NPO法人クリーンオーシャンアンサンブル調査チーム、第2弾コラムを公開~一次、二次マイクロプラスチックの実態と企業ができる対策~

NPO法人Clean Ocean Ensemble

海洋ごみ問題解決に向けて活動するNPO法人クリーンオーシャンアンサンブル(香川県小豆郡小豆島町、代表理事:江川裕基)の調査チームは、コラムシリーズ第2弾となる

「一次、二次マイクロプラスチックとは?危険性や対策について解説!」を公開いたしました。

海洋ごみ回収装置で回収したマイクロプラスチック

本コラムでは、マイクロプラスチックを「一次」と「二次」に分類し、それぞれの発生経路や環境リスクについて、最新の調査結果をもとにわかりやすく解説しています。

また、企業にとって実行可能な対策にも触れており、製品設計、素材選定及びCSR活動などの観点から、プラスチック使用の見直しを図る際の実務的なヒントが得られます。

「私たちの生活で使われるプラスチックが、どのようにして海洋中で汚染源になるのか?」その問いに対するヒントが、このコラムには詰まっています。

ぜひご覧ください。

コラムURL:https://cleanoceanensemble.com/knowledge/column/column2/

マイクロプラスチックの種類と発生メカニズム

マイクロプラスチックとは、直径5 mm以下の微小なプラスチック片の総称で、海洋や河川など世界中の水域で検出されています。

近年、その汚染が地球規模で深刻化しており、九州大学の磯辺篤彦教授らの研究によると、現在の傾向が続いた場合、2030年には海洋上層でのマイクロプラスチックの重量濃度が約2倍に、さらに2060年には約4倍に増加すると予測されています。

(磯辺篤彦ほか、Marine Pollution Bulletin、2021年)

本コラムでは、マイクロプラスチックを「一次」と「二次」の2種類に分類し、その違いや発生経路、環境リスクについて、最新の知見に基づいてわかりやすく解説しています。

一次マイクロプラスチック

一次マイクロプラスチック:製造段階で5 mm以下の粒状に作られたプラスチック

(例:レジンペレット、化粧品に含まれるマイクロビーズ)

二次マイクロプラスチック

二次マイクロプラスチック:大きなプラスチック製品が環境中で劣化・破砕されて生じた微小片

(例:ボトルや包装材の破片)

一次、二次マイクロプラスチックの違いとリスクを解説

本コラムでは、一次及び二次マイクロプラスチックがもたらすリスクについて、国内外の最新研究を紹介しています。

中でも注目されているのが、二次マイクロプラスチックが一次よりも高い危険性を有する可能性です。二次マイクロプラスチックは、不規則な形状かつ大きな表面積を持つため、有害化学物質を吸着しやすく、それを摂取した海洋生物の体内に蓄積するリスクがあります。

さらに、食物連鎖を通じて生態系や人間にも影響が及ぶ可能性が指摘されています。

実際に、二次マイクロプラスチックの方が高い毒性を示すとする研究報告もあり、

マイクロプラスチック汚染のリスク評価においては、「どのような発生源から生じたものか」

を考慮する重要性が強調されています。


対策のポイント:一次抑制と二次抑制

一次マイクロプラスチックへの対応
一次マイクロプラスチックは、製造段階で小さな粒状に加工されるため、発生源が明確で管理しやすいという特徴があります。

そのため、製造元での管理や法的規制によって、根本的な発生抑制が可能です。

実際に、EUを中心に、化粧品などに使用されているマイクロビーズの使用を段階的に禁止する

動きが広がっており、国際的なルール整備が進められています。

二次マイクロプラスチックへの対応
一方、二次マイクロプラスチックは、使用済みのプラスチック製品が環境中で劣化・破砕されることによって発生するため、一次のように製造段階での直接的な規制が難しいという課題があります。

したがって、排出源対策としてプラスチックごみの削減や、環境中へ流出したごみを回収する

取組みが不可欠とされています。

本コラムでは、従来の「3R(リデュース・リユース・リサイクル)」に加えて、「第四のR=リカバリー(回収)」の重要性を提唱しています。

これは、すでに環境中にあるプラスチックごみを回収することが、今後の対策の鍵になるという考え方です。

クリーンオーシャンアンサンブルでは、このような課題に対応するために、海洋プラスチックごみの回収装置の開発や、地域のビーチクリーン活動を継続的に実施しています。

これらの活動は、将来の二次マイクロプラスチックの発生を未然に防ぐ取り組みであり、企業、地域及び市民が連携して行うことがますます重要になっています。


企業ができるマイクロプラスチック対策

マイクロプラスチック問題に対応することは、単なる環境配慮にとどまらず、経営戦略やサプライチェーン管理にも直結するテーマです。

以下のような取り組みを通じて、環境リスクの低減と企業価値の向上を同時に図ることができます。

製品設計・素材の見直し

意図的に添加される一次マイクロプラスチック(例:マイクロビーズ)を含む製品を扱っている場合は、代替素材の導入や配合変更を検討することで、欧州をはじめとする規制への迅速な対応が可能となります。

これは、企業イメージの向上や海外展開におけるリスク軽減にもつながると考えられます。

樹脂ペレット管理の強化
原料として使用される樹脂ペレットの流出防止に向けて、製造・輸送工程における管理体制の整備が求められます。

専用の保管設備や回収手順を導入することで、一次マイクロプラスチック汚染の未然防止への貢献が期待できます。

廃棄プラスチックの削減と適正処理
社内で排出されるプラスチックごみの削減、リサイクル、適正処理を徹底することが重要です。

特に、屋外で使用される包装材やフィルム類は、劣化によって二次マイクロプラスチック化しやすいため、使い捨てプラスチックの削減や環境配慮型素材への切り替えが有効であると考えられます。

ビーチクリーンや回収技術開発への協力

地域の海岸や河川での清掃活動に参加・支援することで、社会貢献(CSR)としての価値を発信できます。

また、当NPO法人をはじめとする専門団体と連携し、ごみ回収装置の実証実験や回収データの活用に協力することも、企業が二次マイクロプラスチック対策に実践的に関与する手段となり得ます。

石山 翔午 氏

調査チームリーダー:石山翔午氏より

「マイクロプラスチックの発生や拡散に関する科学的知見が進む中、企業にも求められる役割が明確になってきています。

本コラムが、プラスチック使用の見直しや排出管理の実践に向けた一助となれば幸いです」


今後の展望

弊団体の調査チームは、マイクロプラスチック問題をはじめとする海洋ごみ汚染に関する科学的調査及び研究を継続し、得られた知見をわかりやすく社会に発信してまいります。

企業、行政及び地域社会との協働を通じて「海洋ごみゼロ」の実現を目指し、環境保全と持続可能な経済活動の両立に寄与してまいります。

本コラムの全文は下記URLよりご覧いただけます。社内研修やCSR戦略の参考資料としてもぜひご活用ください。

一次、二次マイクロプラスチックとは?危険性や対策について解説!

コラムURL:https://cleanoceanensemble.com/knowledge/column/column2/


団体概要

団体名: 特定非営利活動法人クリーンオーシャンアンサンブル(NGO Clean Ocean Ensemble)

所在地: 〒761-4425 香川県小豆郡小豆島町坂手甲985番地

設立: 2020年12月10日

代表理事: 江川 裕基

活動内容: 海洋ごみ回収装置の開発・運用、海洋ごみデータの記録・可視化、環境教育事業 ほか

URL: https://cleanoceanensemble.com/

お問い合わせ先

NPO法人クリーンオーシャンアンサンブル 広報担当(北川・江川)

E-mail:info@cleanoceanensemble.com

TEL:070-8360-9815

団体の名前は、Clean(綺麗な)Ocean(海を)Ensemble(より多くの人と一緒に)というメッセージを込めています。

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会社概要

NPO法人Clean Ocean Ensemble

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URL
https://cleanoceanensemble.com
業種
サービス業
本社所在地
香川県小豆郡小豆島町坂手甲985番地
電話番号
070-8360-9815
代表者名
江川裕基
上場
未上場
資本金
-
設立
2020年12月