止まらない支援ニーズの増加、食品配付世帯数は7年間でのべ10万世帯に。空腹に苦しむ子どもたちへの支援急務【低所得のひとり親家庭に向けたフードバンク「グッドごはん」】
認定NPO法人グッドネーバーズ・ジャパン(本部:東京都大田区、代表理事:小泉 智)は日本国内の子どもの貧困対策事業として、低所得のひとり親家庭のためのフードバンク「グッドごはん」を運営し、ひとり親家庭への食品配付を行っています。
2017年9月の事業開始以降、食品の受け取りを希望する家庭は増加し続け、2024年10月までにおける食品配付世帯数はのべ10万世帯に達しました。
これまでの活動中には新型コロナウイルスのパンデミックや、2024年11月現在も続く物価上昇などが生じ、困窮家庭は一層脆弱な立場に置かれることとなりました。社会情勢の混乱に呼応するかのように、グッドごはんの支援を求めるひとり親家庭の数も増加しています。
グッドネーバーズ・ジャパンは著しいニーズの増大に対応するべく、食品配付拠点の増設などを通じて事業規模の拡充に努め、より多くのご家庭に支援を届けられるよう活動しています。
食品支援「グッドごはん」を利用するひとり親家庭の実態
グッドごはんによる食品配付世帯数がのべ10万世帯にも達したことはすなわち、食事がままならないほど困窮している家庭が数多く存在しているという事実を示しています。
たとえば、2024年1月から10月にかけてグッドごはんへの新規利用登録を申し込んだ世帯に対し「過去1年間に必要な食料が買えなかった経験」を質問したところ、「よくあった」「時々あった」と回答した人は計4割に及びました[1]。
回答者からは、下記のとおり悲痛なコメントが寄せられました(自由記述回答)。
「3食ともご飯と卵のみのことが多く、栄養が足りていないのを充分感じている。本当はもっといろんな物を食べたいけど、自分のために掛けられるお金はない」
「食費が1番節約できるところなので節約しようとしていましたが、もう節約という段階でもなく子どもたちに最低限の物しか買ってあげられないのがくやしいです。子どもたちが食べたいものをリクエストしてくれるのですが、食材がなくて作ってあげられないことに涙が出ます」
「価格高騰で、栄養のあるものを食べ盛りの高校生に十分に食べさせてあげられない」
グッドごはんを利用するひとり親家庭の保護者は非正規雇用で就労している場合も多く、安定した収入を得ることが難しい状況がみられます[2]。また、持病等の困難な要素を抱えている場合[3]や、子どもの片方の親から養育費を受け取れないケース[4]など、さまざまな事情により生活が困窮し、十分な食事さえ諦めざるを得ないほど切迫した状況にさらされている家庭が存在します。
グッドネーバーズ・ジャパンは、すべての子どもたちがお腹を満たし、家庭の状況によらず健やかな生活を送れるよう、グッドごはんを通じた食品支援に取り組んでいます。
[1] アンケート概要
・対象者:2024年1月1日~2024年10月31日の期間に「グッドごはん」への新規利用登録を申し込んだひとり親家庭 ※同対象者は原則、「ひとり親家庭等医療費受給者証」を保有(「ひとり親家庭等医療費受給者証」とは、18歳未満の子どもを養育し、所得が限度額未満かつ生活保護を受けていないひとり親家庭等に交付される医療費助成制度の医療証)
・回答方法:アンケート回答フォームへの入力(オンライン)
・回答者数:3,676名
[2] 参考:「ひとり親世帯の収入に関するアンケート」https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000083.000005375.html
[3] 参考:「ひとり親家庭の困難状況に関するアンケート」https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000075.000005375.html
[4] 参考:「ひとり親家庭の養育費に関するアンケート」https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000089.000005375.html
「こころが強くなれた」 回答者の約98%がグッドごはんの利用以降にポジティブな変化を実感
グッドごはんを利用する家庭において、前向きな変化や食品支援の派生的効果がみられます。
グッドごはんを継続的に利用する人に対しグッドネーバーズ・ジャパンが行ったアンケート[5]では、回答者の97.7%が、グッドごはんを利用して以降家庭で何らかの変化を経験していることがわかりました。変化の内容として、約半数が「家計が改善した」「家族のコミュニケーションが増えた」「食事の量が増えた」を選択しました(複数回答)。
回答者から寄せられた声(自由記述回答):
「3食たべるのは子どもだけ、私は朝ごはん、昼ごはんを食べないことが当たり前でしたがグッドごはんを貰えるようになってから食べるようになりました」
「(食品を)いただけるので、家計が助かった。その分を子ども達の衣服や筆記用具、誕生日祝い・クリスマスプレゼントにまわす事が出来た」
「グッドごはんでいただいた食材で、栄養のバランスもとれて、普段食べられないものを食べられるときの子供たちの反応と雰囲気がガラッと変わります。反抗期で普段話をしなくても、そういう時はコミュニケーションも増えます」
さらに、同調査において、「グッドごはんを利用する前と比べて心身の健康状態が改善したと思う(とてもそう思う・ややそう思う)」と回答した人は8割を超えました。
回答者からは、グッドごはんを利用して以降に感じた精神的な変化や子どもの様子などについて、下記のような声が寄せられました(自由記述回答)。
「お腹もいっぱいにはなりましたが、こころが強くなれて、本当に救われました。今まで悩みごとを口にするのは、正直あまり良くないと思っていたので、グッドごはんを利用して、私だけではないのかなと考えが変わりました」
「支えてもらえることにより、今まで以上に仕事や子育てを頑張ろうという気持ちになれました。いつか自分も支える側になろうと目標もできました」
「(子どもが)貧困や、母子家庭について考えるだけでなく、世界情勢にも目を向けて物事を考え、微力なからも自分がそれらに対して、何ができるかを考えて生活するようになりました」
[5] アンケート概要
「グッドごはん利用前後の変化に関するアンケート」
・実施日程:2023年11月6日~12月6日
・対象者:「グッドごはん」を少なくとも3年程度継続的に利用している(2023年10月末時点)ひとり親家庭 ※同対象者は原則、「ひとり親家庭等医療費受給者証」を保有
・回答方法:アンケート回答フォームへの入力(オンライン)
・回答者数:131名
一人でも多くの子どもたちを支えるために
「食」は生きること、心身の健康を守ることにおいて、欠かすことはできません。また、子どもたちの健やかな成長を支えることにおいて、食事は最も重要な要素の一つです。未来の社会を担うすべての子どもたちが空腹に苦しむことなく、安心して成長できるよう、周囲からの適切なサポートが不可欠です。
前述のとおり、グッドごはんにおける食品配付世帯の数は増え続けており、困窮家庭に対する喫緊の支援が必要とされています。
私たちグッドネーバーズ・ジャパンは、引き続きグッドごはんの運営体制強化や食品配付拠点の増設などに取り組み、支援を必要とする家庭を取り残さないことを使命に活動してまいります。
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■団体について
特定非営利活動法人グッドネーバーズ・ジャパンは、国際組織グッドネーバーズ・インターナショナルの一員として、2004 年に開設されました。「子どもの笑顔にあふれ、誰もが人間らしく生きられる社会」を目指し、国内外の子ども支援を行っています。公益性の高い団体である「認定NPO 法人」として東京都から認可を受けています。
■ひとり親家庭のフードバンク「グッドごはん」とは
「グッドごはん」とは、ひとり親家庭等医療費受給者証をもつ、所得が限度額未満のひとり親家庭を対象に、食品を毎月無料で配付する事業です。2017年9月の事業開始以降、のべ104,325世帯に食品をお渡ししてきました*。
首都圏、近畿および九州における約50か所*の配付拠点にて、企業や個人の寄付によって集まったお米や調味料、レトルト食品、お菓子など、約10,000円相当のカゴいっぱいの食品をひとり親家庭に配付しています。
*2024年10月時点
https://www.gnjp.org/work/domestic/gohan/
※通常、配付拠点に直接取りに来られる方を対象に食品を配付しています
※生活保護受給中の方は対象外です
<訂正とお詫び(2024年12月5日)>
「グッドごはん」事業開始以降の食品配付世帯数(のべ・2024年10月時点)の記載に誤りがございましたため、下記のとおり訂正いたしました。お詫び申し上げます。
(誤)104,329世帯
(正)104,325世帯
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