CureApp「高血圧治療アプリ」治験結果を欧州心臓病学会2021にて発表

〜循環器トップジャーナル European Heart Journalへ論文同時掲載〜日本初の高血圧領域におけるデジタル療法へ大きな一歩

株式会社CureApp

報道関係者各位
2021年9月3日

 株式会社CureApp(本社:東京都中央区 代表取締役社長:佐竹 晃太 以下、当社)と自治医科大学内科学講座循環器内科学部門と共同研究を行なっていた高血圧症に対する治療アプリ®︎(以下、本治療アプリ)の国内第Ⅲ相多施設共同無作為化比較試験(治験)結果について、自治医科大学内科学講座循環器内科学部門の苅尾七臣教授が2021年8月末に開催された欧州心臓病学会(ESC Congress 2021 - The Digital ExperienceのLate Breaking Trials in Hypertension)にて発表しました。また、循環器疾患における国際的トップジャーナルの一つ European Heart Journalへ論文が掲載されたことも合わせてご報告いたします。
 

治験概要
本治験は2020年1月〜2020年12月に行われ、本態性高血圧症の患者様を対象に、本治療アプリの有効性と安全性を評価した試験*1です。高血圧治療ガイドライン2019(以下「ガイドライン」)*2に沿った生活習慣の修正指導を行う対照群と、ガイドラインに沿った生活習慣の修正に加え本治療アプリを使用する介入群の2群に分け比較検討を行いました。
高血圧領域において薬事承認を目的とした治療用アプリの治験としては「世界初」となります。

高血圧治療アプリの有効性と臨床的意義
主要評価項目である治験登録12週時点におけるABPM*3による24時間の収縮期血圧の群間差(調整平均)は ‐2.4 ㎜Hgであり、本治療アプリを使用した介入群は使用していない対照群に対して有意な降圧効果を示しました(Fig.1)。

対照群については、生活習慣の修正の指導、毎日の血圧測定の実施がされました。ABPMによる24時間の収縮期血圧の群間差である -2.4 ㎜Hgは、脳心血管病の発症リスクの10.7%の低下という臨床的意義を示します*4。

さらに登録後12週時点における起床時の家庭血圧SBP(収縮期血圧)においても、群間差は -4.3 ㎜Hgであり(Fig.1)、この効果は登録後24週まで持続しました。本邦の心血管リスクのある患者を対象としたJ-HOP研究*5では、起床時の家庭収縮期血圧は脳卒中の独立した危険因子であるとされており、10 ㎜Hgの増加で脳卒中リスクが36%増加するとされています。本治療アプリによる起床時の家庭収縮期血圧の約10 ㎜Hgの低下は、心血管疾患を減少させる臨床的意義があると共に今後の高血圧治療における治療方法の選択肢の1つとして有効であることを意味付ける結果となりました。
 

Fig1.治療登録後12週時点におけるABPM、家庭血圧及び診察室安静坐位血圧のベースラインからの変化量
(調整平均(95%信頼期間))及び群間差のまとめ

Fig1出典:European Heart Journal, ehab559, https://doi.org/10.1093/eurheartj/ehab559

ABPM:自由行動下血圧測定 Ambulatory Blood Pressure Monitoring
Morning home SBP:起床時家庭血圧
Evening home SBP:就寝前血圧
Office SBP:診察時血圧

高血圧症について
高血圧は患者数が国内で約4,300万人*2と非常に多く、高血圧に関連する医療費は約1.8兆円*6にものぼります。また高血圧は脳心血管病(脳卒中や心疾患)最大のリスク因子であり、高血圧に起因する脳心血管病死亡者数は年間約10万人*7と推定されています。継続的に治療を受けていると推測される患者数は約1000万人程度*8であり、軽症段階での治療介入は十分ではなく約70%の患者が降圧目標未達成もしくは未治療の現状があります。治療効果の享受は院外・在宅での早期かつ持続的な生活習慣の修正が重要とされていますが、院外患者数が多く未治療の患者が多いこと、また治療を行っている患者でも限られた診察時間内で個別化した生活習慣の修正を医師が直接行うには難しい現状があります。


高血圧症に対する「治療用アプリ」の可能性
高血圧の治療には生活習慣の修正が不可欠ですが、患者様の価値観や意欲、職場・家庭環境などに左右されるため継続が難しく、医療機関による効果的な介入も困難という課題があります。このような課題に対し、本治療アプリは、個別最適化された治療ガイダンス(IoT血圧計を用いた血圧モニタリングと生活習慣ログから最適化された食事、運動、睡眠等に関する知識や行動改善を働きかける情報)を患者様へ自動で直接提供します。意識・行動変容を促し患者様の正しい生活習慣の獲得をサポートすることで、継続的な生活習慣の修正が可能となり、血圧低下、又は高血圧の状態から脱するという治療効果を導きます。また、医師側においても患者様の生活習慣の修正の状況が医師アプリにおいても確認でき、治療アプリを通して患者様と医師のコミュニケーションが深まることで、診療の質が上がり、継続的な生活習慣の修正の実施が期待されます。

*1 Kario K. Nomura A. Satake K. et al. A multicenter clinical trial to assess the efficacy of the digital therapeutics for essential hypertension: Rationale and design of the HERB-DH1 trial. J Clin Hypertens. (Greenwich) 2020;22(9):1713-1722  https://doi.org/10.1111/jch.13993
*2 高血圧治療ガイドライン2019[JSH2019] 日本高血圧学会(2019) https://www.jpnsh.jp/guideline.htm
*3自由行動下血圧測定(ABPM) :Ambulatory Blood Pressure Monitoring,普段どおりの生活をしながら 24時間一定間隔で継続的に血圧を測定する検査。血圧は様々な要因で上下するので、血圧の日内変動(1日の変動パターン)を知ることができます。
*4 Is antihypertensive treatment based on home blood pressure recommended rather than that based on office blood pressure in adults with essential hypertension? (meta-analysis)の計算式をもとに算出
Satoh M, Maeda T, Hoshide S, Ohkubo T. Is antihypertensive treatment based on home blood pressure recommended rather than that based on office blood pressure in adults with essential hypertension? (meta-analysis). Hypertens Res.2019;42:807-816.
*5 Hoshide S, Yano Y, Haimoto H, et al. Morning and Evening Home Blood Pressure and Risks of Incident Stroke and Coronary Artery Disease in the Japanese General Practice Population: The Japan Morning Surge-Home Blood Pressure Study. J-HOP Study Group.Hypertension. 2016;68:54-61.
https://www.ahajournals.org/doi/10.1161/HYPERTENSIONAHA.116.07201?url_ver=Z39.88-2003&rfr_id=ori:rid:crossref.org&rfr_dat=cr_pub%20%200pubmed
*6「国民医療費の概要」平成30年度調査(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-iryohi/18/index.html
*7「人口動態統計の概況」令和元年度調査(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/kakutei19/dl/15_all.pdf
*8 「患者調査」平成29年度調査(厚生労働省) 
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kanja/17/dl/05.pdf

今回結果発表した学会と論文について
<欧州心臓病学会(ESC Congress 2021 - The Digital Experience)>
Late Breaking Trials in Hypertension
Speaker: Kazuomi Kario Jichi Medical University - Tochigi, Japan
https://digital-congress.escardio.org/ESC-Congress?_ga=2.248172036.2087792987.1628038424-1168805000.1620870041

<European Heart Journal>
Efficacy of a digital therapeutics system in the management of essential hypertension: the HERB-DH1 pivotal trial 
European Heart Journal, ehab559, https://doi.org/10.1093/eurheartj/ehab559


株式会社CureAppについて
株式会社CureAppは、高度なソフトウェア技術と医学的エビデンスに基づいた疾患治療用プログラム医療機器創出に向け、研究開発を行い、製造販売をしているMedTechベンチャーです。「アプリが病気を治療する効果を持つ」という新しい医療サービスを日本で初めて実現するために、病気を治療するアプリである「治療アプリ®︎」の開発に取り組んでいます。2020年8月には、疾患治療用アプリとして国内初となる、ニコチン依存症治療アプリ及びCOチェッカー「CureApp SC」の薬事承認を取得し、同年12月に保険収載に至りました。
現在、研究開発中の治療アプリ®︎は上記ニコチン依存症治療アプリ、今回発表の高血治療アプリの他
  1. NASH(非アルコール性脂肪肝炎)治療アプリ(東京大学医学部附属病院と共同開発・臨床試験中)
  2. アルコール依存症治療アプリ(独立行政法人国立病院機構久里浜医療センターと共同研究、岡山市立総合医療センター 岡山市立市民病院での臨床試験開始)
  3. がん患者支援治療アプリ(第一三共株式会社と共同開発中)
があります。

加えて、これら医療機関向け治療アプリ®︎の開発で蓄積した知見を活用し、民間法人向けモバイルヘルスプログラムの「ascure卒煙プログラム」、「特定保健指導対応型ascure卒煙プログラム」を提供し、200を超える多くの企業、健康保険組合などに導入をいただいています。また、医療向けと民間法人向けの両方の知見を活かして、健康保険組合、企業、自治体向けにCureApp SC®︎の処方が可能なオンラインの禁煙診療「ascureDr.卒煙TM」の提供もしています。

さらには、日本で生み出したモデルをベースに「日本発のデジタルヘルスソリューション」として、順次グローバルにも展開していく予定です。

※「治療アプリ」「CureApp SC」は株式会社CureAppの登録商標です。


【株式会社CureApp 会社概要】
代表取締役社長:佐竹 晃太
本社所在地:東京都中央区日本橋小伝馬町12-5 小伝馬町YSビル4階
事業内容:プログラム医療機器開発、モバイルヘルス関連サービス事業
URL:http://cureapp.co.jp/

【自治医科大学 概要】
名称 :学校法人自治医科大学
代表 :理事長 大石 利雄
所在地:栃木県下野市薬師寺3311-1
URL :http://www.jichi.ac.jp/

【お問い合わせ先】
<研究に関するお問い合わせ>
自治医科大学 内科学講座循環器内科学部門
教授 苅尾 七臣
E-mail:kkario@jichi.ac.jp

<治療アプリ®︎に関するお問い合わせ>
株式会社CureApp 広報担当 安藤・三島
E-mail:pr-team@cureapp.jp
お問い合わせ、ご質問はCureApp広報までメールにて、回答期限を明記してお送りください

 

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URL
http://www.cureapp.co.jp/
業種
医療・福祉
本社所在地
東京都中央区日本橋小伝馬町12-5 小伝馬町YSビル4階
電話番号
-
代表者名
佐竹晃太
上場
未上場
資本金
5000万円
設立
2014年07月