チロシンキナーゼ阻害薬BIBF1120 特発性肺線維症(IPF)を適応としてオーファンドラッグ指定 - 日本で第Ⅲ相臨床試験を開始

2011年9月12日 日本/東京
日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社(本社:東京都品川区、代表取締役社長:ジェラード・マッケナ)は、9月12日、チロシンキナーゼ阻害薬BIBF1120が特発性肺線維症(Idiopathic Pulmonary Fibrosis:IPF)を適応として、厚生労働省よりオーファンドラッグ指定を受けた(9月8日付け)旨発表しました。また、同時に、日本ベーリンガーインゲルハイムは、国内でも特発性肺線維症(IPF)の患者さんを対象に第Ⅲ相国際共同試験を開始した旨発表しました。
特発性肺線維症(IPF)は、慢性かつ進行性の経過をたどる原因不明の肺線維化疾患です。肺胞間の組織の線維化(硬化)を特徴とし、咳嗽、呼吸困難、運動制限を引き起こします1。海外において、診断時平均年齢は66歳で2 、一部の患者さんでは、予測できない特発性肺線維症(IPF)の急性増悪を生じ、死亡することがあります3。生存率は多くのがんと同様で、平均生存期間は診断後3~5年といわれています2。日本においては、近年の疫学調査(北海道study)にて、全国に約1万数千人の特発性肺線維症(IPF)患者さんが存在すると推定されており、発症時平均年齢は68.2歳4、生存期間(中央値)は初診時を起点として61ヵ月と報告されています5。

これまでのところ特発性肺線維症(IPF)の有効な治療法はほとんどなく、治療が困難であることから、国の難病対策である特定疾患治療研究事業の対象疾患に指定されています。

希少疾病用医薬品(オーファンドラッグ)の指定基準について
オーファンドラッグの指定を受けるためには,次の基準をすべて満たす必要があります。

1.対象者数が本邦において5万人未満であること
2.医療上の必要性が高いこと(代替する適切な医薬品または治療法がないこと、あるいは既存の医薬品と比較して著しく高い有効性または安全性が期待されること)
3.開発の可能性が高いこと(当該医薬品を使用する理論的根拠があり、その開発計画が妥当であること)

BIBF1120の第Ⅲ相臨床試験について
特発性肺線維症(IPF)の患者さんを対象とした第Ⅲ相国際共同試験を日本でも開始しました。BIBF1120を52週間投与した際の安全性と、肺活量の年間低下率の抑制効果などを指標として、特発性肺線維症(IPF)患者さんの肺の線維化の進行を抑制する効果を検討します。日本も国内第Ⅲ相試験として参加しています。

BIBF1120について
BIBF1120はベーリンガーインゲルハイムが開発する、血管内皮増殖因子受容体(VEGFR)、線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)、血小板由来増殖因子受容体(PDGFR)を標的としたチロシンキナーゼ阻害薬です。これらの受容体は、肺線維症に関与することが示されており6 、BIBF1120はこれらの受容体の下流に位置するシグナル経路を遮断することにより、BIBF1120は特発性肺線維症(IPF)の発症プロセスの1つを阻害するものと考えられています。

なお、BIBF1120は現在のところ、何れの国においても承認されていません。

ベーリンガーインゲルハイムについて
ベーリンガーインゲルハイムグループは、世界でトップ20の製薬企業のひとつです。ドイツのインゲルハイムを本拠とし、世界で145の関連会社と42,000人以上の社員が、事業を展開しています。1885年の設立以来、株式公開をしない企業形態の特色を生かしながら、臨床的価値の高いヒト用医薬品および動物薬の研究開発、製造、販売に注力してきました。

2010年度は126億ユーロ(約1兆4,658億円)の売上を示しました。革新的な医薬品を世に送り出すべく、医療用医薬品事業の売上の約24%相当額を研究開発に投資しました。

日本ではベーリンガーインゲルハイム ジャパン株式会社が持ち株会社として、その傘下にある完全子会社の日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社(医療用医薬品)、エスエス製薬株式会社(一般用医薬品)、ベーリンガーインゲルハイム ベトメディカ ジャパン株式会社(動物用医薬品)、ベーリンガーインゲルハイム製薬株式会社(医薬品製造)の4つの事業会社を統括しています。日本のグループ全体で約3,000人の社員が、革新的な医薬品の研究、開発、製造、販売に従事しています。
日本ベーリンガーインゲルハイムは、呼吸器、循環器、中枢神経などの疾患領域で革新的な医療用医薬品を提供しています。また、グローバルな研究・開発の一翼を担う医薬研究所を神戸に擁しています。
詳細は下記をご参照ください。
http://www.boehringer-ingelheim.co.jp

References:
1. Selman M et al. Ann Intern Med 2001; 134:136-151/ De Vries J et al. Eur Respir J 2001; 17:954-961
2. ATS & ERS. Am J Respir Crit Care Med 2000; 161:646-664.
3. Tiitto L et al. Thorax 2006; 61:1091-1095
4. 千葉弘文 林伸好 高橋弘毅:北海道における臨床調査個人票に基づく特発性間質性肺炎の疫学調査、厚生労働科学研究難治性疾患克服研究事業びまん性肺疾患に関する研究班平成20年度報告書, 2009; 39-46
5. 千葉弘文 夏井坂元基 白鳥正典 高橋弘毅:北海道における臨床調査個人票に基づく特発性間質性肺炎の疫学調査(北海道study)、厚生労働科学研究難治性疾患克服研究事業びまん性肺疾患に関する研究班平成21年度報告書, 2010; 59-67
6. Allen JT, Spiteri MA. Respir Res 2002; 3:13


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会社概要

URL
http://www.boehringer-ingelheim.co.jp
業種
製造業
本社所在地
東京都品川区大崎2-1-1 ThinkParkTower(17階)
電話番号
03-6417-2200
代表者名
ヤンシュテファン・ シェルド
上場
未上場
資本金
-
設立
1961年06月