CBREが全国13都市のオフィスビル市場動向(2018年第2四半期)を発表全ての都市、グレードで賃料が上昇東京グレードA賃料も、当面はわずかながら上昇が続く見通し
東京:オールグレード空室率は最低値を更新 大阪:空室率は低位横ばい、賃料上昇が継続 名古屋:オールグレード空室率は初の2%割れ
東京グレードA空室率は対前期比-0.9ポイントの1.4%
大阪グレードA空室率は対前期比横ばいの0.2%、調査開始以来の最低値継続
名古屋グレードA空室率は対前期比-0.8ポイントの0.9%と、調査開始以来初の1%割れ
【今後1年間(2018年Q2-2019年Q2)の賃料予測】
東京グレードA賃料予想を上方修正:今後1年間では0.3%の上昇を予想
大阪グレードA賃料は上昇が継続、今後1年間では3.1%の上昇を予想
名古屋グレードA賃料の上昇は緩やかとなり、今後1年間では1.0%の上昇を予想
■東京23区
今期(Q2)の東京オールグレード空室率は新築ビルや築浅ビルでまとまった空室が消化された結果、対前期比-0.3ポイントの1.1%と、調査開始以来の最低値を更新しました。主にIT関連企業による集約や拡張ニーズが需要のけん引役です。
今期竣工したグレードAビル2棟は立地改善やグレードアップ移転により、ともに満室稼動でスタート。グレードA空室率は対前期比0.9ポイント低下して1.4%となりました。既存ビルではまとまったスペースが確保できないため、企業は移転先として今後竣工するビルに向かわざるを得ない状況です。2018年竣工予定ビルの内定率は90%近いと推定されていることから、2019年ならびに2020年に竣工予定のビルも物色されています。
今期、グレードA賃料は対前期比0.1%上昇しました。向こう1年間で竣工する予定のグレードAビルのテナント内定率は、当初の見込みを上回って推移しています。そのため我々の予想についても見直しを行い、予想賃料をやや上方に修正しました。その結果、グレードA賃料については向こう1年間で0.3%上昇し、その後の1年間では約4%下落すると予想しています。
ビル営業本部長の上遠野孝は、「企業の移転需要は旺盛。既存ビルの空室が少ない中、企業は移転先として未竣工ビルも積極的に検討している。ただし、早期に成約に至るケースは、プライムビルの中でも賃料に割安感のある物件が多い」とコメントしています。
■大阪
今期(Q2)の大阪オールグレード空室率は対前期比横ばいの1.9%となりました。新規開設や拡張ニーズは引き続き多いものの、まとまったスペースが不足しているため移転事例がほとんどみられないことが主因です。前期にオールグレードの空室率は2%を割り込み、受け皿不足が深刻な状況が続いています。
グレードA空室率も対前期比横ばいの0.2%となりました。グレードA賃料は対前期比1.8%上昇し、2008年Q2以来10年ぶりに23,000円台にのせました。2005年の調査開始以来の最高値(2008年Q1、23,450円)の更新も視野に入ってきています。今後、賃料はさらに上昇するとみられ、向こう1年間では3.1%の上昇をCBREでは予想しています。
CBRE関西支社ディレクターの宮崎順一は、「テナントにとっては、必要とするスペース確保が困難で、かつ賃料上昇が続くという厳しい状況がまだまだ続きそうだ」とコメントしています。
■名古屋
今期(Q2)の名古屋オールグレード空室率は対前期比-0.6ポイントの1.4%と、1993年Q4の調査開始以来初の2%割れとなりました。拡張移転や郊外からの立地改善移転に加えて、館内増床の事例が激増しました。空室がいよいよ少なくなり、幅広い業種でスペース確保を急ぐ企業が目立ちます。この結果、グレードA空室率も、2005年Q1調査開始以来初の1%割れとなりました。
「名駅」エリアでは、リニア新駅開発のためのビル取り壊しで、立ち退き移転が本格化する見込みです。周辺の既存ビルの空室は少ないため、今後竣工予定のビルも物色されると推察されます。グレードA賃料は対前期比0.6%上昇しました。募集賃料が3万円前後のビルが増えていますが、高額の賃料を負担できるテナントは限定的です。そのため、ここからの賃料上昇率は緩やかになると予想されます。グレードA賃料については今後1年間で1.0%上昇するとCBREでは予想しています。
CBRE名古屋支店シニアディレクターの大上英男は、「今年竣工するビル2棟は既にテナントが決定している。ひとつの貸室をめぐって複数の商談が行われることも珍しくなくなってきた」とコメントしています。
【地方都市の注目動向】
札幌 4年ぶりのまとまった新規供給も、貸主優位は継続
神戸 空室率の低下ペースが速い、対前年同期比-2.9ポイント
福岡 著しい賃料上昇、対前年同期比+11.3%、全国でも突出
地方都市では拡張や新規開設、立地・ビルグレードの改善など、積極的なニーズが依然として根強い状況です。しかし、空室率が3%未満の都市が10都市中5都市あるなど、受け皿不足が目立ちます。一方、想定成約賃料は全ての都市で上昇しました。地方都市では今後の新規供給が少なく、今後も受け皿不足の解消の目処が立ちにくい状況となっています。
「札幌」では4年ぶりに大型ビルの新規供給がみられました。同ビルが空室を残して竣工したため空室率は上昇したものの、1.1%と低く、貸主優位の状況に変わりはありません。「仙台」ではIT企業の新規開設や建替えに関わる移転により空室率はさらに低下、過去最低値を更新しました。「金沢」の空室率は対前期比で1.0ポイント上昇しましたが、立地改善ニーズが強い金沢駅周辺は依然としてスペース不足が続いています。「京都」の空室率は5期連続して1%割れ。著しい需給逼迫が解消される目処は全く立っていません。「神戸」では市役所の建替えにともなう移転需要により、空室率は過去最低値を更新。「広島」では2019年の新規供給を控えてビルの選別が進んでおり、空室率はわずかに上昇しました。「高松」の空室率は対前期比0.7ポイント上昇しましたが、中心部への移転ニーズは増加傾向にあるため、来期以降は再び低下する見通しです。「福岡」では2年ぶりに新規供給がみられましたが、需給の緩和にはつながりませんでした。新築ビルはほぼ満室で竣工し、二次空室の発生も限定的です。
想定成約賃料は今期も全ての都市で上昇しました。空室率が1%未満と著しく需給の逼迫する「京都」、「さいたま」、「福岡」では、調査対象のビルのほとんどで賃料が上昇しており、調査対象の都市のなかでトップ3の上昇率を記録しました。この他の都市でも、ビルの稼働率向上を背景に、賃料が上昇するビルが増えています。
各都市のマーケットデータおよび市況の解説詳細は、7月30日発刊の「ジャパンオフィスマーケットビュー Q2 2018」または弊社ホームページ上でもご覧いただけます。
https://www.cbre.co.jp/ja-jp/research-reports/japan-research-archives
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CBRE日本法人は、不動産賃貸・売買仲介サービスにとどまらず、各種アドバイザリー機能やファシリティマネジメント(FM)などの18の幅広いサービスラインを全国規模で展開する法人向け不動産のトータル・ソリューション・プロバイダーです。CBREの前身となった生駒商事が1970年に設立されて以来、半世紀近くにわたり、日本における不動産の専門家として、全国10拠点で地域に根ざしたサービスを展開してきました。企業にとって必要不可欠な「ビジネスインフラ」として認められる不動産アドバイザリー&サービス企業を目指して、国内1,000名を超えるプロフェッショナルが、最適かつ的確な不動産ソリューションを中立的な立場で提供いたします。詳細につきましては日本国内ホームページwww.cbre.co.jpをご覧ください。公式Twitterアカウント:@cbrejapan
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