「事前指示書(指定書)の導入・利用状況」について、 約75%の医師は「事前指示書を導入していない」と回答

-MedPeer会員医師へのアンケート調査-

メドピア株式会社

医師7万人以上が参加する医師専用サイト「MedPeer(メドピア)」(https://medpeer.jp)を運営するメドピア株式会社(東京都渋谷区、代表取締役社長:石見 陽)は、会員医師を対象に「事前指示書(指定書)の導入・利用状況」についてのアンケートを実施し、以下のとおり結果を取りまとめました。

※事前指示書(指定書):患者が自身で意志決定や表明ができない状態になったときに備えて、患者自身が今後の治療方法についての希望を記入しておく文書。

医師専門サイトMedPeer調査結果:「事前指示書(指定書)の導入・利用状況」について(総回答:3,407 人)

<総合結果>
サマリー:
医師専門サイトMedPeer(メドピア)に登録する医師(7万人以上)を対象に「皆さんの勤務先では、事前指示書を導入・活用されていますか」という質問をしたところ、3,407 件の回答が寄せられた。

■事前指示書を「導入していない」と回答したのは、全体の74.8%、「導入している」は14.4%となった。「【導入していない】施設として、体制を整える予定がない」と答えたのは、67.5%。「対象となる患者さんがいない」「入院時に高齢で意思表示ができない患者が多い」といった回答が多い。「家族に確認している」「個別に口頭で確認しカルテに記載している」といった対応がとられる場合もある。
■「【導入している】入院時に指示書の規定対象となる患者さん全てに作成」は7.4%。「現場の混乱を防ぐためにも必須」「無いと非常に不便」といった意見がみられた。
■「導入を検討中」という回答は7.3%だが、事前指示書の運用に関しては、「状況に応じて希望が変化することがある」「遠方の親戚などがひっくり返す場合もある」とった問題点も挙げられている。

(回答一部を抜粋)
「【導入していない】施設として、体制を整える予定がない」2,299件
・そのような対象となる患者さんは診ていません。(50代、循環器内科)
・リビングウィルのようなものになっていくと思いますが、終末期も複雑なパターンの病態があります。そのすべてを考慮されているものとは思いません。不必要な延命は不要と考えますが、安易な延命(救命)処置不要論は危険だと思います。(50代、老年内科)
・全く対応していまがせん。世間で広く認知されてからでしょう。(50代、一般内科)
・有れば良いと思いますが、誰がいつ説明するのか、変更や撤回の自由と確実性を担保できるかなどの問題が解決されてからでしょう。(50代、脳神経外科)
・高齢の認知症、意識障害患者ばかり入院しています。全員に終末期延命治療が問題となるため、挿管、昇圧剤など家族に対する同意書はありますが、ほとんど機能していません。希望しないと同意があっても、他の方法も模索せずに、独自の倫理観?で院内救急として8割程度に挿管してしまう先生がいるため、病院として統一できないからです。(50代、一般内科)
・今後必要となってゆくと思いますが、あくまで患者様の意思決定が困難となった場合が大切なのでは。軽微な感染症でもDNR、麻痺が経度の脳梗塞でもDNRというのはいかがなものかと。統一化はむつかしいと思います。(30代、血液内科)
・指示書作成の提案もしにくいですね。死期が迫っていると捉えられると、関係もギクシャクしそうです。(40代、循環器外科)
・導入してもらえればありがたいですが、法的な根拠もほしいところ。(50代、一般内科)
・時間をかけて作っても、その場その場で異なる意見が出るので、意味がないと思う。蘇生しないと決めていても、急な窒息の際は蘇生するし、家族が希望されればせざるをえない。(50代、麻酔科)
・どの時点で希望が変わるか分かりません。その時の選択が、今の選択とは限りませんし。法的な根拠のある遺言書のようなものとは性質が異なると思います。(40代、一般外科)
・事前指示書の効力がどの程度のものかわからないのに導入しても意味がないと思われます。事前指示書の通りにしたからといって遺族が納得するとは限りません。(40代、呼吸器内科)

「【導入している】入院時に指示書の規定対象となる患者さん全てに作成」254件
・緩和ケア病棟ではきちんとしとかないとトラブルのもとなので全患者で作成しています。(40代、緩和医療)
・高齢者が多いので基本的にとるようにしています。説明の仕方に気を使いますが。(50代、一般内科)
・ルーチンで作成すれば、いちいち指示出さなくてもよくなるので便利です。(50代、救急医療科)
・認知症のある人を対象とする場合、家族の意向を聴くことになるが、本当に本人の意志かどうか不明である点が問題である。(60代、一般内科)
・ほぼ全ての患者さんに使用しており、無いと非常に不便。電子カルテで簡単に展開出来る。(30代、消化器内科)
・入院時に一応全員に聞きます。その時に判断できない場合も含めて文書で記録をとっておきます。(50代、一般内科)
・療養病棟を担当していますので高齢者が多く、以前から導入しています。強制はしていませんが、最近は特に抵抗もなく受け止められています。(70代、一般内科)
・緊急時対応の説明時、指示書作成、署名をもらっています。ただし、時々もらえない患者様もいます。(50代、一般内科)
・高カロリー輸液、輸血、透析、胸骨圧迫、人工呼吸器管理、胃瘻、経管栄養、などなど事細かに希望するか、否か考えていただいてます。(40代、一般内科)

「【導入していない】導入を検討している(導入の準備をしている)」249件
・トラブルは避けるようにしたいので、手間がふえるが、導入を考えている。(50代、一般内科)
・透析の継続を希望するかどうかも含めて検討中です。(40代、腎臓内科・透析)
・なかなか導入されないので、各自で説明し、カルテ記載になっています。(30代、精神科)
・書類にはまだしていませんが、口頭での意思確認をカルテに記載しています。(60代、一般内科)
・延命処置をしないでほしいと言ってくる患者もいます。家族と一緒に正式に言うことはないので、出来るだけのことはさせて下さいとその都度、お答えしています。その制度は導入を考えないといけないと思っていますが、家族同伴で相当な時間がかかると思いますし、また、病状の変化で気持ちも変わると思っております。(50代、一般内科)
・委員会を立ち上げて 導入に向かって進んでいる。(60代、リハビリテーション科)
・外来患者さんに、広くリヴィングウイルに関する冊子をお配りして、導入の準備をしています。(40代、一般内科)
・在宅でみている患者については導入しております。外来に来る人は特にしておりません。(40代、泌尿器科)

「【導入している】主治医の判断で作成を患者さんに依頼する」237件
・急変時に蘇生(気管内挿管、人工呼吸器装着など)をするかどうかの文章を作成します。(50代、麻酔科)
・高齢の悪性疾患患者が多いので、基本は急変のあり得る患者には説明します。(30代、血液内科)
・入所時にこちらの判断で作成しております。これで揉めることが激減しました。(50代、一般内科)
・疾患により、患者さんの人生観等々により、導入しています。(50代、精神科)
・病態により医療の方向性が変わる際に説明し、家族の意向を確認しています。(40代、泌尿器科)
・ひな形はありますが主治医の判断で書き加えたり、訂正したりしています。(50代、一般内科)
・対象症例では頂いています。一般の患者では異常経過で急変した場合はなんとしても救命しなければならない。(60代、消化器外科)
・実際は入院時に判断能力に問題がある患者さんが多いので、家族に依頼することが多いです。(40代、精神科)
・老人施設なので、基本的に臨終に近い状態になった時の蘇生の必要性の有無と積極的加療の有無を問い、合意したことを記録に残しています。(60代、一般内科)

「その他」368件
・書面としてはありませんが、可能性のある患者に関しては確認してカルテ記載しています。(40代、循環器内科)
・当院の患者層の特性のため、事前指示書にはなりにくい。可能な患者にはとっているが、多くは家族からの同意書になる。(50代、精神科)
・決まってはいないのですが、癌患者さん、しかも進行状態にある方では、可能な限り、徐々にICをして、希望を聞くようにはしています。(40代、泌尿器科)
・入院の患者さんはいませんので指示書はありません。予診票に「病気が重症になった時に相談したい家族の名前と連絡先」を書いてもらうようにしていますが、書いてもらいたい単身者に限って書いてくれていません。(50代、耳鼻咽喉科)


■期間:2014年8月29日(金) ~ 2014年9月4日(木)
■有効回答:3,407 人(回答者はすべて、医師専門サイトMedPeerに会員登録をする医師)
■設問:医師専用サイト MedPeer内の「ポスティング調査」コーナーにおいて、医師会員からご投稿頂いたテーマをもとに、以下の質問を投げかけました。

(設問文 抜粋)
事前指示書(指定書)とは、患者さんが意志決定や表明ができない状態になったときに備えて、患者さん自身が今後の治療方法について、希望を記入しておくものです。
終末期となった高齢の患者さんなど、患者さんご本人の意向を確認するのが難しい場合、ご家族の間で意見が分かれたり、治療の選択に迷うことがしばしばあります。そんな時に事前指示書があると、患者さんの意向を尊重できるため、今後の治療方針の基軸となります。
最近は、事前指示書を導入している病院も増えているようですが、作成の時期や説明にかかる時間など、実際の運用には難しいところもあるように感じます。
そこで質問です、皆さんの勤務先では、この事前指示書を導入・活用されていますか。
以下の選択肢から、皆さまの勤務先のご状況に近いものをご選択いただき、コメント欄に、施設規定の指示書フォーマットの有無や状況の詳細についてご入力ください。

1.【導入している】入院時に指示書の規定対象となる患者さん全てに作成
2.【導入している】主治医の判断で作成を患者さんに依頼する
3.【導入していない】導入を検討している(導入の準備をしている)
4.【導入していない】施設として、体制を整える予定がない
5. その他


メドピア株式会社について
・社名 :メドピア株式会社(https://medpeer.co.jp
・代表者 :代表取締役社長 石見 陽 (医師・医学博士)
・設立 :2004年12月
・運営サービス :医師専用サイト「MedPeer(メドピア)」(https://medpeer.jp

メドピア株式会社が運営する「MedPeer」は、医師専用の会員制サイトです(URL: https://medpeer.jp)。
主なコンテンツには、「薬剤評価掲示板(薬剤のクチコミ共有)」、「Meet the Experts(エキスパート医師への直接相談)」、「インタラクティブ・ケース・カンファレンス(オンライン症例検討会)」、「ディスカッション(掲示板)」、「ホスピタル・レポート(勤務先・研修先の病院評価)」などがあり、”臨床の決め手がみつかるサイト”として、現在7万人以上の医師(日本の医師の約4人に1人)が利用しています。

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本社所在地
東京都中央区築地1-13-1 銀座松竹スクエア8階
電話番号
03-4405-4905
代表者名
石見 陽
上場
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設立
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