【イベントレポート】障がい者雇用の可能性を現場目線で考察「事前トレーニングとマニュアル活用は障がい者雇用現場に効果的、今後企業での活用定着を模索」
〜「障がいのある求職者に向けた事前の業務トレーニングから就職を目指すモデル事業」成果報告会を開催〜
特定非営利活動法人セルプセンター福岡(福岡県大牟田市、理事長:叶 義文、以下:セルプセンター福岡)は、2024年4月より、「障がいのある求職者に向けた事前の業務トレーニングから就職を目指すモデル事業」を実施しました。この1年に及ぶ本事業の成果報告会を、2025年3月18日(火)の13時30分から15時30分まで、アクロス福岡国際会議場で開催しました。当日、会場参加特典として、ARグラスの試用やモデル事業で活用した業務マニュアルを限定公開しました。
本事業は、公益財団法人日本財団(本社:東京都港区、代表理事会長:笹川 陽平、以下:日本財団)と福岡県の助成を受け、実施しました。また、協力企業として、西日本鉄道株式会社(本社:福岡市博多区、代表取締役社長執行役員:林田 浩一、以下:西鉄)を核とし、道路旅客運送業などの除外率適用業種を含む西鉄グループ、知的障がい者の就労支援に強みを持つ社会福祉法人さつき会(本部:福岡県宗像市、理事長:上田 大地、以下:さつき会)、障がい者就労支援や精神障がい者へのサポート経験が豊富な総合人材会社キャムコムグループの特例子会社である株式会社綜合キャリアトラスト(本社:東京都港区、代表取締役:伊藤 努、以下:綜合キャリアトラスト)の3社にご協力いただきました。
当日は、本事業に参画した西鉄グループ担当者、本事業の支援者、運営チームの3者が登壇し、本事業に対するそれぞれの視点や想いについて率直な意見を交わし、未来の障がい者雇用の在り方について考察を深めました。
●挨拶

セルプセンター福岡 理事長 叶 義文 氏
冒頭、本事業を指揮した叶氏は「この事業には、たくさんの方の援助とご協力で実現した取り組みであり、感謝申し上げます。障がいのある人が長く生き生きと働けることは、結果的に企業にとっても多くの相乗効果をもたらすことに繋がります。今回の西鉄グループでの取り組みは大変意義があり、障がい者雇用をいかに進めていくかという点において、今後に繋がれば幸いです」と挨拶しました。

日本財団 公益事業部 国内事業開発チーム 准チームリーダー 村上 智則 氏
村上氏は「日本財団はこれまでに全国の障がい者施設へ支援を実施してきました。2016年度には障がい者就労をプロジェクト化し、フォーラム開催や工賃向上のモデル構築を全国で展開しています。障がい者の経済的な自立の実現に向け、福祉的就労への取り組みと並行し、本事業のように一般就労において業種に制限されず、さらに障がい種別や障がい程度などへの受容性を高めるための環境構築に対しても取り組んで参りたいと考えています」と挨拶しました。

福岡県 福祉労働部障がい福祉課 参事 町田 由紀子 氏
町田氏は「福岡県では、障がいのある方が、それぞれの希望や適性に応じて働き、収入を向上させることを目指して様々な取り組みを行っています。今後は、障がい者の法定雇用率の引き上げや除外率の引き下げが予定されている中で、今後、より多くの障がいのある方が能力を発揮できるよう、県としてもお手伝いしていきたいと考えています」と挨拶しました。
●第一部 「事業成果報告」

株式会社綜合キャリアトラスト 大野 伸太郎 氏
大野氏は本事業の概要紹介に続き、参画いただいた西鉄グループ会社6社での取り組み内容を報告しました。また、この事業の特長として、障がい者と企業側の意思疎通と実践工程がスムーズに行われるよう、業務マニュアルの作成や事前トレーニングを実施したことを報告いたしました。
業務マニュアル作成は、求職者の不安の解消と業務習得には大変効果的だったとの声を多くいただいたことを紹介。一方で、作成には関係各所との連携や事業内容の把握に一定の時間を要したことから、「この点が短縮されれば、今後企業への活用導入が進んでいくのでは」とし、今後の企業での導入法を模索していきたいと話しました。
就労前の実践練習として行った事前トレーニングでは、障がい者にとって「就労への作業内容の理解が深まり、安心感が持て、結果自信に直結し、前向きに取り組めたという声が多く、キーとなるステップだった」と紹介。また、支援者側からも、「同じ目線で一緒に一から学ぶことができた点は伴走支援する上で意義がある」という声が寄せられたと紹介。一方で、工程が多く、障がい者がマニュアルを読み込むことに抵抗のあった人もいた課題も見えてきたと話しました。
今回導入したARグラスの活用について、支援者からは「本人が今どこを見ているのかがリアルでわかり、また集中したポイントも確認できた。遠隔でのサポートでも、本人が今置かれている環境が把握できる他、視界や音声の共有ができるので、サポートしやすい」との声があったことを紹介。一方で、障がい者本人たちにとっては、使い勝手に依然課題が残るなど、多くの気づきもあり、企業に導入展開するための手法を模索したいと話しました。
なお、事業全体の成果として、全体の85%が、参加して良かったと回答したことを紹介。また、企業や支援者からは、半数以上が「将来的に導入したい」と回答。手応えを感じるとともに、今後これらの取り組みの企業への導入促進だけでなく、実際の障がい者就職定着率の向上を検証し模索していきたいと話しました。
●第二部 「トークセッション」



西鉄担当者、支援機関、運営チームの3者が登壇し、「現場のリアル×最新技術で考える障がい者雇用」というテーマで事業を振り返り、現場のリアルな声を拾いながらトークセッションが進められました。
●第三部 全体考察「実践からみる 事前トレーニングモデルの展望」
今後の展望として、綜合キャリアトラストの大野氏は、以下を挙げていました。
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事前トレーニング体験により、利用者のスキル把握と適性確認が可能になった。
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マニュアル活用で、本人・支援者ともに安心して訓練に取り組めた。
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ARグラスの導入が、視点共有・リアルタイム支援に効果を発揮。
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テレワークオフィスの活用でテレワークの模擬訓練が可能となった。
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支援者側の学びやプログラム改善の視点も多数得られた。

●第四部 講演「障がい者雇用の動向と今後の法制度について」
福岡労働局 職業安定部職業対策課 障害者雇用担当官 山本 正剛 氏
山本氏は、令和6年度の障がい者雇用をめぐる状況について、「障がい者の雇用数は過去最高を記録し、障がい者雇用は着実に進んでいます。中でも、障がい者種別に占める精神障害者の割合が顕著に増加し、今後も増加すると見込まれます」と話しました。また、その要因として、企業の障がい者雇用への理解が進み、積極的な採用が行われていることや、障がい者法定雇用率の引き上げや除外率の引き下げなどを見据えて、障がい者雇用に取り組む企業が増えた点を挙げていました。
また、令和7年度以降も、法改正に伴い、今障がい者法定雇用率を達成できている企業も、今後は未達成となることもあるため、企業として計画的かつ早期に障がい者雇用を見据えていく必要がある点を挙げていました。福岡労働局では、企業が障がい者への差別解消や雇用促進にむけ、様々な支援相談機関や助成金があることを挙げ、障がい者雇用に取り組む企業支援に力を入れていると話しました。

●会場の様子
会場では、来場者特典として、本事業で使用されたARグラスの試用体験も行われました。また、実際の業務マニュアルも展示され、熱心に目をとおす来場者の姿が印象的でした。


●公開可能な業務マニュアル※1は、以下よりダウンロードいただけます。
※1 一部の情報の名称変更とマスキングを実施しています。
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西鉄エンジニアリング業務マニュアル
https://storage.webupload.biz/file_lists/view/9vkt933nT6Gju
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西鉄ステーションサービス業務マニュアル
https://storage.webupload.biz/file_lists/view/9vkthTj9b8TaE
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西鉄バス久留米業務マニュアル
https://storage.webupload.biz/file_lists/view/9vktpfAMDa6dy
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西鉄運輸業務マニュアル
https://storage.webupload.biz/file_lists/view/9vktxbUHfBCz6
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西鉄観光バス業務マニュアル
https://storage.webupload.biz/file_lists/view/9vktAi72mZJKM
●開催概要
【日 程】2025年3月18日(火) 13:30~15: 30
【会 場】アクロス福岡 国際会議場(福岡市中央区天神1丁目1番1号アクロス福岡4階)
【定 員】100名(企業・支援機関対象)
【形 式】セミナー、トークセッションの四部制
【参加費】無料
【登壇者】
<挨拶>
セルプセンター福岡 理事長 叶 義文 氏
日本財団公益事業部国内事業開発チーム 准チーム リーダー 村上 智則 氏
福岡県 福祉労働部障がい福祉課 参事 町田 由紀子 氏
<成果報告発表>
株式会社綜合キャリアトラスト 大野 伸太郎 氏
<トークセッション>
トレーニングに参加した西鉄グループ担当者、支援者・運営チームのメンバーら
<講演>
福岡労働局 職業安定部職業対策課 障害者雇用担当官 山本 正剛 氏
●「障がいのある求職者に向けた事前の業務トレーニングから就職を目指すモデル事業」について
本事業は日本財団と福岡県の助成を受け、セルプセンター福岡が実施したものです。福岡県では初の取り組みであり、西鉄グループ、さつき会、綜合キャリアトラストの3社の協力のもと、2024年4月から1年間にわたり実施しました。参画企業6社(以下参照)を対象にし、障がい者向けの業種・業界特性に応じた特徴的な業務の切り出しから、業務マニュアルの作成、支援機関での業務マニュアルを活用した雇用前訓練、ARグラスなどのデジタルテクノロジーを活用した実践的なトレーニング実施、採用から定着支援まで、一連の支援を行いました。さらに、支援事業所と連携し、雇用前の業務適応負担軽減のため、作業マニュアルを活用した事前トレーニングも行い、訓練から就労までスムーズに移行できるような工夫も取り入れています。
西鉄グループの参画企業は、以下の6社:
西鉄エアサービス/業種:空港地上ハンドリング業 他
西鉄観光バス/業種:道路旅客運送業
西鉄運輸/業種:道路貨物運送業
西鉄バス久留米/業種:道路旅客運送業
西鉄エンジニアリング/業種:鉄道関連整備事業・建設業
西鉄ステーションサービス/業種:駅業務の受託 他
本事業の詳細はこちらから:
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000003.000144300.html
●企業概要
特定非営利活動法人 セルプセンター福岡
住所:福岡県大牟田市不知火町2丁目1-5
代表:理事長 叶 義文
会社設立日:2016年4月1日
事業の内容:「就労事業の振興、障がい者の自立に向けた工賃向上を目指す目的で設立させた組織」 官公庁や民間企業から適正な条件による継続的な仕事を受注する共同受注窓口、販売会・オンラインショップによる商品の紹介と販売、事業振興に向けた研修会などに取り組んでいる。
(ご参考)特定非営利活動法人セルプセンター福岡のプレスリリース一覧
🔗https://prtimes.jp/main/html/searchrlp/company_id/144300
●本件に関する一般の方からの問い合わせ先
特定非営利活動法人セルプセンター福岡
Mail:info@selp-fukuoka.com
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