消防庁「防災行政無線等の屋外スピーカーの音達範囲向上等に関する検討会」への技術協力のお知らせ
高品質AI音声合成エンジンAITalk®を開発・提供する株式会社エーアイ（本社：東京都文京区、代表取締役社長：廣飯 伸一、証券コード：4388、以下：エーアイ）は、3月28日（金）総務省消防庁より最終報告が公開された「防災行政無線等の屋外スピーカーの音達範囲向上等に関する検討会（以下、検討会）」について、実証実験にて放送される音声合成ソフトウェアの提供・周波数調整処理等の技術協力を行ったことをお知らせします。
「防災行政無線等の屋外スピーカーの音達範囲向上等に関する検討会」概要
本検討会は、防災行政無線等を災害時の主な情報伝達手段として推進するにあたり、音達範囲や音源などの改良によって、災害情報を一つの屋外スピーカーでより広域かつ明瞭に伝達できるようにし、更なる整備促進を図るために開催されたものです。
また３回の実証実験が行われ、スピーカーの種類や放送音声の周波数調整によって音達範囲・聞き取りやすさに変化があるか、神奈川県松田町において様々な条件下で実験が行われました。
検討会、また実証実験の詳細については総務省消防庁の該当ページをご確認ください。
＜消防庁 防災行政無線等の屋外スピーカーの音達範囲向上等に関する検討会＞
https://www.fdma.go.jp/singi_kento/kento/post-165.html
エーアイの協力について
＜音声合成ソフトウェアの提供＞
実証実験にあたってはエーアイよりAITalkと話者男女１名ずつを提供しました。AITalkは全国自治体の50％以上※の防災無線に導入されている音声合成エンジンです。今回の実証実験では導入自治体の多くで実際に採用いただいている話者を提供しています。
＜音声強調処理＞
広域での聞き取りやすさに貢献するため、AITalkによる音声強調処理を提供しました。
広範囲に音を届ける施策としては「スピーカーの音量を上げる」という施策が考えられますが、単純に音量を上げるだけではスピーカー等に対して過度な入力になるため、音声が歪んで聞き取りにくくなってしまいます。
この問題を解決するために検討会では「周波数強調」を採用されました。「か」「さ」「た」行の子音は無声子音と呼ばれ、2kHz～4kHzという高い周波数域で音声の聞き取りやすさに大きく貢献します。しかし高い周波数の音は空気吸収で大きく減衰するため、スピーカーから離れると無声子音が聞こえにくくなり、不明瞭な音声になってしまいます。
周波数強調は音声合成時に高音域を強調する処理を施すことで、全体の音量を上げることなく聞き取りやすい音声になるよう図るものです（図1）。放送を操作する操作卓と、実際に音声を発する子局（スピーカー）側の両方で強調処理の実施有無による聞き取りやすさが比較されました。
総務省消防庁「防災行政無線等の屋外スピーカーの音達範囲向上等に関する検討会」防災行政無線等の屋外スピーカーの音達範囲向上等に関する検討報告書 P20
実証実験の結果について
全3回に渡る実証実験の結果、操作卓側のみで周波数強調をする場合・子局でも同様の処理をする場合、いずれもスピーカーの種類を問わず広域での聞き取りやすさや音達範囲が改善することが判明しました（図2）。特に操作卓側での音声合成による周波数強調については、比較的安価かつ容易に導入できる手段として有用性が認められました。
実験結果の詳細については前掲の消防庁ページよりご確認ください。
総務省消防庁「防災行政無線等の屋外スピーカーの音達範囲向上等に関する検討会」
防災行政無線等の屋外スピーカーの音達範囲向上等に関する検討報告書 P201
エーアイと防災無線の今後について
AI音声合成による防災行政無線は緊急時に聞き取りやすい音声を安全に放送する手段として、全国自治体での利用が広がっています。AI音声合成ベンダーの先駆けとして、エーアイは今後も製品の開発・研究を通して地域の安全を守る活動を支援してまいります。
※全国自治体1,741市区町村のうち、880以上の自治体にて採用（2024年1月末実績）。
※掲載されている会社名・製品名・サービス名は各社の商標または登録商標です。
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