Indeed、「キャリア形成や将来設計に関する意識調査」を実施。10年前も現在も「主体的にキャリアを考え、将来設計をしてきた」人は3割弱に留まる

一方、継続して将来設計をしてきた人は「仕事や働き方に対する満足度が高い」割合が、将来設計をしてこなかった人の3.4倍

Indeed Japan株式会社

世界No.1求人検索エンジン* 「Indeed (インディード)」の日本法人であるIndeed Japan株式会社(本社:東京都港区、代表取締役:大八木 紘之、https://jp.indeed.com 以下Indeed)は、30~40代のフルタイム就業者(現在就業中の正社員、会社経営者、公務員、団体職員)の男女計1,600名を対象に、「キャリア形成※1や将来設計※2に関する意識調査」を実施しました。

本調査では、10年前と現在について「主体的にキャリアを考え、将来設計をしていたか/いるかどうか」を尋ねました。その結果、10年前も現在も、「主体的にキャリアを考え、将来設計をしてきた/している」と回答した人(以下「将来設計をしてきた人」とする)の割合は3割に満たない(29.1%)ことがわかりました。一方で、「将来設計をしてきた人」は、現在の「仕事や働き方に対する満足度」を点数化したときの高スコア(10点満点中8~10点)の人の割合が31.4%で、「将来設計をしてこなかった人」の回答割合(9.1%)の3.4倍でした。さらに、「将来設計をしてきた人」の約8割(77.9%)が「10年前の自分から見て現在は“いい未来”を過ごせている」と回答しました。継続して主体的にキャリアを考え、将来設計をすることが、仕事の満足度を高めることにつながり、そして自分にとっての“いい未来”を引き寄せる傾向があることがわかりました。


※1: プレスリリース内におけるキャリア形成は、職業を軸とした人生設計のことを指しています。
※2: プレスリリース内における将来設計は、仕事や働き方のことを指しています。


  • 調査実施の背景

内閣府が2023年5月に公表した「三位一体の労働市場改革の指針」では、自身のキャリアを会社に委ねるのではなく、自分の意志で主体的にキャリアを考え、選択する「キャリアの自律」が重要だと述べられています。一方で、新卒一括採用や年功序列、終身雇用という日本型雇用が定着している日本では、新卒で入社した会社で定年まで勤め上げる人も多く、キャリアオーナーシップの考え方が根付いていないのが現状であると考えられます。Indeedが今年3月に実施した日本、アメリカ、イギリス、ドイツ、韓国の5ヵ国を対象とした「転職に関する5ヵ国意識調査」※3においても、日本は他国と比較して、自身のキャリア形成のためにお金や時間を割いている人や、「現状の仕事に大きな不満はないが自身にとってプラスになる可能性があるから」という理由で転職を検討する人は、少ないことが明らかになりました。

これらのことから、日本ではキャリア形成や将来設計が自身の仕事や働き方の満足度、ひいては人生や将来にどのように影響をもたらすのかをイメージできている人は多くないのではないかと考えられます。

 Indeedは「We help people get jobs.」をミッションに掲げ、あらゆる人々が公平に自分に合った仕事が得られる社会の実現を目指しています。今回の調査を通じ、働く人々のキャリア形成や将来設計についての実態や意識を明らかにすることで、人々が自身の今後のキャリアや将来のことを意識するきっかけになればと考えています。


※3: 「転職」に関する5ヵ国意識調査(2023年3月Indeed実施)結果(https://jp.indeed.com/press/releases/20230627)より


  • 調査結果要約

1. フルタイム就業者が、過去10年で最も時間を費やし、自分に影響を与えたことは「仕事」

「家庭・子育て」「仕事」「趣味」など人生における様々な事柄の中で、ここ10年で「時間を費やした割合が高いこと」「重視したこと」「現在の自分に最も影響を与えたこと」はいずれも「仕事」が1位。人生における仕事の重要性や現在の自分への影響力の高さが明らかに。


2. フルタイム就業者のうち、「仕事や働き方に対する満足度が高い」人は2割以下

現在の「仕事や働き方に対する満足度」を点数化すると、高スコア(10点満点中8~10点)」の人の割合は2割以下の18.1%に留まる。


3. 10年前も現在も将来設計をしてきた人は3割弱に留まる

10年前と現在ともに「主体的にキャリアを考え、将来設計をしてきた/している」と回答した人は3割弱の29.1%。


4. 将来設計をしてきた人は「仕事や働き方に対する満足度が高い」割合が、将来設計をしてこなかった人の3.4倍

10年前と現在ともに「主体的にキャリアを考え、将来設計をしてきた/している」と回答した人は、「仕事や働き方に対する満足度」を点数化したときの高スコア(10点満点中8~10点)」の割合が31.4%で、将来設計をしてこなかった人の回答割合(9.1%)の3.4倍。継続して主体的にキャリアを考えることや将来設計することが、自分にとって満足度の高い仕事につながる傾向。


5. 将来設計をしてきた人の約8割が、「10年前の自分から見て現在は“いい未来”」と感じている

10年前も現在もともに「主体的にキャリアを考え、将来設計をしてきた/している」と回答した人の77.9%が「10年前の自分から見て現在は“いい未来”を過ごせている」と実感。将来設計をしてこなかった人が回答した割合(43.1%)の1.8倍。キャリア形成や将来設計が「“いい未来”を引き寄せている」可能性がある。


6. 将来設計をしてこなかった人の、将来設計をしていない理由は「何をしたらよいかわからない」が最多

 「主体的にキャリアを考え、将来設計をしてこなかった/していない」人が回答した、将来設計をしてこなかった理由1位は「何をしたらよいかわからない」。具体的なキャリア形成や将来設計の方法を知り、それがどのように将来につながっていくかを自ら考える機会や時間を作ることが、キャリア形成に向けた一歩になると考えられる。


  • 法政大学名誉教授/認定NPO法人キャリア権推進ネットワーク理事長 諏訪 康雄 氏 コメント

【日本における雇用システムとキャリア論】

キャリア論は、企業の外に広がる労働市場を念頭に、どんな教育訓練を受け、どんな職業選択をするかについて、自分の思い(will)、自分の能力(can)、市場の要請(must)の間を、個々人がどう折り合いを付けながらキャリアをデザインし構築していくのか、という考え方です。それは、個人の主体性を前提としたジョブ型の雇用慣行にある国において、時代の転換点に差し掛かったとき、盛んになった沿革があります。

一方で、高度経済成長期にメンバーシップ型雇用で新卒一括採用、年功序列、長期雇用といった雇用慣行を根づかせた日本では、キャリア論もその教育も長らく見て見ぬふりをされてきました。企業現場はOJTによる内部育成に傾き、学校教育が仕事と直接に結びつく契機を弱めてしまいました。バブル崩壊後に、正社員採用が絞られ、中高年のリストラも目立つようになってからキャリアの議論が盛んになってきたのは、従来の雇用システムの構造変化を反映していたと考えられます。

最近では、「働き手が当事者意識を持って自らの責任でキャリアを築き上げていく」ことを支援する(日本経済団体連合会『Society5.0時代を切り拓く人材の育成』2020年)や、「キャリアは会社から与えられるものから、一人ひとりが自らの意思でキャリアを築き上げる時代へと、官民の連携の下、変えていく必要がある」(政府『新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画2023改訂版』)などと宣明されるまでに至りました。


【個人と企業のこれからのキャリア形成】

変化の激しい時代では、時代の先や、自分自身の未来をはっきりと見通すことが難しくなります。そして、キャリア形成や将来設計の考え方には個人差があり、将来を見据えた主体的なキャリア形成ではなく、いわば“運任せの出たとこ勝負”で自身のキャリアを築いてきた人も多くいるかと思います。その一方で、自分の過ぎ去った10年前に戻ったつもりで、当時の自分から見た現在の自分を評価してみるのも、キャリア形成を考える上ではひとつの有益な方法です。過去10年間の変化への対応、つまり自分の成長の軌跡を振り返ることで、キャリアの現状を客観的に捉え、次の10年間への折り返し点にいる自分の立ち位置を確認するきっかけとなります。

本調査では、将来設計をしてきた人は、「仕事や働き方に対する満足度が高い」割合が、将来設計をしてこなかった人の3.4倍と、はるかに多いことが明らかになりました。同様に、将来設計をしてきた人の約8割が、10年後の現在に“いい未来”を過ごせていると実感し、将来設計をしていない人の1.8倍に達しています。キャリア形成や将来設計が、満足度の高い仕事につながり、自分にとっての「“いい未来を引き寄せる”」とも言えます。これは、企業の人的資本力を高める上でも、キャリア形成や将来設計の意義と必要性を再認識させられる結果です。

しかしながら実際は、キャリアを会社任せから個人主導へ意識を変えることはすぐには難しいと言えます。その背景に、将来設計をしていない理由として「何をしてよいかわからない」という結果も見えてきました。

2021年4月からすべての企業に適用された「同一労働同一賃金」に関連しては、「国は、国民が職業生活設計の重要性について理解を深めるとともに、労働者が主体的に職業生活設計を行い、自らの選択に応じ充実した職業生活を営むことができるよう、職業生活設計についての教育の推進その他必要な施策を講ずる」と定めた規定もみられます。個人の意識を変えることは重要ですが、それに加えて、企業や政府など官民でキャリア形成や将来設計の方法を提示し、支援していくことがますます大切になってくるでしょう。



法政大学名誉教授
認定NPO法人キャリア権推進ネットワーク理事長

諏訪 康雄(すわ やすお)

ニュー・サウス・ウエールズ大学客員研究員、ボローニャ大学客員教授、法政大学大学院政策創造研究科教授などを経て、2013年同大名誉教授、2018年認定NPOキャリア権推進ネットワーク理事長。専門は雇用政策、キャリア法学。著書に、『雇用政策とキャリア権』(弘文堂、2017年)、『キャリア・チェンジ』(編著、生産性出版、2013年)、『労使コミュニケーションと法』(日本労使関係研究協会、2000年)、『雇用と法』(放送大学教育振興会、1999年)、『Il diritto dei disoccupati』(共編著、Giuffre、1996年)、『外資系企業の人事管理』(共著、日本労働研究機構、1992年)などがある。


  • 「キャリア形成や将来設計に関する意識調査」概要

・調査主体:Indeed Japan株式会社

・調査対象:現在就業中の30~40代の正社員(無期雇用/フルタイム就業者)、会社経営者、公務員、団体職員の男女計1,600名

・割付方法:日本在住の男女30~49歳の5歳刻みにて、均等割り付けにてアンケート回収。会社経営者、公務員、団体職員を含む正社員/男女別の人口構成比に基づいてウェイトバック集計を実施

・調査方法:インターネット調査

・調査期間:2023年8月9日~8月15日

※構成比(%)は小数第2位以下を四捨五入しているため、合計が100%にならない場合があります。


※本プレスリリースおよび結果詳細は、以下からもご確認いただけます
Indeed Japan Press Room:https://jp.indeed.com/press/releases/20230928


Indeed (インディード) について

Indeedは、最も多くの人が仕事を見つけている世界No.1求人検索エンジン*です。現在60ヵ国以上、28の言語でサービスを展開し、求職者は何百万もの求人情報を検索することができます。300万以上の企業がIndeedを利用して従業員を見つけ、採用しています。月間3億人以上のユーザーがIndeedを利用**し、求人検索や履歴書の登録、企業の情報検索を行っています。詳細はhttps://jp.indeed.comをご覧ください。

*出典:Comscore 2023年6月総訪問数
**出典:Indeed社内データ 2023年4~7月

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大八木 紘之
上場
未上場
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-
設立
2013年10月