小型ドローン「IBIS(アイビス)」の点検サービスを導入トクヤマでセメント製造設備内をドローンが点検。足場不要で費用削減、作業員の安全も確保

〜撮影映像から三次元モデルの生成等も可能。ドローンで高精度かつ安全な“点検DX”を実現 〜

株式会社Liberaware

屋内空間専用の産業用小型ドローン「IBIS(アイビス)」を開発する株式会社Liberaware(本社:千葉県千葉市、代表取締役 閔 弘圭、以下「当社」)は、総合化学メーカーの株式会社トクヤマ(本社:山口県周南市、代表取締役 社長執行役員 横田 浩、以下「トクヤマ」)に「IBIS」による点検サービスを導入した結果、従来の点検方法と比較し、設備点検の費用削減と工期の短縮を実現しました。

写真左:セメント製造設備と、トクヤマ セメント製造部 設備保全課 松田氏 写真右:点検の様子(奥の内筒をドローンが飛行中。ドローンから送られる映像を見ながら操縦する)写真左:セメント製造設備と、トクヤマ セメント製造部 設備保全課 松田氏 写真右:点検の様子(奥の内筒をドローンが飛行中。ドローンから送られる映像を見ながら操縦する)


【導入背景】
トクヤマでは数年前から新しい技術を導入することで安全性と効率性を追求し、労働人口の減少といった環境変化にも対応しながら安定生産を目的に、設備管理業務のスマート化を進めています。その取り組みの一環で屋外にある設備の外面の点検については、設備保全課の課員が自らドローンを操縦して点検を行っていましたが、同時に設備内部の点検もドローンを活用したいと考えていました。しかし設備内部は狭く、粉塵が舞っている箇所もあるため一般的なドローンが飛行するには機体の大きさや性能上の問題があり、墜落する危険性が高く実施できていませんでした。そんな中、狭小空間や粉塵が舞っている中でも飛行できる「IBIS」の性能が評価され、徳山製造所のセメント製造での設備点検に「IBIS」による点検サービスが導入されました。

トクヤマのセメント製造で使用する装置「ロータリーキルン(回転窯)」は3系列で24時間連続稼働しており、設備点検は定期的に行っています。セメント製造ではまず、原料となる石灰石を粉砕し、粉砕した原料を約1450℃に熱したロータリーキルンの中で焼成しクリンカーと呼ばれるものに加工します。このクリンカーを再び粉砕し、石膏を加えることでセメントが出来上がります。
またロータリーキルンはクリンカーを投入する前にニューサスペンションプレヒーター(予熱装置)で予熱されます。この装置は複数のサイクロン(固気分離装置)で構成され、ロータリーキルンで発生した高温ガスにセメント原料を投入し加熱します。サイクロン内部では、ガスとセメント原料が混ざった気体が移動するため、内部にある内筒と呼ばれる筒が徐々に摩耗していきます。
またサイクロンの内部はすり鉢状になっているため、一般的な足場は設置できず、工期と費用が多く掛かる特殊な足場を設置する必要があり、課題になっていました。さらに、サイクロン内部はとても狭いうえに、粉塵が舞っている空間のため、人が点検作業をするには厳しく危険性が高い環境でした。
このような中で、足場の設置が不要でコスト削減につながることや、人では危険な環境下でも点検を問題なく行える点が評価され、「IBIS」による点検サービスの導入に至りました。

【成果】
実際の現場で2回のテスト飛行を実施し、「IBIS」が狭小空間や粉塵が舞っている環境下でも問題なく飛行できることを確認後「IBIS」による点検サービスの導入が決定されました。2022年度からサイクロン内部の点検を中心に、当社が「IBIS」を操縦し点検を行っています。

■足場の設置が不要となり、費用削減・工期縮小を実現
人が設備内部に入る従来の点検方法では、サイクロンの内部に特殊な足場の設置が必須でした。サイクロンは1基のニューサスペンションプレヒーターに約10基近くあり、それがさらに3系列あるため、足場の設置には多額の費用と時間がかかっていました。
しかし「IBIS」を使った点検ではこの足場の設置が不要のため、大幅な費用削減と工期の短縮を実現しました。

■動画や三次元・オルソ画像等の高精度な点検データを取得
点検後は「IBIS」が撮影した動画データを提供する他、画像処理を行い、三次元モデル※1・オルソ画像※2・
点群化データへの加工も行っています。これにより、これまでの目視点検ではできなかった精度でデータを可視化し、設備の状況を正確に従業員全員で把握することが可能になりました。

 

※1:IBISで撮影した映像から生成したサイクロン内部にある内筒の三次元モデル※1:IBISで撮影した映像から生成したサイクロン内部にある内筒の三次元モデル

 

※2:サイクロン内部のオルソ画像 (画像上で位置・面積・距離などを正確に計測できるよう、オルソ補正を行っている画像)※2:サイクロン内部のオルソ画像 (画像上で位置・面積・距離などを正確に計測できるよう、オルソ補正を行っている画像)


■TBM(時間基準保全)からCBM(状態基準保全)に移行できる環境を整備
トクヤマではこれまで、目視点検の知見、過去の経験値に重きを置いてサイクロンの保全周期を決めるTBM(時間基準保全)で保全を行っています。「IBIS」の点検で、高精度の点検データの取得・蓄積が可能となったため、設備の劣化や正確な部品の寿命など、設備の状態を正確に把握することができる環境が整いました。
今後は点検データを蓄積しながら、設備の管理をTBMからCBM(状態基準保全)に移行し、より計画的な保全が可能となります。

【株式会社トクヤマ セメント製造部 設備保全課 松田弦也(まつだ げんや)氏のコメント】
足場を設置する職人が年々減ってきていることもあり、未来永劫、設備に足場を架設して点検を行うスタイルを続けるかが課題ではありますが、直ちにそうした点検のすべてがドローンによる作業に置き換わるわけではないと考えています。しかしセメント工場内には高所、狭小空間、粉塵環境といった点検作業が困難な場所が多数あり、今後もドローンを使った点検に置き換えていくことは、意義があると考えています。


【産業用小型ドローン「IBIS(アイビス)」とは】

当社が開発した国産のドローンです。機体は直径20cm、重量185gと小型であるため、一般的なドローンでは困難な屋内・狭小空間でも飛行できることが特徴です。
◇サイズ :191×179×54mm (プロペラガード込み)
◇重 量 :185g(バッテリ込み)
◇装備類 :超高感度カメラ、LED照明、防塵用モーター、独自設計のプロペラ 他



 

(「IBIS」本体と飛行する様子)(「IBIS」本体と飛行する様子)

 

▼会社概要
■「株式会社Liberaware」とは
株式会社Liberawareは、「誰もが安全な社会を作る」をミッションに掲げ、世界でも珍しい「狭くて、暗く て、汚い」かつ「屋内空間」の点検・計測に特化した世界最小級のドローン開発と、当該ドローンで収集した 画像データを解析し顧客に提供するインフラ点検・維持管理ソリューションを行っております。弊社は、ビジ ョンでもある「見えないリスクを可視化する」ことに邁進し続け、人々に安全で平和な社会をお届けします。

会社名:株式会社Liberaware(リベラウェア)
代表者:閔弘圭(ミン・ホンキュ)
所在地:千葉県千葉市中央区中央3-3-1
設立:2016年8月22日
事業内容
♢産業用ロボット・ドローンの研究・開発・製造
♢IoT技術・人工知能を活用したシステム開発
♢映像加工・編集サービス(距離計測、異常検知等)
URL:https://liberaware.co.jp/

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会社概要

株式会社Liberaware

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URL
http://liberaware.co.jp
業種
製造業
本社所在地
千葉県千葉市中央区中央3-3-1 フジモト第一生命ビル6階
電話番号
043-497-5740
代表者名
閔弘圭
上場
未上場
資本金
15億1000万円
設立
2016年08月