3Dプリンター活用で90%のコスト削減！溶接ジグ製作の成功事例

株式会社システムクリエイト

2024年12月17日 08時30分

株式会社システムクリエイト（本社：大阪府東大阪市荒本新町、代表：川上正義）は、米国アイオワ州のRed Oak FabricationがFormlabsの3Dプリンターを活用して、溶接治具の製作コストを従来比で最大90%削減し、製作期間を数カ月からわずか数日に短縮することに成功した事例を紹介します。

3Dプリンティングがもたらす溶接治具製作の革新

課題：高コストと長い製作期間

Red Oak Fabricationは、精密な金属加工を得意とする製造業者で、溶接治具は日常的に必要不可欠なツールでした。しかし、従来の製作方法には以下の課題がありました。

まず、板金部品を組み合わせて治具を作成する方法は、簡易的で安価な一方で、精度に欠けるという問題がありました。また、高品質な治具を製作するためのCNC加工は、コストが高く、完成までに数週間から数カ月を要するため、小規模から中規模の注文には非効率的でした。

解決策：Formlabs Form 3Lを活用した3Dプリント

これらの課題を解決するため、Red Oak FabricationはFormlabsの大型3Dプリンター「Form 3L」を導入しました。これにより、ステレオリソグラフィー（SLA）方式を用いて以下を実現しました。

複雑な治具をわずか1日で製作。
従来のCNC加工と比較して最大90%のコスト削減。
有機的な形状や細かな内部構造など、従来の方法では困難だった設計を可能に。

保護プラグの使用前 (左) と使用後 (右)。磁石付きのスチール製ハーフカップリング内に配置して、パイプを溶接する際に内部のねじ山を保護します。保護プラグは、溶接部とスラグがハーフカップリング内に入り込んでねじ山が損傷するのを防ぎます。

特に、Rigid 10K Resinという耐熱性に優れた素材を使用することで、溶接の過酷な環境下でも耐久性を確保しています。例えば、パイプ溶接用の治具は数千回使用後も機能を維持しており、作業の効率化に貢献しています。この治具で約 3,000 回の溶接を行った後も、保護プラグは機能しています。

ストレートアームジグは、鋼板の上に取り付けられた 2 つの小さな 3D プリント部品でできています。形状は複雑で、機械加工が難しい有機的な形状をしています。さらに、チームは 1 日でツールを必要としていました。ジグで約 2,000 回の溶接を行った後も、ジグはまだ機能しています。

結果：コスト削減と業務効率の向上

この新しい3Dプリント手法の導入により、Red Oak Fabricationは以下の成果を得ることができました。

コスト削減：1つの治具あたり約1/10のコストで製作が可能になりました。
製作期間の短：従来の数カ月にわたる製作期間を数日に短縮することに成功しました。
業務効率の向上：複数の溶接ステーションで同時に作業を進めることが可能となり、生産性が向上しました。
メンテナンスの軽減：金属治具とは異なり、溶接ビーズの付着が発生しないため、清掃が不要になりました。

溶接治具コスト分析

	従来方法	社内3Dプリント
装置	社内でCNC加工された金属	Form 3L、Rigid 10K樹脂
料金	＄1,000	＄100
時間	数ヶ月	数日※

※Form 3L の次世代である Form 4L を使用すると、これらの部品の印刷時間は数日ではなく数時間になります。Form 4L の詳細については、こちらをご覧ください。

製図・エンジニアリング・マネージャーのテイラー・スミス氏は、「パイプに取り付ける治具は、非常に有機的なため、機械加工がほぼ不可能です。3D プリント以外の方法では、このような治具を 1 つ作るのには永遠に時間がかかります。治具を金属で作ると、品質が低下し、信頼性が大幅に低下します。オペレーターの作業が増えます。3D プリントはプロセスを合理化します。」と語っています。