サンアントニオ乳がんシンポジウム®において日本のリンパ節転移陰性/HR陽性/HER2陰性早期乳がん患者に対する術後補助化学療法の決定指針となるオンコタイプDX®検査の費用対効果分析を発表
本資料はエグザクトサイエンスコーポレーションが 2024 年 11月 25 日に発信したプレスリリースの一部を日本語に翻訳したものです。本資料の正式言語は 英語であり、その内容・解釈については英語を優先します。原文はこちらをご参照ください。https://www.exactsciences.com/news-events/press-releases/exact-sciences-advances-breast-cancer-care-at-sabcs-2024
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日本において、N0/HR陽性/HER2陰性早期乳がん患者の化学療法決定の指針としてオンコタイプDX®検査を用いることは、費用削減と費用対効果の高いストラテジーと考えられる。
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検討されたほとんどのサブグループで実質的な医療費削減をもたらし、さらに化学療法の有害事象や遠隔再発の回避によりQALYが向上すると考えられた。
がんスクリーニングおよび診断検査を提供する世界有数のヘルスケア企業であるExact Sciences Corp(以下、エグザクトサイエンス)は、12 月 10~13 日に開催の 2024 年サンアントニオ乳がんシンポジウム(以下、SABCS®)において、日本のリンパ節転移陰性(N0)/ホルモン受容体(HR)注1 陽性/ヒト上皮増殖因子受容体 2 (HER2)注2 陰性早期乳がん患者に対する術後補助化学療法の決定指針となるオンコタイプDX®検査の費用対効果分析を発表したことをお知らせいたします。
エグザクトサイエンスは、主要な乳がん専門家や研究グループと協力して、日常診療や臨床試験における効果的な化学療法の指針として、オンコタイプDX®検査がどのように役立つかを示すデータを共有しています。
今回発表する日本からの新たな知見は以下の通りです。
N0 集団において、オンコタイプDX®検査は臨床病理学的リスク単独と比較して費用を削減(-661,111 円)し、健康利益の増加(0.207質調整生存年(QALY))が得られ、優位なストラテジーであるとことが示唆されました。この結果は、主にオンコタイプDX®検査後に適切に術後補助化学療法を受けた患者の遠隔再発率が低下したことによるもので、費用削減とQALY向上につながりました。確率論的感度分析では、5,000 回のシミュレーションのうち 95.0%において、オンコタイプ DX®検査は臨床病理学的リスク単独に比べて優位であり、サブグループ間でも同様の結果が得られています。
オンコタイプDX®検査はすべての年齢および臨床的サブグループにおいて一貫して費用対効果が高く、4 つのサブグループのうち 3 つで優位でした。臨床的リスクが高い 50 歳以下のサブグループでは、増分費用効果比は 66,807 円/QALYでした。
SABCS 2024におけるオンコタイプDX®検査の日本における費用対効果分析の発表:
演題:日本における早期リンパ節転移陰性ホルモン受容体陽性/HER2陰性乳がん患者に対するアジュバント化学療法の治療方針決定のためのオンコタイプDX®検査の費用対効果分析
セッション:ポスター P4-11-07. 12月12日(木)午後 5:30-7:00(米国中部時間)
ポスターセッション 4、ホール 2・3
要約:日本のリンパ節転移陰性のHR陽性/HER2陰性乳がんに対する臨床的意思決定において、オンコタイプ DX 乳がん再発スコア®検査を用いることの費用対効果を検討しました。臨床病理学的因子のみを用いた場合と比較して費用削減とQOL改善を期待できることが示唆されました。
その他、SABCS 2024における主な発表
演題:病期II-III、Ki67≧20%、HR陽性/HER2陰性乳がんに対する術前レトロゾール/アベマシクリブ療法と化学療法のオンコタイプ DX 乳がん再発スコア®検査の比較分析:GEICAM/CARABELA試験からの知見
セッション:ポスター P1-09-12. 12月11日(木)午後12:30-2:00(米国中部時間);ポスターセッション 1、ホール 2・3
要約:本研究は、HR陽性/HER2陰性乳がんに対する術前化学療法とCDK4/6阻害薬+内分泌療法(アベマシクリブ+レトロゾール)を比較したスペインのCARABELA試験の一部です。本研究により短期的には、CDK4/6阻害薬+内分泌療法は化学療法よりも効果的に腫瘍細胞分裂を抑制することが示されました。この効果は、再発スコアが0-25の患者でより大きく持続的であり、術前化学療法の代替としてアロマターゼ阻害薬+CDK4/6阻害薬をベースとした術前治療が有益である患者を特定するためにオンコタイプ DX 乳がん再発スコア®検査が役立つ可能性を示唆しています。このアプローチの長期の臨床的影響を確認するためには、さらなる検討が必要です。
演題:妊娠中に診断された早期乳がん患者のゲノムリスクスコアの分布と転帰
セッション:ポスター P1-03-30. 12月11日(木)午後12:30-2:00(米国中部時間);ポスターセッション 1、ホール 2・3
要約:本研究では、妊娠中に診断された少数の患者を含む、若年(40歳未満)のHR陽性/HER2陰性乳がん患者におけるオンコタイプ DX 乳がん再発スコア®検査の結果を観察しました。その結果、妊娠中に乳がんと診断された患者の大部分が2回目以降の妊娠であり、妊娠していない患者と比較して再発スコアの中央値が高いことが示されました。生存に関するデータも含まれていますが、妊娠している患者のサンプルサイズが小さいため、確定的な結論を出すには限界があります。
演題:若年の乳がん患者における以前の妊娠状態に基づくオンコタイプ DX®検査 の分布と予後予測
セッション:ポスター P1-01-23. 12月11日(木)午後12:30 – 2:00(米国中部時間);ポスターセッション 1、ホール 2・3
要約:本研究では、出産経験ありまたは妊娠経験なしの若年(40歳未満)のHR陽性/HER2陰性乳がん患者を対象に、オンコタイプ DX®検査と遠隔無再発期間を比較しました。その結果、出産経験のある患者は妊娠経験のない患者に比べて再発スコアの中央値がわずかに高値でした。再発スコアの中央値に差はあったものの、両群の全体的な転帰は同様でした。
演題:異なる人種および民族におけるオンコタイプDX®検査と乳がん転帰との関連:レトロスペクティブ解析
セッション:ポスター P2-07-06. 12月11日(木)午後5:30-7:00(米国中部時間);ポスターセッション 2、ホール 2・3
要約:本研究は、多様なHR陽性/HER2陰性早期乳がん患者1,136名を対象に、再発スコアと転帰を解析しました。アフリカ系アメリカ人患者は、非ヒスパニック系白人患者よりも再発スコアが高値でしたが、両群の生存転帰は同様でした。これは、アフリカ系アメリカ人患者は高い再発スコアを示す他の研究を支持するものです。
演題:ET療法の反応性に応じた、ゲノム的または臨床的に高リスクHR陽性/HER2陰性早期乳がんに対する(術前)術後療法としての隔週EC療法後のnab-パクリタキセル毎週投与 vs 溶媒型パクリタキセル隔週投与:WSG ADAPT-HR+/HER2- chemotherapy試験の最終生存結果
セッション:Late breaking口頭発表 GS3-04. 12月13日(金)午前9:00-11:45(米国中部時間):一般セッション 3、ホール 1
要約:本試験では、高リスク乳がん患者を対象に、新しいタイプの化学療法であるアルブミン懸濁型パクリタキセル(nab-PAC)と従来のパクリタキセル(sb-PAC)の生存率を比較しました。本試験においてオンコタイプ DX 乳がん再発スコア®検査を使用することで、2つの高リスク患者群を特定しました。ひとつは短期ホルモン療法に反応しなかった再発スコア12-25の患者群、もうひとつは再発スコア25を超える患者群です。本試験では、再発スコア12-25の患者群、特にホルモン療法に反応しなかった患者群においてnab-PACは有意に良好な無浸潤疾患生存期間をもたらしましたが、再発スコア25を超える患者群では有意な生存率の改善はみられませんでした。これらの知見は、再発スコアの結果とホルモン療法の反応性を組み合わせることが、sb-PACよりnab-PACが有益である患者を特定するのに役立つ可能性を示唆しています。
注1. ホルモン受容体(hormone receptor;HR):エストロゲン受容体(estrogen receptor;ER)またはプロゲステロン受容体(progesterone receptor;PgR)の2つがあり、がん細胞にいずれかの発現が認められた場合にHR陽性と判定されます。HR陽性乳がんは、エストロゲンによってがん細胞の増殖が促進するため、エストロゲンの作用を抑制するホルモン療法が有効であることが明らかになっています。
注2. ヒト上皮増殖因子受容体2(human epidermal growth factor receptor;HER2):細胞増殖に関わるタンパク質で、がん細胞に過剰発現が認められた場合にHER2陽性と判定されます。HER2陽性乳がんには、抗HER2薬が有効であることが明らかになっています。
■オンコタイプDX乳がん再発スコア®プログラムについて
オンコタイプDX乳がん再発スコアプログラムは、2004年から米国で実施されていたオンコタイプDX乳がん再発スコア®検査(本検査)と日本向けに開発したソフトウエアを組み合わせたプログラム医療機器です。日本においても2023年9月1日、オンコタイプDX乳がん再発スコアプログラムとして保険収載されることになり、より多くの患者さんが適切な治療を受けるサポートができると期待されています。 本検査では、一定の条件を満たす乳がん患者さんを対象に、乳がん組織に含まれる21個の遺伝子を調べ、各遺伝子の発現状況から独自のアルゴリズムにより、0から100までの数字で表される再発スコア®結果を算出します。再発スコア結果は、手術後にどの程度再発しやすいかの予測とあわせて、術後薬物療法を検討する際に、「ホルモン療法」に「化学療法」を追加するかどうかの意思決定の助けになる情報を提供します。 現在世界中で 100 万人以上の患者さんがこの検査の利益を受けており 1、日本乳癌学会2、欧州腫瘍学会(ESMO)3、ザンクトガレン国際乳癌会議 4、米国臨床腫瘍学会(ASCO®)5、米国国立包括癌ネットワーク(NCCN®)6などの主要な乳癌治療ガイドラインに取り入れられています。
■エグザクトサイエンスコーポレーションについて
エグザクトサイエンスコーポレーションは、アメリカ、ウィスコンシン州マディソン市に本社を置く、ゲノム(患者さんの遺伝子情報)に基づいた最先端の技術を通し、がん治療のさらなる可能性を拓くことを使命とした、がんスクリーニング検査とゲノムを用いた診断検査を提供するヘルスケア企業です。 人生を変える行動を早期に講じるための必要な情報を提供します。結腸癌スクリーニング検査およびOncotype DX検査の成功を基に、がん診断前、診断中、診断後に使用する革新的なソリューションを開発するパイプラインに投資しています。 エグザクトサイエンス株式会社はエグザクトサイエンスコーポレーションのグループ会社です。
詳細については、https://www.exactsciences.com/jp をご覧ください。 その他、乳がん患者さん向けWebサイト 「乳がん治療.jp」 http://nyuganchiryo.jp もご参照ください。
「将来予想に関する記述」
本ニュースリリースには、将来に関するエグザクトサイエンスコーポレーションの期待、予想、意図、信念、戦略に関する記述が含まれています。 これらの将来の見通しに関する記述は、本ニュースリリースの日付現在においてエグザクトサイエンスコーポレーションが行った仮定に基づくものであり、実際の結果、状況、事象が予想と大きく異なる可能性のある既知および未知のリスクや不確実性を内包しています。したがって、将来予想に関する記述に過度の信頼を置かないようにしてください。エグザクトサイエンスコーポレーションの将来予想に関する記述に影響を与える可能性のあるリスクや不確実性については、エグザクトサイエンスコーポレーションの最新の年次報告書(フォーム 10-K)およびその後の四半期報告書(フォーム 10-Q)の「リスク要因」(Risk Factors) のセクション、ならびに米国証券取引委員会(Securities and Exchange Commission)に提出したその他の報告書に記載されています。エグザクトサイエンスコーポレーションは、新たな情報、将来の展開、その他の結果にかかわらず、書面または口頭であるかどうかにかかわらず、将来予想に関する記述を公に更新する義務を負いません。
1 Exact Sciences, data on file
2 日本乳癌学会 編.: 乳癌診療ガイドライン1 治療編 2022年版 第5版. 金原出版. 2022
3 Cardoso et al. Ann Oncol 2019
4 Burstein et al. Ann Oncol. 2021
5 Andre et al. J Clin Oncol 2022
6 NCCN Guidelines: Breast Cancer, version 3. 2023
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