「人事トレンドワード2023-2024」を発表 「賃上げ」、「リスキリング」、「人材獲得競争の再激化」の3ワードを選定

株式会社パーソル総合研究所

株式会社パーソル総合研究所(本社:東京都港区、代表取締役社長:萱野博行)は、2023-2024の人事領域において注目されるトレンドワードとして、「賃上げ」、「リスキリング」、「人材獲得競争の再激化」の3つを選定いたしました。

2023年は、コロナ禍の収束によりインバウンドや国内消費も回復の兆しを見せ始め、企業は人材の確保を加速させています。一方で、急激な円安や物価の高騰、海外情勢の緊迫化などにより外部環境は大きく変化しています。

昨年に続き2回目となる今回の人事トレンドワードは、このような社会背景や雇用状況、労働市場の変化を鑑み、人事担当者へのアンケートやインターネット調査などのデータを基に、今、人事において注力すべき3つのテーマを選びました。


■ソーシャルメディア、Webメディアにおけるトレンドワードに関する言及数も2022年比で急増

2023年10月までの言及数は2022年同期比で、「賃上げ」(180%)「リスキリング」(1049%)「人材獲得競争の再激化」(168%)。ソーシャルメディア上でも関心の高まりがうかがえる。

※分析ツール:QUID Monitor(旧NetBase)

※対象メディア:X(旧Twitter)、Tumblr、ブログ、コメント、フォーラム、ミニブログ、ニュースメディア、消費者レビュー、プロフェッショナルレビュー、その他SNS、YouTubeなど

※「賃上げ」、「リスキリング」、「人材獲得競争の再激化(労働力不足、人手不足、人材不足、採用難、人材獲得難)」などのキーワードを含む言及数を収集(リポストなども含む)



■人事トレンドワードとは

近年、人事トレンドは目まぐるしく移り変わっています。「人事トレンドワード」は、人事領域において注目されるワードを選考、発表し、その時々の人事のトレンドやブームを客観的な形として残すことで、人事部門にとって本質的に議論・注力すべきテーマは何かを明確にし、流行(トレンドやブーム)を戦略的に活用しながら、各企業において本質的に進めるべき施策の指針となることを目的としております。

昨年に続き2回目となる今回の人事トレンドワードは、2022年から大きく変化する外部環境を踏まえ、「賃上げ」、「リスキリング」、「人材獲得競争の再激化」の3ワードを選びました。2023-2024における人事の展望と課題について詳しく探求します。



                 

1. 賃上げ

2023年は、政府による賃上げの必要性、インフレ率を超える賃上げに向けた後押しによって、賃上げムードが高まり、大手企業における賃上げ率は2022年の実績を1.72ポイント上回る3.99%※1でこれまでのピークであった1993年の3.86%を上回りました。賃上げ幅は、5800円上昇し、1万3362円となり、およそ30年ぶりの高水準となりました。

とはいえ、実質賃金は、前年比マイナスが続き物価上昇には賃上げが追い付いていない状況です。またグローバルな人材獲得競争における待遇面での競争力強化の面でもまだまだ物足りない賃上げ率となっています。

日本では、良質なサービスを提供するために労働者が長時間労働を行い、やり繰りする経営を行ってきましたが、そのシステムにも限界がきています。長時間労働の解消には、職場の管理職の意識改革、非効率な業務プロセスの見直し、取引慣行の改善が欠かせません。長時間労働をなくしていきながら、賃金を上げていく、この両輪が我が国の経済成長に不可欠だと考えます。

※1 日本経済団体連合会「従業員500人以上の大手企業136社を対象とした2023年春季労使交渉・大企業業種別妥結結果(最終集計)」(2023年8月)



2. リスキリング

政府は、2022年に個人のリスキリング支援に5年間で1兆円を投じる方針を発表しました。それを受けて、2023年は厚生労働省が資格学習の費用を助成する「教育訓練給付」の補助率を引き上げ、デジタル人材の増加を促進。また経済産業省は、リスキリングを経て再就職できた場合に、講座の受講費用などの支援を受けられる制度を導入するなど、2023年は「リスキリング元年」といってもよい様相でした。

 生産年齢人口が今後も減り続け、深刻な人材不足の解消が喫緊の課題である日本にとって、リスキリングは他国以上に取り組まなければならない緊急かつ重要な課題とも言えます。

 国や企業が学びの機会だけをつくっても、学ぶ側の就業者が一部にとどまっている現実において、リスキリングを学習機会の提供にとどめることなく、具体的なポストへのキャリア・パスや処遇の提示、配置転換の施策との紐づけがカギとなってきます。



3. 人材獲得競争の再激化

2023年は例年以上に人材獲得競争が激化した年でした。特に10月に施行された「インボイス制度」に対応するための業務のデジタル化やDX化を推進するニーズが高まり、求人数が増加しました。※2またインボイス制度対応にとどまらず、社内育成だけでは、質量ともに人材確保が追い付かず、外部から採用する人材獲得競争が激化しています。「人材が不足している」と回答した企業の割合は正社員で51.4%、非正社員でも4年ぶりに3割を超えました※3


労働市場において長期的に見渡すと景気連動だけによらない、生産年齢人口の減少といった構造的な問題や失われた30年の反動、そこにコロナ後の景気回復が重なる複合的な要因が生んだ人材不足現象が、2023年に一気に表出したと言えます。

現在の日本は、生産年齢人口の減少とともに、デジタル領域で欧米に遅れをとっており「人口減少」と「競争優位産業不在」の二重苦の状態にあります。売り手市場が続く見込みの中で、企業は求職者とのベストマッチングを図るためにも、人的資本経営に関する取り組み状況を誠実に伝えていくことが求められています。

※2パーソルキャリア株式会社「doda転職求人倍率」(2023年8月)

※3株式会社帝国データバンク「人で不足に対する企業の動向調査」(2023年7月)


法政大学経営大学院 山田久×パーソル総合研究所 小林祐児の特別対談を公開

今回選定された人事トレンドワードについて、法政大学経営大学院イノベーション・マネジメント研究科 教授 山田 久氏と、当社上席主任研究員の小林祐児との対談動画を限定公開します。マクロ経済の視点から「賃上げ」の重要性を主張する山田教授と「リスキリング」をはじめ労働、組織、雇用に関する多様なテーマについて調査研究をする小林が、「人事トレンドワード2023-2024」の3ワードの中から「賃上げ」について解説するほか、2023年の人事トピックスを振り返り、さらに2024年の展望を語り合います。


※報道関係者の皆様へ:下記の「特記情報」より動画をご視聴いただけます。

 

※ご視聴をご希望の方は下記より事前登録(無料)が必要になります。
URL: https://rc.persol-group.co.jp/learning/career/seminar/jinji_trend23-24.html



■人事トレンドワード選考の概要

トレンドワードの選考にあたり、上述したソーシャルリスニング調査の他、多くの人事担当者へのネットアンケートやヒアリングを行い、当社研究員にて選考しました。


<選考に参考とした主なデータ>

①   パーソル総合研究所 シンクタンク本部研究員アンケート

  1位「リスキリング」、2位「賃上げ/実質賃金の引上げ」、3位「AI(HRにおけるAI活用含む)」、「人的資本経営(人的資本の情報開示、人的資本投資含む)」


②   パーソル総合研究所主催の各種活動にご参加いただいた企業人事担当者を対象としたアンケート

  1位「人的資本経営(人的資本の情報開示含む)」、2位「リスキリング」、3位「キャリア自律(プロティアン・キャリア含む)」、4位「ジョブ型」、5位「女性活躍(女性管理職含む)」「エンゲージメント」「人材不足、採用(採用難含む)」


③   人事担当者1,000人を対象としたインターネットアンケート調査

  1位「人材不足/人材確保」、2位「人材育成/社員教育/スキルアップ(リスキリング含む)」、3位「賃上げ/昇給」4位「ダイバーシティ/多様性」、5位「中途採用/転職」


④   パーソル総合研究所のウェブサイト内検索ランキング

  1位「研修/学習/人材育成/資格/スキル」、2位「テレワーク/リモートワーク/在宅」、3位「キャリア」4位「シニア/ミドル/高齢/ミドル・シニア」、5位「幸福/はたらく人の幸せ」



機関誌「HITO」

機関誌「HITO」は、組織・人事における様々なテーマについて、調査分析や共同研究の成果の解説、識者インタビュー、事例取材、寄稿などを通して、課題の要因を探り、解決方針を提示する人と組織に関する専門情報誌です。


今回発表した「人事トレンドワード2023-2024」は、12月1日発刊の当社機関誌「HITO」vol.21にて特集しています。法政大学経営大学院 イノベーション・マネジメント研究科 教授 山田 久氏と株式会社ジンズホールディングス 人事戦略本部 堀友和氏、当社上席主任研究員の小林祐児との鼎談をはじめ、選ばれたワードについての解説ほか、人事に関わる様々な立場の方々に今注目しているHRキーワードを伺い、これからの人材育成や人事施策にかける思いを語っていただきました。


特設サイトURL:https://rc.persol-group.co.jp/thinktank/hito/hito21.html


■【株式会社パーソル総合研究所】<https://rc.persol-group.co.jp/>について

 パーソル総合研究所は、パーソルグループのシンクタンク・コンサルティングファームとして、調査・研究、組織人事コンサルティング、タレントマネジメントシステム提供、人材開発・教育支援などを行っています。経営・人事の課題解決に資するよう、データに基づいた実証的な提言・ソリューションを提供し、人と組織の成長をサポートしています。


■【PERSOL(パーソル)】<https://www.persol-group.co.jp/>について

パーソルグループは、「“はたらくWell-being”創造カンパニー」として、2030年には「人の可能性を広げることで、100万人のより良い“はたらく機会”を創出する」ことを目指しています。

人材派遣サービス「テンプスタッフ」、転職サービス「doda」、BPOや設計・開発など、人と組織にかかわる多様な事業を展開するほか、新領域における事業の探索・創造にも取り組み、アセスメントリクルーティングプラットフォーム「ミイダス」や、スキマバイトアプリ「シェアフル」などのサービスも提供しています。

はたらく人々の多様なニーズに応え、可能性を広げることで、世界中の誰もが「はたらいて、笑おう。」 を実感できる社会を創造します。

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会社概要

株式会社パーソル総合研究所

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URL
https://rc.persol-group.co.jp/
業種
情報通信
本社所在地
東京都港区南青山一丁目15番5号 パーソル南青山ビル
電話番号
-
代表者名
萱野博行
上場
未上場
資本金
1億円
設立
1989年09月