より自分らしく。より自由に。多様化する人と社会で選びたい「協同労働」という働き方。

ダイバーシティ(多様性)&インクルージョン(受容)の時代。「みんなで考え、みんなで働き、みんなで運営する」協同組合・協同労働という働き方が生みだす幸せのカタチ。

北上笑いのたね事業所と所長の後藤誠子さん(岩手県北上市)

新年度を迎えました。雇用形態にもよりますが、年度替わりには多くの組織で契約の更新や終了などが行われます。皆さんはいかがでしょう?新年度も安心して働くことができそうでしょうか?

ライフスタイルも価値観も多様化している昨今、あなた自身とご家族にとってどんな仕事が、どんな働き方が、心地よいですか?

私たちワーカーズコープ・センター事業団は、雇われるのではなく働く人たちがみんなでお金を出し合って運営を担う「協同労働」という働き方をしています。今回はそんな働き方がもたらす価値や生き方、その先にある未来への期待をご紹介します。

多様社会の働き方をめざす「ろうきょう(労働者協同組合)法の(目的)」

「この法律は、各人が生活との調和を保ちつつその意欲及び能力に応じて就労する機会が必ずしも十分に確保されていない現状等を踏まえ、組合員が出資し、それぞれの意見を反映して組合の事業が行われ、及び組合員自らが事業に従事することを基本原理とする組織に関し、設立、管理その他必要な事項を定めること等により、多様な就労の機会を創出することを促進するとともに、当該組織を通じて地域における多様な需要に応じた事業が行われることを促進し、もって持続可能で活力ある地域社会の実現に資することを目的とする。」(労働者協同組合法 第一章 第一条)

ろうきょう法冒頭の文言です。つまりこの法律は、法人格の枠組みを活用して地域に役立つ事業を行う人たちが、心地よく柔軟に働けるようになることを目的としています。

自分も他者も地域も、皆がしあわせになる社会をめざして働く。協同労働という働き方の志すところです。

変わりゆく日本社会の新しい働き方、協同労働

社会経済の多様化、グローバル化、デジタル技術の急速な発展、ライフスタイルの多様化など様々な理由により、働き方も多様化しています。ステップアップのための転職、家庭内での家事分担、介護や子育てなど、ライフワークバランスを重んじる考え方も当たり前になりました。

家族の事情で長時間は働けない働きたくない、仕事より趣味の時間を優先したい、自分の好きなスタイルで働きたい、など働き方にも一人ひとりの望みが優先されていい社会です。

ろうきょう法はこうした社会と人の気持ちの変化に対応し、「柔軟な働き方の選択肢を増やす」「個性を尊重し合い、互いに支えあって働く場をつくる」「一人ひとりの意見を大事にして働くことができる仕組みづくり」をめざして制定されました。多様な人材が互いの力を発揮しながら働くことができる場づくりを通じて、持続可能で活力ある地域社会が築かれていくことが期待されています。

ワーカーズコープ・センター事業団の多彩な取り組み

法施行に前後して、ワーカーズコープ・センター事業団では下記のような仲間が増えました。

  1. 自分たちが願う(実現したい)ケア(または事業)の実現をめざし、センター事業団の組合員として事業所を開設

  2. 廃業(事業の休止)となる福祉事業所から職員や利用者がセンター事業団に移り、事業を継続(事業継承)

以下、その事例を介して、働き方の新たな選択肢として協同労働と労働者協同組合を選択した人たちの多種多様な思いをご紹介します。

事業継承で崩壊しかけた地域福祉を再生。「やまぼうし」(東京都八王子市)

南多摩地域にある福祉事業所「やまぼうし」(2003年開所)は、センター事業団では老舗の事業所の一つ。団地商店街の一画で「訪問介護」「居宅介護支援(ケアマネジメント)」「配食サービス」の3つの福祉サービスを行ってきました。

2022年以降、3人のケアマネージャーが入職したことで4名体制になり、利用者へきめ細かな関わりが実現し、事業収入も増えています。彼ら彼女らが入職されることとなった経緯や入職後の協同労働の実感をご紹介いたします。

<ケアマネージャーのコメント> 

  • 「突然、前職の法人から居宅支援事業を閉めると言われ途方に暮れました。「やまぼうし」が職員の私も利用者も丸ごと受け入れてくれることになり、本当によかった。普通の組織と異なり、経営陣から一方的に指示されることなく、自分のやり方で仕事を進められる。迷った時にはみんなで話し合いながら解決しています」

  • 「これまでの職場と違い、働きやすさを感じます。同一法人が運営する福祉サービスに利用者を入れるという、ノルマのようなプレッシャーもありません。協同労働は経営内容や方針、原価率が共有されていて、採算が取れるよう頑張ろうというモチベーションになっています。風通しが良く、相談しやすいので、精神的にも満足。出資して、無理をせずに、やりたいことをみんなで考えていく組織。介護の仕事は利害や打算ではできないので、こういうやり方はマッチしていると思う」

  • 「体力的にも精神的にも仕事がきつくなり、前職を退職しようか、転職しようか考えていました。現在は訪問介護の仕事と兼務してケアマネをしていますが、とても楽しい。初めて訪問介護を経験して、認知症でない高齢者と接するのが新鮮。ケアマネの先にあるものが見えるようになりました。前職のグループホームでは、一部屋空くと、すぐに次を見つけろ、食費を切りつめろ、などと強要され、職員がピリピリしていた。協同労働はそういうことがなく、雰囲気がやわらかい。自分の人生が新たに開けたようで嬉しい」

事業所の外観
配食サービスの様子
ご自宅へ介護やお弁当を配達

力強いメンバーが加わった「やまぼうし」。そんな彼らは2024年、職員不足で年度内に閉鎖予定の訪問介護事業所が近くにあるとの情報をキャッチしました。そこで事業所と相談し、65歳~80歳未満の8名のヘルパー(訪問介護員)と訪問介護の利用者が「やまぼうし」に移籍。事業の継続が決まりました。「やまぼうしに助けられた。元気なうちは地域のために働き続けたい」。移籍してきたヘルパーの声です。2025年4月には地域とのつながりでケアマネージャーがもう1名入職し、5名体制となりました。

訪問介護事業は、どの事業者も人手不足と売上となる介護報酬単価の切り下げに苦労し、事業の廃業が全国で増えています。センター事業団が事業を継承することにより、高齢者の在宅生活を支える訪問介護を存続させ、そこで働く仲間の仕事も残すことができた事例です。

ケア×アート。自分たちの居場所は自分たちでつくる「ポラーノの椅子」(宮城県仙台市)

2023年10月に開所した太白山田地域福祉事業所「ポラーノの椅子」は、訪問看護事業と地域密着型デイサービスを運営しています。事業所名には宮沢賢治の代表作「ポラーノの広場」にちなんで、「自分たちの理想の場所は自分たちでつくってこそ。誰かに与えられるものではない」という思いが込められています。

開設メンバーの植木亜弓さんは、仙台市内でセンター事業団が行う障がい児・障がい者ケアの事業所で音楽療法士として活動していました。市内医療機関の緩和ケアの職場で音楽療法に携わってきた経験から福祉と医療の連携が必要だと考え、医療・福祉・アートなど専門性の異なる仲間たちと任意団体「ポラーノの椅子」を立ち上げました。理念は「Not Doing、But Being(寄り添うこと)」。がんや難病で闘病する人や高齢者を対象とした地域交流活動を行っています。

活動を持続させるにはどうすればよい?自分たちが理想とする職場をどうつくるか?一緒に活動を行ってきたセンター事業団の組合員と議論を重ねるうち、自分たちの理想とする働き方は協同労働に近いと気づき、センター事業団の事業所として仕事おこしに挑戦することにしました。

事業所の経営を安定させるため、介護保険や医療の制度を活用しながら地域のニーズに応える形で「地域密着型デイサービス」や「訪問看護」を事業の柱とし、並行して「ポラーノの椅子」で大事にしてきた活動を継続しています。音楽療法、聞き書き、がんサロンなどのインフォーマルケア(社会連帯活動)と、訪問看護、通所介護などのフォーマルケア(制度活用の事業)の両方を循環させることで、一人ひとりに寄り添いながら丸ごとケアする地域包括ケアをめざしています。

事業所の外観
ポラーノの椅子のメンバーたち

不登校・ひきこもり支援。任意団体からセンター事業団事業所に。「北上笑いのたね事業所」(岩手県北上市)

「北上笑いのたね事業所」所長の後藤誠子さんは、2019年から任意団体として不登校・引きこもり支援を地域で取り組んできました。活動を始めたきっかけは、次男の不登校・ひきこもり。誰も排除されない社会をめざして、ひきこもり当事者や家族を地域で支え合う「笑いのたねプロジェクト(ワラタネ)」を立ち上げ、交流会やトークイベントなどを通じて当事者と支援者をつなぐ機会を創出してきました。

ある日、NHK「クローズアップ現代+」で「協同労働特集」を視て、協同労働が当事者主体の働く場づくりに活かせるのではと直感。番組コメンテーターとして出演していた大学教授(大学の後輩)を通じてセンター事業団と出会いました。

2022年4月にセンター事業団に加わった後は、北上市から不登校ひきこもり事業の委託を受け、これまで以上に活動を拡充させています。また、所長の後藤さん個人の活動として、不登校・ひきこもりを経験した保護者の立場から、全国各地の講演会でも積極的な発信を行っています。

2024年には北上市に隣接する奥州市からも「ひきこもりサポート事業」を受託。不登校やひきこもりに関係なく誰でも利用できる居場所「ワラタネスクエア奥州」を開所(4月2日)しました。

現在、有限会社ロングランさまがドキュメンタリー映画「笑いのたね」を制作中です。映画をきっかけに、より多くの方々に取り組みの内容や協同労働という働き方を知ってもらえたらと思っています。

ワタラネスクエアでの活動
24.4.2ワラタネスクエア奥州開所式。倉成淳奥州市長も出席

参考資料

「もっと詳しく知りたい」「労働者協同組合に興味がある」という方や団体は、下記、ワーカーズコープ・センター事業団までご連絡・ご相談ください。


労働者協同組合ワーカーズコープ・センター事業団 概要

設立

2001年9月

代表

代表理事 平本哲男

所在地

東京都豊島区東池袋1丁目44-3 池袋ISPタマビル7階

事業内容

保健、医療又は福祉の増進を図る活動
まちづくりの推進を図る活動
子どもの健全教育を図る活動
前各号に掲げる活動を行う団体の運営又は活動に関する連絡、助言又は援助の活動

ホームページ

https://workers-coop.com

労働者協同組合法について(2020年12月成立、2022年10月施行)

労働者協同組合(ワーカーズコープ)にはこれまで農協・生協・漁協のような法人格がなく、「協同労働」の法制化をめざす動きが1998年から始まりました。協同労働の実践を全国で広げ、団体署名や意見書の採択に取り組む中で、与野党全会派一致で法制化が実現しました。

協同労働とは「協同の関係」で働くこと。働く人が自ら出資して組合員となり、話し合って事業を行う働き方です。企業組合やNPO法人と違い認可認証が不要で、NPO法人のように活動分野の規定もなく3人以上で設立ができます(NPO法人は10人以上、出資不可)。

法律では、出資額に関係なく「一人一票」の権利が認められています。「一人ひとりが出資して組合員となり、意見反映を通じて運営に参加し、自ら事業に従事する」、これが労働者協同組合の基本原理です。この法律を活用し、協同労働が社会を変えていく推進力となることを目指します。

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会社概要

URL
-
業種
医療・福祉
本社所在地
東京都豊島区東池袋1-44-3 池袋ISPタマビル7F
電話番号
03-6907-8030
代表者名
平本哲男
上場
未上場
資本金
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設立
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