武器貿易条約(ATT):不公平で不透明な制度の改善を
~テラ・ルネッサンス、アジア・アフリカNGOとともに日本政府に書簡を送付~
テラ・ルネッサンスが支援を行うカンボジアやウガンダなどの国では、多くの通常兵器が不正に使用されてきました。1990年代以降、通常兵器の貿易を規制する必要性が叫ばれ、国連での長い交渉を経て2014年に武器貿易条約(ATT)が発効し、今年8月には東京で第4回締約国会議(CSP4)が開催されました。
しかし、初のアジア開催となったCSP4に、東・東南アジアのNGO・研究者はほとんど参加できませんでした。
現在、アジア地域のATT締約国は日本と韓国だけです。CSP4に向けては、この地域―とりわけ、ATTを批准する可能性が比較的高い東南アジア地域―での規制強化や批准推進が必要だと言われていました。
実際に、東南アジアでは、CSP4に向けて、貿易管理やATTに関する知識や経験が豊富なNGO・研究者が、東南アジア諸国の規制強化のために政府関係者へのトレーニングを実施したり、ATT批准の国内手続きに深く関与するなどしていました。CSP4では、そうした経験を政府・非政府アクターで共有して取り組みを前進させることが期待されていました。そして、ATTの締約国会議プロセスにおいては、NGOや研究者が会議に参加するための旅費などを提供する公式・非公式のスポンサーシップ・プログラムがあります。
しかし、CSP4開催にあたり、東・東南アジアのNGO・研究者は、ほぼ全く支援を受けられませんでした。
スポンサーシップ・プログラム資金の多くは、欧米のNGO・研究者や、知識も経験も浅い「南」のNGOに利用される一方で、知見ある「南」のアクターは支援を得ることが難しくなっているのです。しかも、公式・非公式のスポンサーシップ・プログラムにおける選考基準や選考プロセス等の情報は、開示されていません。
テラ・ルネッサンスとアジア・アフリカのNGO、共同書簡の提言
2018年10月24日(水)、テラ・ルネッサンスは、アジア・アフリカのNGOの有志とともに、ATT事務局、日本政府および関係各国に対して、共同書簡を送付いたしました。この書簡には、これまでの不公平で不透明な制度を改善するための具体的な提言が記されています。
「南」の専門性あるアクターを疎外することは、ATTの普遍化や実施に深刻な悪影響を与えます。また、スポンサーシップ・プログラムは、自費による会議参加が困難な「南」のアクターを支援すべきものであり、その資金の多くが「北」のアクターに流れている状況は止めるべきです。
CSP4の議長を務めた日本は、ATT締約国会議プロセスに巨額の資金を投入している最大のドナー国でもあります。日本政府には、このプロセスにかかわる資金が適切に使われるようにする責任と、問題の改善に貢献しうる発言力や影響力があります。アジア・アフリカのNGOは、日本の役割に期待しています。
◆テラ・ルネッサンスとアジア・アフリカのNGOが日本政府に宛てた共同書簡(英文)は、以下URLをご覧ください◆
河野太郎外務大臣宛
https://www.terra-r.jp/news/press-release/attjointletterjapanaminister.html
高見澤將林軍縮大使宛
https://www.terra-r.jp/news/press-release/attjointletterjapanambassador.html
※ATT事務局および他国宛ての書簡は、それぞれ別途送付されています
◆スポンサーシップ・プログラムの問題は、既に複数の日本メディアにより報道されています。これまでの報道は、以下URLでご覧いただけます◆
https://www.terra-r.jp/user/media/pdf/news/20180908komei.pdf
https://www.terra-r.jp/user/media/pdf/news/20180926kyoto.pdf
◆スポンサーシップ・プログラムの問題について、当会ポリシー・アドバイザーの榎本が執筆した解説が、岩波書店の『世界』11月号に掲載されています。現在、書店等にて発売中です。◆
https://www.iwanami.co.jp/book/b378103.html
◆お問い合わせ先: 以下アドレスまで、メールにてご連絡ください。◆
認定NPO法人テラ・ルネッサンス(担当:鬼丸)
onimaru@@@terra-r.jp (@を1つにして送信ください)
■認定NPO法人テラ・ルネッサンスは、「すべての生命が安心して生活できる社会(=世界平和)の実現」を目的に2001年10月に京都で設立した国際協力NPOです。地雷・小型武器・子ども兵という3つの課題に対して、カンボジアでの地雷撤去支援や、ウガンダやコンゴ民主共和国での元子ども兵社会復帰支援プロジェクトなどを展開しています。同時に国内での啓発、提言活動を行うことによって、問題解決を目指しています。また東日本大震災に対する復興支援活動も行っています。 http://www.terra-r.jp ■
しかし、初のアジア開催となったCSP4に、東・東南アジアのNGO・研究者はほとんど参加できませんでした。
現在、アジア地域のATT締約国は日本と韓国だけです。CSP4に向けては、この地域―とりわけ、ATTを批准する可能性が比較的高い東南アジア地域―での規制強化や批准推進が必要だと言われていました。
実際に、東南アジアでは、CSP4に向けて、貿易管理やATTに関する知識や経験が豊富なNGO・研究者が、東南アジア諸国の規制強化のために政府関係者へのトレーニングを実施したり、ATT批准の国内手続きに深く関与するなどしていました。CSP4では、そうした経験を政府・非政府アクターで共有して取り組みを前進させることが期待されていました。そして、ATTの締約国会議プロセスにおいては、NGOや研究者が会議に参加するための旅費などを提供する公式・非公式のスポンサーシップ・プログラムがあります。
しかし、CSP4開催にあたり、東・東南アジアのNGO・研究者は、ほぼ全く支援を受けられませんでした。
スポンサーシップ・プログラム資金の多くは、欧米のNGO・研究者や、知識も経験も浅い「南」のNGOに利用される一方で、知見ある「南」のアクターは支援を得ることが難しくなっているのです。しかも、公式・非公式のスポンサーシップ・プログラムにおける選考基準や選考プロセス等の情報は、開示されていません。
テラ・ルネッサンスとアジア・アフリカのNGO、共同書簡の提言
2018年10月24日(水)、テラ・ルネッサンスは、アジア・アフリカのNGOの有志とともに、ATT事務局、日本政府および関係各国に対して、共同書簡を送付いたしました。この書簡には、これまでの不公平で不透明な制度を改善するための具体的な提言が記されています。
「南」の専門性あるアクターを疎外することは、ATTの普遍化や実施に深刻な悪影響を与えます。また、スポンサーシップ・プログラムは、自費による会議参加が困難な「南」のアクターを支援すべきものであり、その資金の多くが「北」のアクターに流れている状況は止めるべきです。
CSP4の議長を務めた日本は、ATT締約国会議プロセスに巨額の資金を投入している最大のドナー国でもあります。日本政府には、このプロセスにかかわる資金が適切に使われるようにする責任と、問題の改善に貢献しうる発言力や影響力があります。アジア・アフリカのNGOは、日本の役割に期待しています。
◆テラ・ルネッサンスとアジア・アフリカのNGOが日本政府に宛てた共同書簡(英文)は、以下URLをご覧ください◆
河野太郎外務大臣宛
https://www.terra-r.jp/news/press-release/attjointletterjapanaminister.html
高見澤將林軍縮大使宛
https://www.terra-r.jp/news/press-release/attjointletterjapanambassador.html
※ATT事務局および他国宛ての書簡は、それぞれ別途送付されています
◆スポンサーシップ・プログラムの問題は、既に複数の日本メディアにより報道されています。これまでの報道は、以下URLでご覧いただけます◆
https://www.terra-r.jp/user/media/pdf/news/20180908komei.pdf
https://www.terra-r.jp/user/media/pdf/news/20180926kyoto.pdf
◆スポンサーシップ・プログラムの問題について、当会ポリシー・アドバイザーの榎本が執筆した解説が、岩波書店の『世界』11月号に掲載されています。現在、書店等にて発売中です。◆
https://www.iwanami.co.jp/book/b378103.html
◆お問い合わせ先: 以下アドレスまで、メールにてご連絡ください。◆
認定NPO法人テラ・ルネッサンス(担当:鬼丸)
onimaru@@@terra-r.jp (@を1つにして送信ください)
■認定NPO法人テラ・ルネッサンスは、「すべての生命が安心して生活できる社会(=世界平和)の実現」を目的に2001年10月に京都で設立した国際協力NPOです。地雷・小型武器・子ども兵という3つの課題に対して、カンボジアでの地雷撤去支援や、ウガンダやコンゴ民主共和国での元子ども兵社会復帰支援プロジェクトなどを展開しています。同時に国内での啓発、提言活動を行うことによって、問題解決を目指しています。また東日本大震災に対する復興支援活動も行っています。 http://www.terra-r.jp ■
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