[レポート]IPゲームにおける環境の変化

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Sensor Tower

プレイヤーの獲得にかかる費用が増加の一途をたどる中、多くの開発者やパブリッシャーは、広範な訴求力を持つIP(知的財産)に目を向けています。このレポートでは、ここ数年間におけるトップIPの実績、IPメディアの種類、親会社などを見ていきます。

知っておくべきこと - 重要ポイント:

  • 『MONOPOLY GO!』は、世界で最も多くの収益を上げているIPモバイルゲームです。そのため、ScopelyはIPモバイルゲームによる収益でパブリッシャーの1位になり、HasbroはモバイルゲームでIP親会社の1位になりました。

  • IPコラボレーションによるアプリ内イベントの増加によって、IPの広範な訴求力がIP以外のゲームにも広がっています。

  • 2023年はWarner Bros.の『ホグワーツ・レガシー』をはじめ、PC/コンソールでもIPの大作が複数リリースされました。

本レポートでは、IPの保有者とパブリッシャーがIPから得られる機会について考える中で、トレンドを分析し、IPモバイルゲーム市場の規模と飽和度に目を向けています。また、2023年にリリースされたPC/コンソール向けトップタイトルについても詳しく取り上げています。

IP親会社の収益トップ20

親会社は、IP事業者と個々のIPに分類されます。例えば、DisneyはIP事業者であるLucasfilmを傘下に持つ親会社であり、Lucasfilmは『スター・ウォーズ』のIPを運営しています。IPはIPメディアの種類によって色分けされています。IPメディアの種類とは、知的財産が最初に登場したメディアの種類のことです。たとえば、『スター・ウォーズ』は映画のIP、『モノポリー』はボードゲームのIPです。

上の図を見ると、『MONOPOLY GO!』の『モノポリー』IPによって、Hasbroが世界のIP親会社の1位になったことがわかります。2位は韓国のゲームパブリッシャーNCSOFTで、同社のRPG『リネージュ』は素晴らしい成功を収めています。Nintendoが『Pokémon GO』でランクインしたのも意外ではありません。3位は、『ONE PIECE』や『NARUTO -ナルト-』をはじめとするアニメ/マンガのヒット作をコンスタントに送り出している出版社のShueishaが属するHitotsubashi Groupです。Hitotsubashi Groupは、単一の大ヒットIPがでトップのIP親会社を支えるという傾向に逆らい、複数の強力なIPを傘下に収めています。Disneyはやや意外なことに5位となりましたが、強力なIPを複数持っているだけでなく、さまざまな種類のIPメディアを擁しているという点で、同様に傾向に逆らっています。

2021年と2022年には、『ドラゴンボールZ』のゲームでモバイルでの成功を収めている日本のパブリッシャーBandai Namco Entertainmentと、『リネージュ』シリーズの開発元である前述の韓国のパブリッシャーNCSOFTが、IPモバイルゲームの収益トップ2を占めました。これらの年にはScopelyもランクインしましたが、『Star Trek 艦隊コマンド』や『MARVEL ストライクフォース』などによって辛うじて10位に入りました。『MONOPOLY GO!』をリリースしたことで、Scopelyは9ランクアップしてトップになりました。もう1つの興味深い傾向は、Tencentが『リーグ・オブ・レジェンド:ワイルドリフト』によって2位に浮上したことです。このモバイルMOBAは欧米ではそこまでの勢いはありませんが、中国では驚異的な成功を収めており、世界最高の収益を上げているゲーム『Honor of Kings』が『リーグ・オブ・レジェンド』から着想を得たモバイルMOBAであり、同じくTencentが所有していることを考えれば、それほど意外ではありません。

ただし、最近ではIPを重視したゲームの開発だけでなく、モバイルゲームにおけるIPのもう1つの手段も目立つようになってきました。それはゲーム内イベントでのコラボレーションです。こうしたイベントでは、モバイルゲームがIPと連携して、ダウンロード数、収益、エンゲージメントを促進します。

例えば、Robloxはここ数ヵ月だけでも、カナダのサーカスプロダクション会社Cirque du Soleil、日本のバラエティ番組『風雲!たけし城』、セレブのパリス・ヒルトン、K-POPグループのBLACKPINKと組んで多くのコラボレーションを展開しています。これらのコラボレーションの中では、BLACKPINKとのコラボが最も多くの収益を上げたようで、K-POPファンがいかに熱心で献身的であるかを示しています。とはいえ、こうしたパートナーシップの主な目的が、広告収入に匹敵するユーザー支出を促すことでなければ、ユーザー支出が明らかに増えたとしても、Robloxにとっては表面的な成果でしかありません。他のコラボレーションでは収益の著しい増加は見られませんでしたが、Robloxが取り組んでいる多種多様なパートナーシップは、そのプラットフォームとしての多彩な能力を示しています。

また一方で、何かに特化しているからといって必ずしも不利とは限りません。むしろ、モバイルゲームとIPパートナーの間に強力な相乗効果が生まれれば、収益を大きく押し上げることもあります。例えば、モバイルゲーム『勝利の女神:NIKKE』は最近、PC/コンソールゲームのIP『NieR:Automata』とゲーム内イベントで提携し、大きな収益を上げました。

『勝利の女神:NIKKE』は、魅力的なキャラクターたちが登場するSFモバイルRPGで、『NieR:Automata』とぴったり重なります。この重なりがあるからこそ、『NieR:Automata』のファンが『勝利の女神:NIKKE』を楽しみ、『NieR:Automata』のお気に入りのキャラクターを手に入れるためにお金を使う可能性が非常に高まりました。その結果として収益が急増したことは、これら2つのゲームのオーディエンスがいかに重なり合っているかを示しています。

話を戻すと、BLACKPINKはアプリ内イベントだけで成功しているわけではありません。独自のモバイルゲームをリリースしており、縮小傾向が明らかな著名人IPのモバイルゲームカテゴリーの中で最も成功しているゲームの1つです。アメリカで最もダウンロード数の多い著名人IPは、(一連のモバイル版パーティーゲームをリリースした)Ellen DeGeneresや、『Ryan's World』のような子ども向けのYouTubeチャンネルなどです。

IPに改めて注目が集まっているために、ここ1年、情報に基づいて戦略的な賭けに出ようとする企業には大きな成果が表れています。プライバシーをめぐる懸念からプレイヤーを効果的にターゲティングすることが一段と難しくなる中、IPは注目を集めるための手段として実証されており、その対象はIPを重視したゲームだけにとどまりません。今後の展開が楽しみです。

詳細情報は弊社ウェブサイトに記載しています:

https://sensortower.com/ja/blog/landscape-shifts-in-ip-gaming-2024-report-JP


Sensor Towerの紹介

2013年にサンフランシスコで設立されたSensor Towerは、モバイルアプリ/ゲームのデータや分析環境を提供する企業です。X(旧:Twitter)、Unity、Tencent、HBOなどのグローバルデジタル企業からも信頼されており、モバイル市場のトレンド把握に役立つストアインテリジェンス、広告戦略の最適化に活用いただける広告インテリジェンスなど、デジタル分析プラットフォームとしてモバイルのあらゆる場面で質の高いインサイトと先進のカスタマーサポートを提供しています。

Sensor Towerは、Pocket Gamer Mobile Games Awards 2022において、Best Analytics / Data Tool賞を受賞しました。

日本オフィスは2023年夏より東京・日暮里に移転、日本でのビジネスを強化しており、パートナー企業様も急増中です。弊社スタッフも増員しながらお客様のサポートもより強化していく所存です。

Sensor Tower 日本オフィス代表

谷内 照吾(Shogo Yachi)

Sensor Towerについての詳細情報は弊社ウェブサイトに掲載されております:

https://sensortower.com/ja

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会社概要

Sensor Tower

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URL
https://sensortower.com/ja
業種
情報通信
本社所在地
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電話番号
-
代表者名
Oliver Yeh
上場
未上場
資本金
5億6000万円
設立
2013年06月