オムロン サイニックエックス、ロボティクス領域のトップカンファレンス「IEEE ICRA 2023」で、4件の論文が採択
オムロン サイニックエックス株式会社(本社:東京都文京区、代表取締役社長:諏訪正樹、以下 OSX)は、ロボティクス領域の主要国際会議2023 IEEE International Conference on Robots and Automation (以下 ICRA 2023)に4件の論文が採択されました。各成果の詳細は、5月29日より英国ロンドンで開催される同国際会議にて発表を行います。
「ICRA」は世界最大かつ最も影響力のあるロボットとオートメーションに関する国際会議の一つです。2023年は3,125件の投稿の中から、43.04%の論文が採択されています。
OSXでは、機械が人の作業をかしこく理解し寄り添うことで人の創造性を高める“人と機械が融和する未来”を目指し、研究を行っております。その中で、人のようにしなやかに動くロボット、複数のロボットが協調し合いながら自律的に動作できるロボットなどの研究をオムロングループのみだけでなく社外との積極的な共同研究やインターンの採用により行っています。今回のICRA2023では、それらのロボティクス技術分野での研究成果が評価され4件の論文が採択されました。
これらの研究成果は、社会実装に向けて積極的に活用いただくために、わかりやすく技術を解説する記事やGitHubでオープンソースコードとして公開しています。詳細は、それぞれの論文内容のリンクからご確認ください。
今後もOSXでは、大学や社外研究機関との連携を通じた技術革新による価値創出に取り組んでいきます。
<採択された論文内容>※発表日時はいずれも現地時間です
Learning Food Picking without Food: Fracture Anticipation by Breaking Reusable Fragile Objects
著者 | Rinto Yagawa(Keio University), Reina Ishikawa(Keio University), Masashi Hamaya(OSX), Kazutoshi Tanaka(OSX), Atsushi Hashimoto(OSX), Hideo Saito(Keio University) |
発表日時 | 5/30 8:30-10:10 |
概要 | 豆腐のように壊れやすい食材を把持することは人間にとっては簡単ですが、ロボットにとっては依然として挑戦的な課題です。我々は過去の研究で、触覚センサを搭載したロボットが食材を破壊する経験を基に、どの程度の力で食材の破壊が生じるかを予測するモデルを学習し、食材を壊さずに把持する方法を提案しました。しかし、学習のために多くの食材を消費する点、予測モデルが特定の食材に特化している点が課題でした。これらに対し、本研究では組み上げたブロックなどを用いた再利用可能な壊れやすい物体での破壊経験を活用し、メタ学習によるドメイン汎化手法を適用することで、実際の食材の破壊経験を収集することなく、未知の壊れやすい食材を把持することが可能な手法を提案しました。 |
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ViewBirdiformer: Learning to recover ground-plane crowd trajectories and ego-motion from a single ego-centric view
著者 | Mai Nishimura(OSX), Shohei Nobuhara(Kyoto University), Ko Nishino(Kyoto University) |
発表日時 | 5/30 15:00-16:40 |
概要 | イベント会場や空港、駅構内など、人が介在する環境においてモバイルロボットなどが自律して移動するには正確な自己位置推定技術が重要です。従来の自己位置推定技術では環境の中の静的な特徴点の追跡が不可欠ですが、歩行者によって特徴点が高頻度に遮蔽される混雑環境下での自己位置推定は未だ困難でした。本研究ではTransformerにおける注意機構を応用し、一人称視点から俯瞰視点への視点変換と群衆の動きモデルをデータから同時に学習し、一人称視点で観測された歩行者の動きのみから俯瞰視点における自己位置(カメラ位置)及び周辺歩行者位置を復元する手法を提案しました。 |
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Twist Snake: Plastic table-top cable-driven robotic arm with all motors located at the base link
著者 | Kazutoshi Tanaka(OSX)、Masashi Hamaya(OSX) |
発表日時 | 5/31 15:00-16:40 |
概要 | ロボットアームを軽量化することができれば、より安全なロボットを実現することができます。その実現手段として、ワイヤ駆動型のロボットアームが提案されています。ワイヤを駆動する全てのモータをロボットアームから離れたベースに配置し樹脂製の構造材を利用することで、ロボットアームの重量をさらに軽量化できますが、力の伝達に必要な部品が増え、樹脂製の構造部品の変形によるワイヤの脱輪が増えてしまいます。そこで、本研究はワイヤに予備張力を加え、アームを固定する小型の機構を開発しました。さらに、ワイヤの走行経路を作るプーリを減らし、たるんだワイヤの脱輪を防ぐカバー部品を使うことで、ベースに全てのモータを配置した樹脂製の軽量なワイヤ駆動卓上ロボットアームを実現しました。 |
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Risk-aware Path Planning via Probabilistic Fusion of Traversability Prediction for Planetary Rovers on Heterogeneous Terrains
著者 | Masafumi Endo(Keio University, 2022/6~2023/3までOSXインターン), Tatsunori Taniai(OSX), Ryo Yonetani(CyberAgent, Inc., 執筆時OSX), Genya Ishigami(Keio University) |
発表日時 | 6/1 15:00-16:40 |
概要 | 地質や地形が場所によって変化するような複雑なオフロード環境を、自律移動ロボットが安全に走行するために、機械学習による走行可能性の予測に基づいた経路計画が提案されています。しかし、機械学習による予測誤差が大きくなると、車輪のスリップ等により走行不能状態に陥る危険性があります。そこで、本研究では、このような誤判定を明示的に考慮した新しい経路計画アルゴリズムを提案します。鍵となるアイデアは、「地質・地形の種類」を識別できる機械学習モデルと、それらの種類に応じて自律移動ロボットの移動におけるリスクを推定する機械学習モデルを、単一の分布に確率的に融合させたことです。これにより、地質や地形を考慮したマルチモーダルな走行リスク分布が得られ、さらに、誤判定のリスクについて統計的評価を適用することで、より安全な経路計画を実現しました。 |
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オムロン サイニックエックス株式会社について
オムロン サイニックエックス株式会社は、オムロンの考える"近未来デザイン"を創出する戦略拠点です。「AI」「ロボティクス」「IoT」「センシング」など、幅広い領域の最先端技術のトップ人財が研究員として在籍し、社会的課題を解決するために、技術革新をベースに「ビジネスモデル」「技術戦略」「知財戦略」を統合し具体的な事業アーキテクチャに落とし込んだ"近未来デザイン"を創り出します。また、大学や社外研究機関との共同研究を通じて「近未来デザイン」の創出を加速していきます。詳細については、https://www.omron.com/sinicx/ をご参照ください。
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