障害者がはたらく際に重視する価値観、1位「収入の向上」

~「障害のある方の転職・就職に関する意識調査」結果を発表~

パーソルダイバース株式会社

総合人材サービスのパーソルグループ傘下で障害者雇用支援事業を手掛けるパーソルダイバース株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:渡部 広和)は、障害者の転職・就職支援サービス「dodaチャレンジ」に登録する障害のある方359名を対象に「障害者の転職・就職に関する意識調査」を実施しましたので、結果を発表いたします。

障害者の意識:「現在」と「今後」のはたらく際に重視する価値観

■調査の背景と目的

2023年に改正された障害者雇用対策基本方針にて、事業主は雇用の「質の向上」に取り組むことが明記されました。2024年8月に障害者雇用に取り組む企業に実施した調査でも、雇用の方針や目的が変化しつつあることがわかっています。

そこでパーソルダイバースでは、障害者雇用を取り巻く社会や企業の変化が障害者個人のはたらく意識にも影響しているかを明らかにするため、本調査を実施いたしました。

■主なトピックス(概要)

1. 「現在」と「今後」のはたらくことに対して重視すること

障害者が「現在」について、はたらくことに対して特に重視することは「収入の向上」(31%)、「障害や体調への配慮を重視し、無理せずはたらき続けること」(29.9%)の順に高い結果となりました。

また、「今後」はたらく際に重視することも、「障害や体調への配慮を重視し、無理せずはたらき続けること」(32%)、続いて「収入の向上」(29.2%)の順となり、「現在」、「今後」のトップ2ともに同じ結果となりました。

2. はたらく上で最も大切だと思う行動/企業に求めたいこと

「今後大事にしたい、はたらく上で大事にしたいこと」を実現するために大切だと思う行動では、トップから「周囲との良好な関係性の構築」(61.8%)、「勤怠を安定させてはたらくこと」(57.7%)、「障害や体調安定を第一に、無理のないはたらき方で就業すること」(54.9%)の順に高く、主に就労安定要素の項目が選ばれています。
企業に求めたいこととしても「障害に対する理解、配慮」(66%)、「はたらき方を柔軟に選べること、用意されていること」(59.3%)など、就労安定要素の項目が選ばれており、障害者が重視するはたらく価値観が反映されていることが分かります。

3. 就職・転職活動での不安や悩み、課題

就職・転職活動において感じる不安や悩み、課題は「給与・待遇面など自分の条件と合致するか」(66%)、「自分が希望する(特性や適性に合った)求人数が少なかった」(59.3%)という結果でした。

4. 就職・転職活動を行う際、支援サービスに期待することや望むこと

就職・転職活動において感じる不安や悩み、課題に対して、支援サービスに期待することや望むことは「自分の希望や条件、特性に合った仕事を紹介してくれる」(78.8%)が最も高い結果でした。


■主なトピックス(詳細)

1. 「現在」と「今後」のはたらくことに対して重視すること

障害者が「現在」においてはたらくことに対して特に重視することとしては、「収入の向上」(31%)、次いで「障害や体調への配慮を重視し、無理せずはたらき続けること」(29.9%)の順に高い結果となっています。

また「今後」大事にしたい、はたらく上で最も重視したいものとしても、「障害や体調への配慮を重視し、無理せずはたらき続けること」(32%)が最も高く、次いで「収入の向上」(29.2%)と続きます。この上位2つは今現在大事にしたいものと同様の結果です。

 2020年及び2021年に弊社で実施した「障害者が“はたらく”に重視すること」の結果(※)を見ても、「収入、給与」が最も高く、「継続してはたらけること」と続く結果となっています。今回の調査と同様の項目が選ばれており、2020年から現在、今後において、一貫してこの両者が重視されていることがわかります。

(※)パーソルダイバース「新型コロナウイルス感染拡大による障害者の就業、就職・転職活動への影響調査」(2020年7月)https://persol-diverse.co.jp/news_pch/6485/


(※)パーソルダイバース「新型コロナウイルス感染拡大による障害者のはたらくへの影響調査」(2021年7月)
https://persol-diverse.co.jp/news_pch/7664/

■今後はたらく上で大事にしたい価値観 自由回答(一部抜粋)

・これまで一般雇用枠で何社も経験してきたのちに、障害者雇用枠で働くようになって痛感したが、仕事を選ぶうえで働きやすいこと、働き続けることが一番重要だと思う。(20代、発達障害)

・自身は一般就労のため、周囲および会社に打ち明けられていない。そのため、自身の特性にとって苦手なことを振られて、大きなストレスを抱えたことがあった。そのため、自身の特性に応じて配慮してもらえる環境が望ましいと感じた。(30代、発達障害)

・仕事に生きがいを求めることは、とてもハードルが高いと悟ったので、無理せず、長く働き続けることが重要だと気付いたから。(50代、身体障害)

なお、パーソルダイバースが2024年8月に発表した「障害者雇用方針の変化と展望に関する調査」(※)では、4社に1社の企業(25.3%)が、今後の障害者採用の方針について「自社の収益業務に貢献してもらいたい」と回答しています。労働市場の変化によって、企業の障害者雇用の目的が、法定雇用率の達成などの「法令遵守」から、「人材の戦力化(企業活動への貢献)」へと変わりつつある様子がうかがえます。一方、障害者個人のはたらくことへの意識は、今回の調査結果を鑑みた限りでは大きく変化していないようです。

(※)パーソルダイバース「企業の障害者雇用方針の変化と展望に関する調査」(2024年8月発表)
 https://persol-diverse.co.jp/news/12039/

障害者のはたらく意識と企業の雇用意識の違い

2. はたらく上で最も大切だと思う行動/企業に求めたいこと

はたらく上で大事にしたい価値観を実現するために大切だと思う行動では、「周囲と良好な関係性を構築する事」(61.8%)が最も高く、「障害や体調安定を第一に、無理のないはたらき方で就業すること」(57.7%)、「障害や体調安定を第一に、無理のないはたらき方で就業すること」(54.9%)と続きました。

重視するはたらく価値観を実現するために、最も大切だと思う行動

企業に対して求めることとしても、「障害に対する部署や会社の理解、配慮」(66%)が高く、「はたらき方を柔軟に選べること、用意されていること」(59.3%)と続きます。

様々な仕事に従事する機会やスキルの習得より、自身の特性や体調の安定を前提に、安定的にはたらく上で、障害への配慮やはたらき方の柔軟性を重視したい傾向がうかがえます。

重視する価値観を実現するために、企業に求めたいこと

3. 就職・転職活動での不安や悩み、課題

就職・転職活動において感じる不安や悩み、課題では、「給与・待遇面など自分の条件に合致するか」(58.5%)が最も高く、続いて「自分が希望する(特性や適性に合った)求人数が少なかった」(43.7%)に続きます。

これらは、「今現在はたらくことに対して特に重視していること」で上位項目でもあった、「収入の向上」や、「障害や体調を第一に、無理をせずにはたらき続けること」といった項目と合致する結果となっており、自分の求める要件に合致する求人を探しづらい現状がうかがえます。

就職・転職活動において感じる(過去の就職活動で感じた)不安や悩み、課題

4.  就職・転職活動を行う際、支援サービスに期待することや望むこと

また、就職・転職支援サービスに期待することとしても「自分の希望や条件、特性に合った仕事を紹介してくれる」(78.8%)が最も高く、「転職/就職先を選ぶ際の情報量と選択肢が多い」(58.2%)、「障害に対する理解や知識が豊富で安心して任せられる」(55.4%)と続いています。はたらく上で大事にしたい価値観である「収入の向上」「障害や体調に配慮して、はたらき続けること」が反映されている様子がうかがえます。

就職・転職活動を行う際、支援サービスに期待することや望むこと

■調査結果考察

パーソルダイバース株式会社

人材ソリューション統括本部 人材ソリューション本部 

キャリア支援事業部 ゼネラルマネジャー 木田 正輝

今回の調査では、障害者がはたらく際に、障害や体調への配慮や収入面を重視していることが改めてわかりました。障害の有無にかかわらず、心身ともに安心してはたらき収入を得ることは誰もが求めることです。中でも、体調や特性への配慮が障害者にとっては重要な要素であり、世の中全体ではたらき方、はたらく価値観が変化しても、はたらく一人ひとりの想いは変わらないと言えるでしょう。

法定雇用率の上昇や就職・転職市場の変化によって、企業の障害者雇用に対する意識や取り組み方に変化が生じています。近年は、企業活動を支える人材として、障害者採用に収益などの事業貢献を求める声も耳にします。

障害者も企業人材としてとらえる考え方は勿論のことですが、障害者の強みや特性は多様であり、価値発揮のあり方は人により異なるということを忘れてはいけないと思います。正しい理解と必要な配慮によって勤怠を安定させ、強みを発揮して長くはたらくことで、企業活動に貢献し、収入を得ることに繋がります。はたらく障害者と企業のギャップを広げるのではなく、相互理解、良好な関係を築くことが大切ではないでしょうか。

私たちdodaチャレンジはこれからも、多様な障害のある方一人ひとりが、ご自身の強みや能力を活かし、安心してはたらき続けられるよう、幅広くご支援を続けてまいりたいと思います。それによって、収入面はもちろん、仕事を通じて貢献していきたいという気持ちになっていただけるような就職・転職を実現してまいりたいと思います。

■調査概要

実施期間

2024年8月19日~8月23日

実施方法

Webアンケート調査
dodaチャレンジサービス会員に対して配信

調査対象者

dodaチャレンジに登録する、全国の障害のある就業者 359名
障害内訳:身体障害者300名/精神障害者:31名/発達障害者:28名
就業状況:現職325名/離職中33名/就業経験なし1名
雇用枠:障害者雇用枠247名/一般雇用枠78名(※現職の方のみ)
居住エリア:北海道・東北24名/北陸3名/関東(一都三県除く)38名/
首都圏(一都三県)156名/中部40名/関西62名/四国0名/九州・沖縄:31名
年代:~20代23名/30代88名/40代108名/50代139名/60代1名

調査主体

パーソルダイバース株式会社

■パーソルダイバース株式会社について<https://persol-diverse.co.jp/

パーソルグループの特例子会社として、「障害者雇用を成功させる。そして、その先へ。」をミッションに、障害者の多様なはたらき方とはたらく可能性の創出に取り組んでいます。グループ内外の企業や地域と連携した 多様な業務受託サービスを展開するほか、国内最大級の求人・登録者数を持つ障害者のための転職・就職支援 サービス「dodaチャレンジ」、就労移行支援事業所「ミラトレ」「Neuro Dive」の運営や、企業の雇用課題を支援する「障害者の人材紹介」「障害者雇用コンサルティング」などのサービスを提供しています。

■dodaチャレンジについて<https://doda.jp/challenge/

dodaチャレンジはパーソルダイバースが運営する障害者のための転職・就職支援サービスです。サイトには掲載されていない非公開求人を含む数多くの求人から、経験豊富な障害者専任のキャリアアドバイザーが、障害の状況や配慮事項など、丁寧なヒアリングを通じて納得のいく転職をサポートしています。

■「PERSOL(パーソル)」について<https://www.persol-group.co.jp/

パーソルグループは、「“はたらくWell-being”創造カンパニー」として、2030年には「人の可能性を広げる ことで、100万人のより良い“はたらく機会”を創出する」ことを目指しています。 さまざまな事業・サービスを通じて、はたらく人々の多様なニーズに応え、可能性を広げることで、世界中の 誰もが「はたらいて、笑おう。」 を実感できる社会を創造します。

本リリースに関するお問い合わせ先

パーソルダイバース株式会社 広報担当

MAIL:inquiry@persol.co.jp

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会社概要

URL
https://persol-diverse.co.jp/
業種
サービス業
本社所在地
東京都港区港南1-7-18  A-PLACE品川東 6F
電話番号
-
代表者名
渡部 広和​
上場
未上場
資本金
4500万円
設立
2008年01月