リアルテックグローバル2号ファンド、第1号案件としてシンガポール政府・ケンブリッジ大学と共にナノマテリアルの高速合成プラットフォームを開発するAccelerated Materialsに出資

UntroD Capital Japan

UntroD Capital Asia Pte. Ltd.(所在地:シンガポール、Managing Director:丸幸弘、以下「当社」)が運営するリアルテックグローバル2号ファンド(以下「G2号ファンド」)は、独自の高度なマイクロリアクターとソフトウェアを用いて、ナノマテリアルの高速合成プラットフォームを開発するAccelerated Materials Pte. Ltd.(アクセラレイテッド・マテリアルズ、所在地:シンガポール・イギリス、CEO:Dr. Nicholas Jose、以下「AM社」)のシードラウンドにおいて新規出資を実施しました。


本出資はAM社にとって初の資金調達であり、当社をリード投資家とし、シンガポール政府系ファンドのSG Innovates社※1とケンブリッジ大学発技術を支援するCambridge Enterprise社※2が参画いたしました。本出資を通じて、日本・東南アジアそして世界のナノマテリアル精製を加速し、有用な新素材の実用化を進めてまいります。

ナノマテリアル業界が抱える課題

ナノマテリアルは、エネルギー・環境・医療・エレクトロニクス・産業材料など、あらゆる分野で画期的な技術革新を支える材料として必要不可欠であり、2028年には市場規模が約2,000億ドルに達すると予測されています。しかし、各研究機関や企業が開発したナノマテリアルの量産化は依然として大きな課題であり、特に粒子サイズ・形態・特性を精密に制御しながら量産する技術は確立されておらず、品質の安定性を維持することが極めて困難です。

現在、ナノマテリアルの製造手法はバッチプロセス方式、即ち一定量の原料を投入し、特定の工程(反応、精製、分離など)を完了した後に製品を取り出す方式です。しかし、このバッチプロセス方式ではセットアップやチューニング作業に手間がかかり、生産効率が低いという課題があります。

こうした課題を解決する手法として、フローリアクターなどを用いたフローケミストリーによる連続プロセス方式が注目されています。バッチプロセスと比べて、品質の精密性とコストを抜本的に改善することができ、研究室レベルの試作から大規模製造へのスケールアップが期待されています。

AM社が開発するケンブリッジ大学発フローリアクターとその可能性

AM社は、代表のNicholas氏がケンブリッジ大学の博士課程で研究・開発してきた独自のフローリアクター技術を製品化・事業化することを目的に、2020年に設立されたケンブリッジ大学発のスタートアップです。独自のマイクロリアクターとソフトウェアを用いて、安全、安価、高速にナノマテリアルを精製することが可能です。これまでに異なる量のナノマテリアルを製造できるリアクターとして、「K1(1日1kg)」「K10(1日10kg)」「K100(1日数百kg)」の3つのタイプを開発してきました。

プロダクト:K1(1日1kg)
プロダクト:K100(1日数百kg)

AM社のコア技術は、特許取得済みの高せん断環状フロー技術にあります。極端な温度や圧力を必要としないため、潜在的な危険を最小限に抑えます。また、せん断速度を正確に制御することで、粒子サイズや形状の一貫性を保つことが可能です。さらに、強力な機械学習アルゴリズムが組み込まれており、反応データを分析しながらパラメーターを最適化することで、目的に合ったナノマテリアルを精製することが可能です。

結果、従来のバッチプロセス方式と比較すると、運用コスト(OPEX)と設備投資(CAPEX)を大幅に削減でき、例えば、韓国の化学メーカーと実施したナノ構造化ZnO(酸化亜鉛)の製造プロジェクトでは、OPEXを55%、CAPEXを86%削減することに成功しました。現在、化学メーカーを中心に、半導体・塗料・化粧品などの各産業で実証が進んでおり、高効率かつ低コストで安全なナノマテリアル製造プロセスを実現する技術として、大きな可能性を秘めています。

K1リアクターの概略図(縮尺は実物とは異なります)

シンガポール政府・ケンブリッジ大学と共に商業化を加速

AM社は、2020年の創業以来、シンガポール政府の助成金を活用しながらシンガポールを拠点に研究開発を進めてきました。プロダクトの完成度が高まり、いよいよ商業化のフェーズへと移行する中、2024年に株式会社リバネスのシンガポール支社であるLeave a Nest Singapore Pte. Ltd. とシンガポール企業庁が実施する「Enter to Japan Market Discovery Program」※3などへの参加を通して、当社との議論を重ねてまいりました。

今回のシードラウンドでは、当社に加え、シンガポール政府系ファンドのSG Innovate社、ケンブリッジ大学発の技術を支援するCambridge Enterprise社(CE社)など、研究開発型スタートアップの支援実績を持つパートナー投資家が参画いたしました。当社は、今後も各パートナーと共にAM社の社会実装および日本進出を加速いたします。

CE社を訪問するAM社と当社(左から3人目がAM社のNicholas代表、4人目がCE社のChris代表、5人目が当社の丸)

※1:SG Innovates社について

SGInnovateは、財務省直下のシンガポール政府系ファンドとして主にシンガポールの大学発・研究機関発のディープテックスタートアップに出資しています。これまで約2億 USDを運用し、100社近くのスタートアップへの出資を通して、シンガポールのディープテックエコシステムを構築してきました。

※2:Cambridge Enterpriseについて

ケンブリッジ大学の技術移転・起業支援を担う組織で、同大学が所有する知的財産権の商業化を目指す起業家や研究者のビジネスを支援しています。知的財産権の管理やライセンス化、起業家への資金調達・ビジネス支援、研究者の知財活用支援などを通して、過去150以上のスピンアウトベンチャーを立ち上げています。

※3:Enter to Japan Market Discovery Programについて

Enter to Japan Market Discovery Programは、Enterprise Singapore(ESG)がLeave a Nest Singapore Pte. Ltd. と実施するシンガポールスタートアップ向けの日本進出支援プログラムです。ESGは、貿易産業省(MTI)傘下の政府機関としてスタートアップを含む中小企業の支援を行っています。2019年より、シンガポール現地企業と日本企業の連携を促進することを目的に、Enter to Japan Market Discovery Programにはのべ40社が参加しております。

UntroD(アントロッド)について

地球や人類の課題解決に資する研究開発型の革新的テクノロジーを有するディープテックスタートアップの社会実装を目的とした「リアルテックファンド」を2015年に設立し、シード・アーリーステージのスタートアップへのリード投資およびハンズオン支援を行ってきました。現在までに、リアルテックファンド1号~4号(日本ファンド)、リアルテックグローバルファンド1号・2号(グローバルファンド)、リアルテックグロースファンド1号(日本ファンド)を運用し、運用総額は400億円以上に達しています。社会に必要とされながら資本が流れにくい未踏領域に誰よりも最初に踏み出し、その経済性を証明することで資本や人材が供給され続ける持続的な仕組み創りを目指す、その意志をより一層体現するため、「未踏」を意味する「UntroD」を社名として掲げ、2024年6月に再始動しました。

HP:https://untrod.inc

お問い合わせ先

UntroD Capital Asia Pte Ltd 

広報担当:成田 

contact_global@untrod.inc

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会社概要

UntroD Capital Japan株式会社

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URL
https://www.realtech.holdings/
業種
金融・保険業
本社所在地
東京都港区虎ノ門2-2-1 住友不動産虎ノ門タワー 17F
電話番号
03-6630-1000
代表者名
永田 暁彦
上場
未上場
資本金
-
設立
2014年12月