Datachain、NTTデータと共同でEthereum上のデジタル通貨とHyperledger Fabric上のデジタル資産のDVP決済の検証に成功

株式会社Datachain

株式会社Datachain(本社:東京都港区、代表取締役:久田 哲史、以下、Datachain)は、株式会社NTTデータと共同でEthereum上のデジタル通貨とHyperledger Fabric上のデジタル資産とのDVP決済(*1)に関する実証実験を実施いたしました。

本実証実験では、すでにデジタル通貨(ステーブルコイン)が流通しているEthereumと、様々なエンタープライズ向けのサービスが構築されているHyperledger Fabricを対象としたことで、より商用化に近いレベルの検証に成功しました。

Datachainでは、NTTデータと共に、引き続き商用化に向けた取り組みを推進してまいります。



■背景
近年、エンタープライズ領域におけるブロックチェーンの商用化に向けた動きが急速に加速しています。例えば、貿易で必要となる船荷証券(B/L)の電子化や、株式や不動産を電子化したデジタル証券など、様々なデジタル資産がブロックチェーン上で取引され始めています。また、カンボジアや中国で実用化が進む中央銀行デジタル通貨(CBDC)や、USD Coin(USDC)(*2)、Diemといった民間発行のステーブルコインなど、デジタル通貨を巡る動きも活発化しています。

そのような中で、デジタル資産への支払いをデジタル通貨で行うことへの需要が高まっています。言い換えると、デジタル資産とデジタル通貨を同時に移転することが求められています。複数の異なるブロックチェーン上の資産の同時移転を実現するためには、双方のブロックチェーンを相互に接続(インターオペラビリティを実現)した上で、両ブロックチェーン上の各取引を同時に実行する仕組みが必要です。

このような背景のもと、Datachainは、デジタル通貨を含め様々なプロジェクトで利用されている世界最大級のブロックチェーンEthereumと、エンタープライズ向けブロックチェーンとして世界中のサービスで採用されているHyperledger Fabricのインターオペラビリティを可能にし、デジタル資産とデジタル通貨の同時移転(DVP決済)を実現する実証実験をNTTデータと実施いたしました。


■実証実験の概要
本実証実験では、Hyperledger Fabric上のデジタル資産とEthereum上のデジタル通貨(USDCなどのERC20トークン)を用いて、DVP決済を想定した価値移転を行いました。

Hyperledger FabricとEthereumの相互接続には、Datachainが開発を主導するHyperledger Labs YUIを用いることで、IBC(*3)を用いたインターオペラビリティを実現しています。また、同じくDatachainが開発を進めているCross Frameworkを用いることで、両ブロックチェーン上の取引を同時に実行することを可能にしています。


■実証実験の成果
本実証実験により、Hyperledger Fabricで構築されたサービス上のデジタル資産と、Ethereum上のデジタル通貨との間で、DVP決済を想定した2つのアセットの同時交換が可能であることを確認しました。

これまで、Hyperledger FabricとCosmos(Tendermint)間のDVP決済の検証は完了していましたが、今回、Hyperledger Fabricの接続先として実際にUSDCなどのデジタル通貨(ステーブルコイン)がすでに流通しているEthereumを対象としたことで、より商用化に近いレベルでの検証に成功しました。

なお、本実証実験の内容を受けて、東京海上日動火災保険株式会社、株式会社STANDAGE、株式会社トレードワルツ、NTTデータが共同で行った新貿易決済の実証実験において、Datachainがインターオペラビリティに関する技術提供を行っています。

参考: 新たな貿易決済の仕組みの実現に向けた実証実験を実施(2021年12月27日)
https://www.nttdata.com/jp/ja/news/release/2021/122702/


■技術的な新規性
①IBCを用いてHyperledger FabricとEthereum間のインターオペラビリティを実現
IBCを用いて相互接続することで、Hyperledger FabricとEthereum間で、インターオペラビリティを実現できることが確認できました。

IBCを用いて双方のブロックチェーンを接続するために用いたモジュール(IBCモジュール)は、Hyperledger Lab YUIとしてOSSで公開しています。なお、本実証実験では、チェーンの検証においてmultisig(マルチシグ)方式を採用しています。検証方式については、よりトラストレスかつ効率的な方式の開発をしてまいります。

GitHub: https://github.com/hyperledger-labs/yui-docs


②Cross Frameworkによる複数ブロックチェーン上の取引の同時実行
双方のブロックチェーンの相互運用を可能にした上で、Cross Frameworkを用いることで双方のブロックチェーン上のトランザクションを同時に実行することに成功しました。

Cross Frameworkは、クロスチェーントランザクション(複数のブロックチェーンを跨いだ取引)を可能にするフレームワークです。Datachainが開発を行っており、こちらもOSSとして公開しています。なお、Cross Frameworkを用いたDVP決済のユースケースについては、特許を取得済みです(特許6982345)。

GitHub: https://github.com/datachainlab/cross
特許情報: https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1800/PU/JP-6982345/3830E874C2DCA6CAF9568C3FD630628425C54B71E54DD279B8730418D99F9EEF/15/ja


■今後について
本実証実験を受けて、Datachainでは、NTTデータと共に、事業者を交えた検証を含め、引き続き商用化に向けて取り組んでまいります。

貿易決済の事例のみならず、ブロックチェーンを用いたDVP決済などの領域に関心をお持ちの事業者様は、以下のフォームよりご連絡頂けると幸いです。
https://form.run/@pr-1602205556

*1 DVP決済:DVPはDelivery Versus Paymentの略称。証券等の権利の引渡し(Delivery)と代金の支払い(Payment)を同時に行うことで、元本リスクを削減する決済手法。
*2 USD Coin(USDC)などのERC20トークン:USDCは、米国ドルに1:1で連動するステーブルコインであり、近年利用が拡大している。ERC20は、Ethereumと互換性を持つ暗号通貨を作るための規格。
*3 IBC:Interchain FoundationおよびCosmosプロジェクトによって策定が進んでいる、ブロックチェーン同士の相互運用性を担保するための仕様標準。


■株式会社Datachainについて
社名  :株式会社Datachain
事業概要:ブロックチェーン技術に関連する企画・開発
設立    :2018年3月
所在地 :東京都港区六本木四丁目1番4号
代表者 :代表取締役 久田 哲史
URL     :https://ja.datachain.jp/

* 株式会社Datachainは、株式会社Speee(本社:東京都港区、代表取締役:大塚 英樹、東証JASDAQ:4499)の子会社です。
* 本資料に記載されている会社名、商品名、サービス名は、各社の商標又は登録商標です。

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会社概要

株式会社Datachain

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URL
https://datachain.jp/
業種
情報通信
本社所在地
東京都港区六本木3-2-1 六本木グランドタワー35階
電話番号
-
代表者名
久田 哲史
上場
未上場
資本金
1億2500万円
設立
2018年03月