龍下れば』(1933)

[放送] 4月3日(木) 深夜2:15、12日(土)午前8:00、22日(火)午後6:00、30日(水)午前8:30

天龍川下りを見物に来た東京の学生と、地元の芸者との淡い恋愛を描く。

出演:川崎弘子/竹内良一/江川宇礼雄/水久保澄子他

★『婦系図』(1934)

[放送] 4月1日(火)午後6:00、10日(木) 深夜1:00、16日(水)午前8:30、26日(土)午前8:00

新派永遠の名作、お蔦と主税の悲恋物語を大女優田中絹代が演じた究極の悲恋絵巻!

原作:泉鏡花
出演:田中絹代/岡譲二/志賀靖郎/吉川満子/大塚君代/武田春郎他

衛星劇場詳細ページ：https://www.eigeki.com/special/nomurayoshitarou

⑥BS放送チャンネル「BS松竹東急」(BS260ch・全国無料放送)にて
　3作品を2025年11月放送予定

『砂の器』(1974)

原作:松本清張

出演:丹波哲郎/加藤剛/森田健作/島田陽子/山口果林/加藤嘉/春田和秀/緒形拳/渥美清/笠智衆　他

親子の愛情と絆、逃れられない宿命を、渾身の演出で焼きつける壮大なサスペンス。

『八つ墓村』(1977)

原作:横溝正史

出演:萩原健一/小川真由美/田中邦衛/夏八木勲/藤岡琢也/山崎努/渥美清他

原作を大胆に脚色、オカルト色を前面に押し出し、怨念が生む連続殺人事件を描く。

『事件』(1978)

原作:大岡昇平

出演:松坂慶子/永島敏行/大竹しのぶ/山本圭/夏純子/渡瀬恒彦/丹波哲郎/芦田伸介他

一人の青年を愛した、姉と妹。刺殺事件の真相と不安定な青春が赤裸々に暴かれる。

BS松竹東急：https://www.shochiku-tokyu.co.jp/

※放送時期･作品は変更の可能性があります。

【野村芳太郎】

【略歴】

1919年(大正8年)4月23日、映画監督で松竹蒲田撮影所の名所長と謳われた野村芳亭の長男として浅草で誕生、撮影所を遊び場として、東京と京都を往復して育つ。暁星学園を経て慶應義塾大学に進学、太平洋戦争勃発に伴い繰り上げ卒業。松竹に入社するも、1942年に応召され、インド東部インパール作戦に従軍する。奇跡的に生還し、松竹に復職。川島雄三、黒澤明監督らの助監督として活躍後、1952年『鳩』で監督デビュー。1958年に初の松本清張原作の『張込み』で評価を高めた。『ゼロの焦点』(1961)、『背徳のメス』(1961)、『左ききの狙撃者東京湾』(1962)、『影の車』(1970)、『砂の器』(1974)、『事件』(1978)など、松本清張原作を中心にサスペンスの傑作を次々に発表。時に社会派要素の強い重厚な作品もあったが、概ね、いや、悉くが、エンターテインメント性に富んだ作品であった。そのいっぽうで、のちに『男はつらいよ』シリーズの主人公・車寅次郎役で名優となる渥美清の名演技を引き出した『拝啓天皇陛下様』(1963)など、庶民の立場に寄り添った喜劇や青春ドラマ、ラブコメなど、多彩なジャンルで作品を作り続けた。1973年、脚本家・橋本忍主宰の橋本プロに参加。1978年には松本清張と霧プロを設立。プロデューサーとして、『八甲田山』(1977)、『天城越え』(1983)などを手掛けた。1990年、脳出血で倒れた後も自宅で企画を練るなど、現場復帰に意欲を持ち続けたが、2005年4月8日、85歳で死去。1985年のアガサ・クリスティー原作『危険な女たち』が遺作となり、生涯の監督作品は88本だった。2025年、没後20年を迎え、2029年には生誕110年を迎える。

【フィルモグラフィー】