いよいよ大学入試シーズン。注目ポイントをコンパクトに解説
~教科「情報」共テに初導入/難関大志向/女子の理工系志向が鮮明~
25年度大学入試まであと1カ月。入試シーズンを目前に、河合塾は25年度入試の注目ポイントをコンパクトにまとめました。後半の模擬試験から見た志望動向は、10月下旬に実施した第3回全統共通テスト模試(受験者23.4万人)の受験結果を分析したものです。ご取材も大歓迎です。
1.入試の注目ポイント
(1)教科「情報」が共通テストに初導入
大学入学共通テストに教科「情報」が初導入。出題内容が注目されます。97%の国立大と44%の公立大が「情報」受験を必須とし、志望者は準備が必要です。私大で必須とする大学はごくわずかです。
(2)新課程入試がスタート
22年度から高校に導入された新しい教育課程を反映する初の入試となります。共通テストでは「情報」導入のほか、数学②と地歴公民に変更があります。このほか、国語の現代文に大問が追加。説明書や契約書のような「実用的な文章」が出題されるか注目を集めています。
河合塾主席研究員の近藤治は、「教科『情報』の導入を除き、25年入試の変更は限定的で、過度な心配は不要」とコメントしています。
2.大学・学部の注目ポイント
(1)情報系・理工系を中心に新たな学部が誕生
国の高度情報人材・理工系人材育成の方針を反映し、25年度は情報系・理工系の学部が数多く誕生。注目を集めています。
(2)女子大の変革
女子の進路多様化に伴い、人文系や家政系の学部が多い女子大の志望者が減少しています。この逆境を打開するために、理系や情報系学部の新設、共学化など、新たな取り組みにチャレンジする女子大が増えています。
3.志望動向の注目ポイント ~第3回全統共通テスト模試分析結果より*~
*下記図1・図3・図4のデータは、河合塾主催:第3回全統共通テスト模試(10月下旬実施)の受験者結果を分析したものです(受験者:全国の高3・高卒生 234,646名)。
図2のデータは、2019年度・2024年度の入試結果調査(それぞれ約40万人の調査結果)から分析したものです。
(1)強まる難関大志向、競争緩和が背景に
少子化による競争緩和を背景に、難関10大*や早慶・MARCHなど難関大志向が強まっています(図1)。河合塾の調査では、5年前と比較すると同じ成績層の合格率が各大学群で向上(図2)。河合塾主席研究員の近藤は「同じ学力で5歳くらい年の離れた兄弟の間でも合格できる大学が変わってきた」と話し、以前より入りやすくなった難関大の志望者が増えていると指摘します。
*難関10大:東京大・京都大・北海道大・東北大・東京科学大・一橋大・名古屋大・大阪大・神戸大・九州大
(2)女子の理工系志向が鮮明に
◆系統別志望動向
全体的には文理均衡ですが、女子枠の設置などを背景に、理工系を志望する女子受験生が増加しています。特に来年は「機械・航空系」や「土木・環境系」といった、今まで女子比率が少なかった、いわゆるガチ理系への進出が目立っています。(図3・図4)
より詳しい情報は、河合塾の大学入試情報サイト「Kei-Net」をご覧ください。
全統模試からみる2025年度入試の志望動向(Kei-Net)
[コメンテータ紹介]
河合塾教育研究開発本部 主席研究員
近藤 治(こんどう・おさむ)
長年にわたり大学入試動向分析に携わり、講演会や執筆等で受験生や高校教員に発信。18年から中部本部長として塾生指導の最前線で活躍。21年4月から現職。新聞・テレビ報道でのコメントも多数(昨年実績70件以上)。データに基づく正確な分析と丁寧な語り口が分かりやすいと好評いただいています。
*近藤のほか、貴媒体最寄り校舎へのご取材も承ります。
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