床版架設の工期を85%短縮!超高速施工が可能な「スマート床版更新(SDR)システム®」を実証

関越道阿能川橋と広島道奥畑川橋の床版取替工事

鹿島

 鹿島(社長:天野裕正)は、道路橋床版取替工事に伴う交通規制を大幅に短縮できる「スマート床版更新(SDR※1)システム」を、関越自動車道阿能川橋床版取替工事と広島自動車道奥畑川橋床版取替工事に初適用しました。この結果、既設床版の撤去から新設床版の架設に至る一連の作業において、最大85%の工期短縮が可能であることを実証しました。

※1 Smart Deck Renewal


床版取替工事の施工状況(関越自動車道阿能川橋床版取替工事)床版取替工事の施工状況(関越自動車道阿能川橋床版取替工事)

  • 開発の背景・経緯

 高度経済成長期に整備された日本国内の道路橋は、車両の大型化、通行量の増加や路面凍結防止剤の散布などによって急速に劣化が進行しています。そうした中、2015年、高速道路の大規模更新・修繕事業の実施について、国土交通大臣から道路整備特別措置法に基づく許可がなされ、「高速道路リニューアルプロジェクト」として床版取替工事他の更新事業が開始されました。

 道路橋の床版取替工事にあたっては、工事に伴うソーシャルロスを低減するため、交通規制の期間や範囲を最小限にする技術に加え、近接する交通や周辺施設への安全確保が求められています。そこで当社は、「SDRシステム」の開発に着手し、2019年には全断面(2車線道路の場合2車線規制)取替、2022年には幅員方向分割(2車線道路の場合1車線規制)取替を対象とした総合実証実験を行い、実工事への適用に向けて準備を進めてきました。


  • SDRシステムの概要と特長

 SDRシステムは、床版取替にかかわる4つの工程、[1]既存床版の撤去、[2]主桁ケレン※2、[3]高さ調整※3、[4]新設床版の架設の作業を、それぞれの専門班が各エリアにおいて同時並行で行う、いわば「移動式工場」を目指した施工システムです。[1]から[4]までの作業を順々に繰り返していく標準的な工法と比べ、各専門班が同時に並行して作業できるため、工期の大幅な短縮が可能です。


※2 主桁ケレン:鋼桁の上フランジのケレン、および、防錆剤を塗布する作業

※3 高さ調整:新設床版の高さを調整するための硬質ゴムと、床版下の無収縮モルタルの漏れ止めとなるソールスポンジを設置する作業


SDRシステムによる床版取替工事の概要(関越自動車道阿能川橋床版取替工事)SDRシステムによる床版取替工事の概要(関越自動車道阿能川橋床版取替工事)

◇高速

 大型クレーンを1台用いた標準的な施工方法に対し、既設床版の撤去から新設床版の架設までの一連作業に要する時間を、全断面取替で約1/6、幅員方向分割取替で約1/10に短縮できます。


◇安全

 既設床版撤去機および新設床版架設機の内部を、床版搬出用トラックおよび運搬台車が通過できるため、床版の旋回を伴うクレーン揚重作業が不要です。これにより、最小規制範囲での施工が可能となり、一車線規制による幅員方向分割取替時においても、近接する交通や周辺施設に対する安全性を確保することができます。


◇軽量

  軽量な床版撤去機および床版架設機を用いることで、大型クレーンを用いる標準的な施工方法と比べ、施工時に機械設備の重量が鋼桁に与える影響を1/2~1/3へ大幅に低減できます。


  • 工期短縮の実証

 大型クレーンを用いる標準的な施工方法では、1日(7時間)あたり3枚の床版取替が一般的です。一方、「SDRシステム」を適用した関越自動車道阿能川橋では12枚/日、広島自動車道奥畑川橋では22枚/日の床版を架設することができ、75~85%と大幅な工期短縮が可能であることを実証しました。阿能川橋は全長628mの床版取替のうち、今回は1期工事として90mを施工しました。2024年に施工する2期工事、3期工事は施工延長がそれぞれ約270mと増えるため、1日あたりの架設枚数が増加する2期、3期工事では、更なる工期短縮が見込まれます。

関越道阿能川橋における新設床版の架設状況関越道阿能川橋における新設床版の架設状況

広島道奥畑川橋における既設床版の撤去状況広島道奥畑川橋における既設床版の撤去状況

※4 縦断勾配:橋軸方向の水平長さに対する垂直長さの比

※5 横断勾配:橋軸直角方向の水平長さに対する鉛直長さの比


  • 今後の展開

 当社は、今回の工事適用で得られた知見を踏まえ、今後も安定した工期短縮効果が得られるようSDRシステムの改良を重ねていきます。併せて、床版取替工事の更なる機械化および自動化を目指して研究開発を進め、道路橋更新工事に伴うソーシャルロスの最小化に貢献してまいります。


  • (参考)

安価で、高速施工を可能にする「スマート床版更新(SDR)システム」を開発

(2019年12月17日プレスリリース)

https://www.kajima.co.jp/news/press/201912/17c1-j.htm


1車線規制で床版取替が可能な「スマート床版更新(SDR)システム」を開発

(2022年6月7日プレスリリース)

https://www.kajima.co.jp/news/press/202206/7c1-j.htm


超高速施工が可能な「スマート床版更新(SDR)システム」を他社に広く展開

(2022年12月12日プレスリリース)

https://www.kajima.co.jp/news/press/202212/12c1-j.htm


動画でみる鹿島の土木技術 「リニューアル」

https://www.kajima.co.jp/tech/c_movies/index.html#anc_renewal

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ビジネスカテゴリ
建設・土木
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会社概要

鹿島建設株式会社

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URL
https://www.kajima.co.jp/welcome-j.html
業種
建設業
本社所在地
東京都港区元赤坂 1-3-1
電話番号
-
代表者名
天野 裕正
上場
東証プライム
資本金
814億円
設立
-