第9回「MONEX グローバル投資家サーベイ」実施
~個人投資家の関心は、日本の金融政策から米国の金融政策~
2013年6月に実施した第9回「MONEX グローバル投資家サーベイ」(注1)において、日本・米国・香港の個人投資家による今後3ヶ月程度の世界の株式相場に対する見通しDI(注2)はすべて低下しました。とりわけ2012年12月、2013年3月実施の調査時に2回連続で強気が際立っていた日本の個人投資家のDIが一転、低下に転じました。米国および香港の個人投資家のDIは、日本の個人投資家よりも低下幅は小幅にとどましました。
また、日本の個人投資家は、「米国の金融政策」および「米国の金利動向」についてさらに注目度が高まっており、「日本の金融政策」への注目度は以前より低くなっていることがわかりました。
【主な調査結果】
(1)世界の株式市場に対する見通しDIは日本・米国・香港がすべて低下
[調査対象:日本、米国、香港の個人投資家、グラフ1]
各国の個人投資家の今後3ヶ月程度の世界の株式市場に対する見通しについては、弱気であることがうかがえました。直近2回のグローバル投資家サーベイから連続で強気が際立っていた日本の個人投資家の見通しDIが一転して低下しました。米国及び香港の個人投資家の見通しDIは、日本の個人投資家よりも低下幅は小幅にとどまりました。(日本:70→27 米国:26→15 中国:-5→-11)
(2)日本の個人投資家の日本株・米国株・中国株に対しての見通しDIは、大幅に低下
[調査対象:日本の個人投資家、グラフ3]
【日本株DI】 (5月) 67→ (6月) 38 (前月比 -29 ポイント)
【米国株DI】 (5月) 65→ (6月) 44 (前月比 -21 ポイント)
【日本株DI】 (5月) -27→ (6月) -40 (前月比 -13ポイント)
日本の個人投資家は、日本株・米国株・中国株すべての見通しが弱気であることがわかりました。前回の個人投資家サーベイ調査時(2013年5月17日~5月20日)から日経平均株価が大幅に下落したこと、FRBの量的緩和縮小観測や米ダウ平均が一進一退の値動きだったことなどが影響し、日本株DIおよび米国株DIは大幅に低下しました。加えてHSBCが発表した5月中国製造業PMIが50を下回る49.2に低下し、中国経済の景気減速懸念をさらに強める内容だったことが影響したのか、中国株DIも低下に転じ2011年6月の調査開始以来、3番目の最低水準となりました。
(3)今後3ヶ月程度の米ドル/円相場の見通しにおいて円安を見込む向きは約5割に減少
[調査対象:日本の個人投資家、グラフ6]
今後3ヶ月程度の米ドル/円相場の見通しは、継続して円高傾向であることを反映し、円安を見込む層は前回の個人投資家サーベイの結果から約20ポイント減となりました。(74→53)
(4)日本の個人投資家の注目は継続して「米国の金融政策」と「米国の金利動向」に
[調査対象:日本の個人投資家、グラフ11-1、グラフ11-2]
個人投資家が注目するトピックは、FRBの出口戦略をめぐる議論が活発化していることや米国債の10年金利が上昇傾向にあることから、「米国の金融政策」(50.1→55.2)および「米国の金利動向」(41.7→45.4)に注目が集まっていることがわかりました。反対に「日本の金融政策」への注目度は前回調査から3.4ポイント低下しました。(75.9→72.5)
(5)2013年の米国経済の展望については、日米の個人投資家では見解が分かれる
[調査対象:日本、米国の個人投資家、グラフ12]
2013年の米国経済の展望についてたずねたところ、約7割の日本の個人投資家が2013年内に改善するだろうと回答したのに対して、米国の投資家は約5割にとどまり、見解が分かれました。
(注1)日本、米国及び香港における調査の実施概要は次のとおりです。
【日本】調査期間:2013年6月7日~10日
回 答 数 :1,457件
【米国】調査期間:2013年6月3日~9日
回 答 数 :122件
【香港】調査期間:2013年6月3日~9日
回 答 数 :687件
(注2)DI(diffusion index):「上昇すると思う」と回答した割合(%)から「下落すると思う」と回答した割合(%)を引いたポイント
■調査結果
1.株式市場を取り巻く環境について
米国及び香港投資家の業種別魅力度ランキング(四半期毎)
(カッコ内は前回順位)
2.為替市場について
3.商品市況について
4.お客様の日本株取引について(グラフ10)
5.注目するトピック(グラフ11-1、グラフ11-2)
6.米国経済の展望について(グラフ12)
■総 括 (マネックス証券 チーフ・ストラテジスト 広木 隆)
四半期毎に行う「MONEXグローバル投資家サーベイ」、第9回目の結果をお届けします。
この原稿を書いている今日は6月18日。今日明日2日間の日程でFOMCが開催される。世界の金融市場が米国の量的緩和縮小のタイミングを巡る思惑で混乱している時期の開催とあって、いつにも増して注目が集まっている。
「5.注目するトピックス(グラフ11-2)」の前月からの変化を見ると、もっともマイナスが大きかったのが日本のマクロ経済、二番目にマイナスが大きかったのが日本の金融政策だ。一方、もっともプラスが大きかったのが米国の金融政策であり、二番目に大きかったのが米国の金利動向である。これは端的に言って、投資家の関心がアベノミクスと日銀の政策からFRB のスタンスとそれを反映する米国金利に移ったということであろう。日本の個人投資家は何が相場のポイントなのかを着実に見抜いている。
このグローバル・サーベイでは「ホームマーケット・バイアス(自国市場偏重)」について度々触れてきた。今回の調査でも、「1.株式市場を取り巻く環境について-どの地域の株価に今後3 ヶ月で最も期待できるか-(グラフ4-1)」という質問に対して、それぞれの地域の投資家は自分の地域の株価に最も高い期待を寄せている。すなわち、日本の投資家は日本の、米国の投資家は米国の、そして香港の投資家はアジアの株式市場が最も有望と答えている。
それでも日本と香港の投資家は多少変化がある。日本の投資家は前回調査の3 月対比、日本株の比率が10%以上低下した。香港の投資家も同様に日本株の比率が約8%下がった。ホーム・バイアスは残るものの、地域アロケーションは変わっている。一方、米国投資家の評価はあまり変化が見られない。3 月の調査でその前回12 月対比でほぼ倍になったがそれでも約1 割強にとどまり、アジア地域の半分程度だ。これは過小評価ではないかと思う。(「1.株式市場を取り巻く環境について-どの地域の株価に今後3 ヶ月で最も期待できるか(2011 年6 月からの各国の推移)-(グラフ4-2・4-3・4-4)」)
「2.為替市場-今後3 ヶ月でどの通貨が最も上昇するか-(グラフ7)」を尋ねたところ、人民元と回答した香港の投資家の比率が47%と半数近くに上昇した。前回3 月調査では27%だったから大幅増加である。人民元は緩やかに元高基調が継続しているが基本的にはドルにペッグしており、「3 ヶ月間で最も上昇を期待する通貨」として期待されるのは違和感が否めない。
今回も皆様方のご協力で、大変貴重なデータを作成・分析することができました。本当にありがとうございました。今回のサーベイが個人投資家の皆様方の投資判断の一助となれば幸いです。
■調査の概要と回答者の属性
(日本)
調査方式:インターネット調査
調査対象:マネックス証券に口座を保有している個人投資家
回答数:1,457件
調査期間:2013年6月7日~6月10日
【性別】
男性:83.3%、女性:16.7%
【年齢】
未成年:0.1%、20代:4.5%、30代:19.0%、40代:30.4%、50代:22.1%、60代:17.0%、70歳超:6.9%
【金融資産】
500万未満:27.7%、500万~1000万:22.4%、1000万~2000万:19.1%、2000万~5000万:20.1%、5000万~1億:8.5%、1億以上:2.3%
【売買頻度】
デイトレ:6.0%、週に数回:18.8%、月に数回:32.7%、数ヶ月に1回:23.3%、それより少ない:19.1%
【株式投資のご経験】
1年未満:9.2%、、1年~5年:19.5%、5年~10年:27.0%、10年以上:44.3%
(米国)
調査方式:インターネット調査
調査対象:トレードステーション証券でお取引をする個人投資家
回答数:122件
調査期間:2013年6月3日~6月9日
(香港)
調査方式:インターネット調査
調査対象:マネックスBOOM証券でお取引をする個人投資家
回答数:687件
調査期間:2013年6月3日~6月9日
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・本サーベイは、グループ各社において実施したアンケートの集計結果をまとめたものでありグループ会社間において個人情報の授受は行っておりません。
・上記総括は、アンケート集計結果に関する個人の見解です。
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