ニッチトップメーカーのデータから見る日本のSDGs “紙袋用取っ手”素材別売上変化、土に還る「PLA繊維」が注目

脱プラの流れや原料高騰…“モノを運ぶ部品”を作って90年の中小メーカーの取り組み

松浦産業株式会社

紙袋用取っ手の国内トップメーカーの松浦産業株式会社(香川県善通寺市、代表取締役:松浦公之)は、8年間の紙袋用取っ手の素材別売上推移について調査をしました。“プラ新法”施行など、2015年に採択されたSDGs達成に向けての取り組みが進んでいますが、この3年で生分解性繊維「PLA(ポリ乳酸、polylactic acid)」の売上が約2.5倍となり、紙袋の取っ手にも環境配慮型素材を採用する企業が増加しているのが分かる結果となりました。
■取っ手から見えるSDGs の動き
松浦産業株式会社は、本日(2022年4月25日)90周年を迎えた紙袋用取っ手の国内トップシェアメーカーです。“紙袋の部品”である取っ手は、普段は特に気にも留められることもない存在ではありますが、モノを運ぶということは経済活動のベースであり、様々な社会変化に影響を受けます。

松浦産業は、安価な海外勢が台頭する取っ手業界で、取っ手で国内初エコマークやFSC認証(※)を取得するなど、環境配慮の取り組みを進めてまいりました。

今回の調査では、PLA繊維・合成繊維・プラスチックの三種の素材別の売上推移を調査いたしましたが、新型コロナによる消費行動の変化や脱プラによる動きがみてとれました。
※FSC®-C143206 FSCⓇ(Forest Stewardship Council®: 森林管理協議会)は、環境保全の点から見て適切で、社会的な利益に適い、経済的に継続可能な、適切な森林管理を広めるための国際的な認証制度です。

【① PLA繊維】
植物由来原料から作られ、生分解性を持つ合成繊維PLAを使った取っ手(松浦産業名称「バイオロープ」)


通常のプラスチック製取っ手などに比べ約3倍のコスト高ではありますが、SDGsの流れで化粧品をはじめとしたハイブランドの紙袋に環境配慮型を選ぶ企業が急増し、PLA繊維を使った取っ手がこの3年で約2.5倍と伸びています。

昨年7月にレジ袋有料化義務付け(容器包装リサイクル法の省令改正)が始まり、今年4月にはプラスチックごみの削減やリサイクル強化に向けた「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」、いわゆる“プラ新法”が施行されるなど、SDGsの達成に向けた取り組みが続いています。
また、SDGs関連のメディア報道量も増えたことなどから、サステナブルに対する人々の意識も高まっており、学校でSDGsの教育を受けた新しい価値観を持った新世代も消費の中心になってきます。そういった背景を受け、選ばれる企業であるために、紙袋の取っ手という細かな部品についても対応を進めている企業が増えてきたことが数字にも表れました。また、中国では、PLA繊維を使った取っ手が製造できないことも売上増の要因の一つでもあると考えられます。

PLA繊維の取っ手PLA繊維の取っ手



【②合成繊維】
芯が紙で、石油を原料とした合成繊維のアクリルニトリル(AN)で被覆している取っ手

コロナ前はインバウンド需要で百貨店をはじめとする小売での扱いが多かった合成繊維の取っ手ですが、新型コロナウイルスによる消費減や、EC市場の伸長など購買行動の変化が大きく影響し、2019年から半減しています。それ以外の要因として、プラ削減の姿勢を示し、コストカットが行えるということで、ファストファッション業界などが、「紙の丸紐」に変更していることもあります。お菓子メーカーなどが使用している内側に織り込んでいる「紙の平紐」は、製袋メーカーが自社で取っ手も内製化できることから一番コストが低い紙袋といえます。

合成繊維の取っ手を利用していた企業やブランドにおいては、コロナ禍で二極化の傾向が進んでいます。紙袋を含めブランディングを行っているハイブランドは、安価な「紙の丸紐・平紐」に変更はせず、コストが上昇しても生分解のPLA繊維にアップグレード、紙袋は無償のことがほとんどです。一方、コストカット意識の高いブランドは、環境配慮の流れで、安価な「紙の丸紐・平紐」にシフトし、さらに紙袋を有償とするところが増えています。
 

合成繊維の取っ手合成繊維の取っ手

 

紙の丸紐紙の丸紐

紙の平紐紙の平紐



【③プラスチック】
プラスチック製の高機能性取っ手(松浦産業名称「ハッピータッグ」)


プラスチック製で丈夫・袋の中綴じができる・重くても手が痛くなりにくいことから、会社の営業用、展示会や各種イベント、また、福袋の袋など重量物で利用されることも多い取っ手で、松浦産業では「ハッピータッグ」という名前の取っ手で国内初でエコマークを取得しています。コロナ禍で該当の利用シーンが自粛、もしくはオンライン化されたことから2020年から売上は減少しています。しかし、機能性の取っ手は重いものを入れるには丈夫で水に強いなど、機能性の高さから固定ファンが多いこと、また、袋自体が発泡ポリエチレンで作られている場合、取っ手もプラスチック製一択となることから他に代用するものがなく、現在コロナ前までの実績に戻りつつあります
また、エコマーク認証は海外では取れないため、エコマーク認証を取得している松浦産業のハッピータッグやバイオマスプラスチックのハッピータッグに切り替える企業ブランドも増えていることも売上に影響しています。

プラスチックの取っ手プラスチックの取っ手

発泡ポリエチレン袋とプラスチックの取っ手発泡ポリエチレン袋とプラスチックの取っ手


■いま注目素材の「PLA繊維」とは
トウモロコシなどの植物由来(バイオマス素材)で作られるPLA(ポリ乳酸)繊維は、燃焼時のCO2排出量が少ないカーボンニュートラルで、生分解性を有し一定の条件下に置くことで微生物により分解される環境負荷の小さいプラスチック繊維です。
プラごみ問題やカーボンニュートラルへの関心が高まる中、特に海外からのサステナブル素材の要求を受け、ここ数年衣料品分野におけるサステナビリティ・シフトが進んでいます。PLA繊維は素材特性上、繊維として衣料品に使われることはほぼなかった状況でしたが、今年4月に東京ビッグサイトで行われた「国際 サステナブル ファッション EXPO」では、改良した衣料品用のPLA繊維の出展もみられました。

松浦産業が大手製袋メーカーとともにPLA繊維の取っ手に着手したのは2004年からです。1989年にエコマークがスタートし、エコロジーというワードがブームのようになっていた日本で、愛知万博(2005年日本国際博覧会)が開催されることを受け、来たる環境配慮の時代に向け、メーカーとしてできる事として約20年前から取り組んでまいりました。今から17年前の愛知万博は、「愛・地球博」として環境配慮が掲げられたエキスポでしたが、2005年一時的にPLA繊維の素材は伸びましたが、約15年以上採用する企業はほぼありませんでした。
今後、採用する企業が多くなることで単価が下がり、さらに利用を検討する企業が増えると予想しております。


■ニッチ商材である『取っ手』を扱う松浦産業株式会社
松浦産業株式会社は、1932年にわら縄ロープ生産からスタート、1971年からプラスチック製の紙袋用取っ手生産を開始した香川のメーカーです。「私たちは、幸せを運んでいる。」という理念のもと、時代の流れに対応しながら、真摯に取っ手と向き合ってきました。
安価な中国やベトナム製が台頭する中、自社ならではの機能性や差別化をいかに進めるかを考え、取っ手で国内初エコマークを取得するなど、高品質とお客様ニーズへの対応力で紙袋用取っ手で国内トップシェアを維持してまいりました。また、1989年にはダンボールの持ち帰り用の“取っ手だけ”のタックハンドルを開発、利便性の高さから多くの飲料・ビールメーカーで採用されました。

現在は、取っ手の国内トップシェアメーカーとして、食品・アパレル・小売など様々な業界の紙袋の取っ手やタックハンドルを生産しながら、プラスチックの成型技術を生かしたプラスチック成型品、企業の販促商品、取っ手という手に触れる商材から発展した感染症対策商品などに事業をシフトしています。

しかし、2015年に採択されたSDGs達成に向けての取り取みで、プラスチックを扱う松浦産業にとっては大変厳しい流れの中、さらに「原料高騰」という状況にも直面しています。その中であっても、いかに時代に即した、世の中に求められる製品、プラスチックにしかできない製品を作るかを日々考えております。


【松浦産業の環境配慮型商品】
①PLA繊維使った取っ手「バイオロープ」
松浦産業が大手製袋メーカーととも2004年から取り組んでいるPLA繊維の取っ手が「バイオロープ」です。企業ブランドのイメージにあうようオリジナルのカラーにも対応可能です。

バイオロープバイオロープ


②箱に取り付けられる紙の取っ手「クラフトハンドル」
取っ手製造技術を応用し、商品を梱包する箱に取り付けられる紙の取っ手が「クラフトハンドル」です。松浦産業が開発し、2021年1月から環境配慮型商品として取り扱いを開始いたしました。

<クラフトハンドルの特徴>
1. 商品を包装している箱に取付けてそのまま運ぶことができる
2.差し込むだけで取っ手が付くので作業性がアップする
3. 紙箱と同素材なので捨てる際に分別せず廃棄できて土へ還すことができる
4. 全48種類のカラーであらゆる色の紙箱に対応することができる

クラフトハンドル1クラフトハンドル1

クラフトハンドル2クラフトハンドル2

クラフトハンドル3クラフトハンドル3


③生分解の「誘因テープ」
野菜などの植物のツルや茎を支柱やネットに固定し、バランスを調整、生長を助ける際に使うものを誘因テープといいますが、100%土に還る生分解品テープを今年6月に上市する予定です。

生分解誘因テープ生分解誘因テープ

【取っ手やプラスチック成型品についてのお問い合わせ先】
松浦産業株式会社 東京営業部 TEL:03-5445-1567


■会社概要
会社名:松浦産業株式会社
代表取締役社長:松浦公之
本社所在地:香川県善通寺市上吉田町270-1
創業:1932年4月25日
資本金:8,000万円
従業員数:45名(2022年4月現在)
事業内容:PP・PE延伸テープ及びロープ、紙袋用把手、タックハンドル、SP(販促商品)、成型品
ホームページ:matsuura-sangyo.co.jp

 

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URL
https://www.matsuura-sangyo.co.jp/index.html
業種
製造業
本社所在地
香川県善通寺市上吉田町270番地1
電話番号
0877-62-2555
代表者名
松浦公之
上場
未上場
資本金
8000万円
設立
1932年04月