国立高専初の超小型衛星KOSEN-1が宇宙へ!
〜10月1日にJAXAイプシロンロケットで打ち上げ予定〜
高知工業高等専門学校(高知県南国市、校長:井瀬 潔 以下「高知高専」という。)を中心とする10高専(高知高専、群馬高専、徳山高専、岐阜高専、香川高専、米子高専、新居浜高専、明石高専、鹿児島高専、苫小牧高専)が開発した超小型衛星KOSEN-1の打ち上げ予定日時が、10月1日(金)9時48分頃~9時59分頃(日本標準時)に決まりました。
このKOSEN-1衛星は、2018年12月にJAXAの革新的衛星技術実証2号機に搭載される実証テーマに選定され、高専生を中心に2年半かけて開発されたもので、3つの新しい宇宙技術実証を行うことになっています。
【内容】
KOSEN-1衛星は、木星から放射される自然電波を衛星で観測するための最新の技術を実証することを目的とした、木星電波観測技術実証衛星です。この衛星の開発は、高知高専と群馬高専を中心とした10高専の50名を超える高専生が参加する高専間連携プロジェクトになります。
このプロジェクトは、平成26年度に採択された文部科学省の実践的若手宇宙人材育成プログラム「国立高専超小型衛星実現に向けての全国高専連携宇宙人材育成事業」(代表者:高知高専・今井一雅)、平成29年度宇宙航空人材育成プログラム「超小型衛星開発を通した高専ネットワーク型宇宙人材育成」(代表者:徳山高専・北村健太郎)、そして令和2年度宇宙航空人材育成プログラム「継続的な超小型衛星開発・運用を通した次世代の高専型宇宙人材育成」(代表者:新居浜高専・若林誠)の事業として行われてきたものです。
上記のプログラムにおいては、合宿型の「高専スペースキャンプ」や宇宙理工学に関するオンライン講座「高専スペースアカデミア」による高専型宇宙教育が行われてきました。また、今年度からは全国高専「宇宙コンテスト(宇宙コン)」をオンラインで開催する予定です。このような取り組みの中で育った高専生が、今回の衛星開発を支えています。
ここでは、多くの高専生のアイデアにより生まれたKOSEN-1衛星の概要と、新しい宇宙技術の実証について紹介します。
KOSEN-1衛星の概要
図1のCGのような外観のKOSEN-1衛星は、大きさが10センチ四方の立方体(1U)を縦に二つ重ねた超小型サイズ(2Uのキューブサットで寸法は10cm×10cm×23cm)で、重量は2.6kgとなっています。
図2は、KOSEN-1衛星を含む9機の衛星を搭載して打ち上げられるイプシロンロケット5号機の飛翔イメージのCGで、図3は、ロケットの最終段から同時に放出されるARICA衛星(右の1Uキューブサット)とKOSEN-1衛星(左の2Uキューブサット)のCGです。
KOSEN-1衛星による新しい宇宙技術の実証
このKOSEN-1衛星では、木星電波観測技術実証衛星として、下記のような2Uのキューブサットにおける新しい宇宙技術の実証を目指します。
(1) デュアルリアクションホイールによる超高精度姿勢制御の宇宙実証
このデュアルリアクションホイールは、2つのリアクションホイールを止めた状態から、時間差をつけてお互いに逆に回転させることにより差分のトルクを得て姿勢制御するという、ユニークな仕組みとなっており、衛星に搭載されるものとしては初めてとなります。図4に示すように、このデュアルリアクションホイールは、衛星の中央部に組み込まれており、新たに薄型モーターを開発することにより2U のキューブサットへの実装を可能としました。
衛星の心臓部のコンピュータになるOBC(Onboard Computer)に、超小型で低消費電力となるLinuxマイコンボードのRaspberry Pi Compute Module 1 (CM1)を使うもので、LinuxのOS上での膨大なリソースを使うことが可能となります。また、市販のCM1ボードを使うことにより、OBCのハード的なシミュレーションも行うことができます。このOBCのソフト開発においては、CM1ボードを使って、作成するプログラムをインターネット上で共有することにより、各ミッションのソフト開発が行われました。この方法により、多くの高専生が参加する新しい分散型OBCソフト開発が実現しました。
(3) 木星電波観測用6.6m長ダイポールアンテナ展開技術の宇宙実証
木星電波観測用アンテナ展開技術により、片端3.3mとなる中心周波数が20.5MHzの半波長ダイポールアンテナ(両端の長さは6.6m)の展開を行うもので、キューブサットにおいては、このような長いアンテナの展開は初めての技術実証となります。この木星電波アンテナについては、展開時の給電点の電気的な接触を確保できる機構も新たに開発されました。
なお、このKOSEN-1衛星は、木星電波観測技術実証衛星ということで、デカメートル波帯(短波帯)の自然電波放射である木星電波のビーム特性を調べることを目指すことがミッションとなっており、米国で運用されているLWA (Long Wavelength Array) 等をはじめとする地上の大型低周波電波望遠鏡と一緒に、衛星と地上で同時に木星電波観測を行います。このデータ解析により、木星電波放射機構を解明するための重要な情報が得られることが期待されています。
【参考資料】
(1)JAXAホームページ:イプシロンロケット5号機による革新的衛星技術実証2号機の打上げについて
https://www.jaxa.jp/press/2021/08/20210820-2_j.html
(2)YouTube:JAXA革新的衛星技術実証2号機/イプシロンロケット5号機フライトシーケンスCGの紹介
https://youtu.be/pLghraclhXs
(3)JAXAホームページ:木星電波観測技術実証衛星「KOSEN-1」インタビュー記事
https://www.kenkai.jaxa.jp/kakushin/interview/02/interview02_16.html
(4)JAXAホームページ:
・JAXA革新的衛星技術実証2号機/イプシロンロケット5号機特設サイト
https://fanfun.jaxa.jp/countdown/kakushin2-epsilon5/index.html
・JAXA革新的衛星技術実証2号機
https://www.kenkai.jaxa.jp/kakushin/kakushin02.html
(5)新居浜高専ホームページ:文部科学省「宇宙航空人材育成プログラム」に採択されました
https://www.niihama-nct.ac.jp/2020/07/22/entry-topics-19090/
(6)高知高専ホームページ:
・JAXAのホームページにKOSEN-1衛星のインタビュー記事が公開されました
https://www.kochi-ct.ac.jp/news/archives/581
・文部科学省「宇宙航空人材育成プログラム」に採択されました
https://www.kochi-ct.ac.jp/news/archives/468
・高知高専・群馬高専を中心とする10高専による超小型衛星がJAXA革新的衛星技術実証2号機に搭載される実証テーマに選定されました
https://www.kochi-ct.ac.jp/news/archives/247
高知工業高等専門学校について
2030年頃には、AI、ロボット、ビッグデータなどの技術革新が一層進展し、社会や生活を大きく変えていく超スマート社会(Society5.0)の到来が予想され、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会が実現されていくと言われています。その中で克服すべき多くの課題を自ら解決し、全く新しい事業や市場の創出に貢献する人材が求められます。
高知高専はこれからの社会の変化と時代のニーズに対応できる人材を育成する1学科制の高等専門学校です。
1・2年次では、教養科目・専門基礎科目・実験実習で基本力を身につけ、3年次からは専門分野5コースのいずれかに進み、コアな専門分野と多面的な知識を融合、幅広い学識・技術が活かせるハイブリッド型の人材を育成しています。
自らの力で新しい社会をデザインする「みらい人」の輩出を高知高専は目指します。
【学校概要】
学校名:独立行政法人国立高等専門学校機構 高知工業高等専門学校
所在地:高知県南国市物部乙200-1
校長名:井瀬 潔
設立:1963年
URL:https://www.kochi-ct.ac.jp/
事業内容:高等専門学校・高等教育機関
【お問い合わせ先】
高知工業高等専門学校 総務課企画係
TEL:088-864-5602
e-mail:kikaku@jm.kochi-ct.ac.jp
【内容】
KOSEN-1衛星は、木星から放射される自然電波を衛星で観測するための最新の技術を実証することを目的とした、木星電波観測技術実証衛星です。この衛星の開発は、高知高専と群馬高専を中心とした10高専の50名を超える高専生が参加する高専間連携プロジェクトになります。
このプロジェクトは、平成26年度に採択された文部科学省の実践的若手宇宙人材育成プログラム「国立高専超小型衛星実現に向けての全国高専連携宇宙人材育成事業」(代表者:高知高専・今井一雅)、平成29年度宇宙航空人材育成プログラム「超小型衛星開発を通した高専ネットワーク型宇宙人材育成」(代表者:徳山高専・北村健太郎)、そして令和2年度宇宙航空人材育成プログラム「継続的な超小型衛星開発・運用を通した次世代の高専型宇宙人材育成」(代表者:新居浜高専・若林誠)の事業として行われてきたものです。
上記のプログラムにおいては、合宿型の「高専スペースキャンプ」や宇宙理工学に関するオンライン講座「高専スペースアカデミア」による高専型宇宙教育が行われてきました。また、今年度からは全国高専「宇宙コンテスト(宇宙コン)」をオンラインで開催する予定です。このような取り組みの中で育った高専生が、今回の衛星開発を支えています。
ここでは、多くの高専生のアイデアにより生まれたKOSEN-1衛星の概要と、新しい宇宙技術の実証について紹介します。
KOSEN-1衛星の概要
図1のCGのような外観のKOSEN-1衛星は、大きさが10センチ四方の立方体(1U)を縦に二つ重ねた超小型サイズ(2Uのキューブサットで寸法は10cm×10cm×23cm)で、重量は2.6kgとなっています。
図2は、KOSEN-1衛星を含む9機の衛星を搭載して打ち上げられるイプシロンロケット5号機の飛翔イメージのCGで、図3は、ロケットの最終段から同時に放出されるARICA衛星(右の1Uキューブサット)とKOSEN-1衛星(左の2Uキューブサット)のCGです。
KOSEN-1衛星による新しい宇宙技術の実証
このKOSEN-1衛星では、木星電波観測技術実証衛星として、下記のような2Uのキューブサットにおける新しい宇宙技術の実証を目指します。
(1) デュアルリアクションホイールによる超高精度姿勢制御の宇宙実証
このデュアルリアクションホイールは、2つのリアクションホイールを止めた状態から、時間差をつけてお互いに逆に回転させることにより差分のトルクを得て姿勢制御するという、ユニークな仕組みとなっており、衛星に搭載されるものとしては初めてとなります。図4に示すように、このデュアルリアクションホイールは、衛星の中央部に組み込まれており、新たに薄型モーターを開発することにより2U のキューブサットへの実装を可能としました。
(2) 超小型Linuxマイコンボード Raspberry Pi CM1ベースのOBCの宇宙実証
衛星の心臓部のコンピュータになるOBC(Onboard Computer)に、超小型で低消費電力となるLinuxマイコンボードのRaspberry Pi Compute Module 1 (CM1)を使うもので、LinuxのOS上での膨大なリソースを使うことが可能となります。また、市販のCM1ボードを使うことにより、OBCのハード的なシミュレーションも行うことができます。このOBCのソフト開発においては、CM1ボードを使って、作成するプログラムをインターネット上で共有することにより、各ミッションのソフト開発が行われました。この方法により、多くの高専生が参加する新しい分散型OBCソフト開発が実現しました。
(3) 木星電波観測用6.6m長ダイポールアンテナ展開技術の宇宙実証
木星電波観測用アンテナ展開技術により、片端3.3mとなる中心周波数が20.5MHzの半波長ダイポールアンテナ(両端の長さは6.6m)の展開を行うもので、キューブサットにおいては、このような長いアンテナの展開は初めての技術実証となります。この木星電波アンテナについては、展開時の給電点の電気的な接触を確保できる機構も新たに開発されました。
なお、このKOSEN-1衛星は、木星電波観測技術実証衛星ということで、デカメートル波帯(短波帯)の自然電波放射である木星電波のビーム特性を調べることを目指すことがミッションとなっており、米国で運用されているLWA (Long Wavelength Array) 等をはじめとする地上の大型低周波電波望遠鏡と一緒に、衛星と地上で同時に木星電波観測を行います。このデータ解析により、木星電波放射機構を解明するための重要な情報が得られることが期待されています。
【参考資料】
(1)JAXAホームページ:イプシロンロケット5号機による革新的衛星技術実証2号機の打上げについて
https://www.jaxa.jp/press/2021/08/20210820-2_j.html
(2)YouTube:JAXA革新的衛星技術実証2号機/イプシロンロケット5号機フライトシーケンスCGの紹介
https://youtu.be/pLghraclhXs
(3)JAXAホームページ:木星電波観測技術実証衛星「KOSEN-1」インタビュー記事
https://www.kenkai.jaxa.jp/kakushin/interview/02/interview02_16.html
(4)JAXAホームページ:
・JAXA革新的衛星技術実証2号機/イプシロンロケット5号機特設サイト
https://fanfun.jaxa.jp/countdown/kakushin2-epsilon5/index.html
・JAXA革新的衛星技術実証2号機
https://www.kenkai.jaxa.jp/kakushin/kakushin02.html
(5)新居浜高専ホームページ:文部科学省「宇宙航空人材育成プログラム」に採択されました
https://www.niihama-nct.ac.jp/2020/07/22/entry-topics-19090/
(6)高知高専ホームページ:
・JAXAのホームページにKOSEN-1衛星のインタビュー記事が公開されました
https://www.kochi-ct.ac.jp/news/archives/581
・文部科学省「宇宙航空人材育成プログラム」に採択されました
https://www.kochi-ct.ac.jp/news/archives/468
・高知高専・群馬高専を中心とする10高専による超小型衛星がJAXA革新的衛星技術実証2号機に搭載される実証テーマに選定されました
https://www.kochi-ct.ac.jp/news/archives/247
高知工業高等専門学校について
2030年頃には、AI、ロボット、ビッグデータなどの技術革新が一層進展し、社会や生活を大きく変えていく超スマート社会(Society5.0)の到来が予想され、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会が実現されていくと言われています。その中で克服すべき多くの課題を自ら解決し、全く新しい事業や市場の創出に貢献する人材が求められます。
高知高専はこれからの社会の変化と時代のニーズに対応できる人材を育成する1学科制の高等専門学校です。
1・2年次では、教養科目・専門基礎科目・実験実習で基本力を身につけ、3年次からは専門分野5コースのいずれかに進み、コアな専門分野と多面的な知識を融合、幅広い学識・技術が活かせるハイブリッド型の人材を育成しています。
自らの力で新しい社会をデザインする「みらい人」の輩出を高知高専は目指します。
【学校概要】
学校名:独立行政法人国立高等専門学校機構 高知工業高等専門学校
所在地:高知県南国市物部乙200-1
校長名:井瀬 潔
設立:1963年
URL:https://www.kochi-ct.ac.jp/
事業内容:高等専門学校・高等教育機関
【お問い合わせ先】
高知工業高等専門学校 総務課企画係
TEL:088-864-5602
e-mail:kikaku@jm.kochi-ct.ac.jp
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