創業100周年を迎えた、国光施設工業が参画する「Project YAOKI」日本の民間プロジェクトによる初の月面着陸&月面撮影に成功！

国光施設工業は、チャレンジ精神を忘れず、宇宙開発時代が本格的に到来する次の100年を見据え、電気のプロとして本プロジェクトに引き続き積極的な支援へ

国光施設工業株式会社

2025年3月10日 10時00分

SpaceXのロケットFalcon 9により打ち上げ

　国光施設工業株式会社（以下、国光施設工業）が参画する、株式会社ダイモン(以下、ダイモン)の月面探査計画「Project YAOKI 1（PY-1）」。YAOKIは、2025年2月27日(木)9時16分、SpaceX(スペースエックス)社のロケット「Falcon 9(ファルコン9)」によって、フロリダ州のNASAケネディ宇宙センターから打ち上げられました。

　打ち上げは無事成功し、月面着陸までの１週間の行程に入りました。そして、月面探査車YAOKIを搭載した月面着陸船の月への着陸は日本時間3月7日（金）、アメリカの民間企業Intuitive Machines (インテュイティブ・マシンズ)社の「Nova-C」クラスの着陸機「Athena(アテナ)」に運ばれ月に軟着陸しました。着陸地点は、水の存在が期待される月の南極点「モンス・ムートン」となります。

＜Nova-C月に接近時の写真 Credit Intuitive Machines＞

＜YAOKI着陸地点　月の南極点「モンス・ムートン」Credit Intuitive Machines＞

　「Athena(アテナ)」は着陸時に傾いての軟着陸状態であったため、3月12日に予定していたYAOKIの探査は急遽スケジュールを変更し、着陸同日の日本時間3月７日午前中にYAOKIは月面の撮影やデータ取得を実施しました。各種観測データと共に、YAOKIが撮影した写真データの受信にも成功し、これにより、日本の民間企業として初めて月面に到達し稼働した月面探査車となりました。

<軟着陸状態であるが月面に到達したAthenaが撮影した月面写真（奥に地球）Credit Intuitive Machines>

＜YAOKIのカメラの位置。ダイモン社YAOKIから写真はここから撮影　Credit Intuitive Machines＞

　電力供給の制限や、温度の低温化など、時間が経つほど環境が悪化する状況下で、月面での写真撮影・データ送信に成功し、着陸船から月面に解放されるに至らずも、YAOKIが月面で予定していた所定の動作が正常に作動することを確認でき、今後の開発に向け大きな技術的マイルストーンを達成したと考えられます。

YAOKIのミッション結果と成果

　YAOKIの運用は3月7日午前2時17分51秒 (UTC) に開始され、最後のコマンド送信は4時32分30秒 (UTC)に行われました。困難な状況下にありながらも、2時間以上にわたり貴重なデータを送信することに成功し、最終コマンド送信時点でYAOKIのバッテリー残量は4時間以上あることをオペレーションシステムにより確認しました。

・デプロイヤー（※１）からの分離は、着陸船からの電力供給ができず実施不可。

・写真撮影は成功し、リアルタイムで確認に成功。

・デプロイヤー内部で車輪の回転を実施。分離されていれば月面走行可能と推定。

・打上げから探査までの全工程で、YAOKIの温度を示すテレメトリーなどを正常に取得。重心データを

　確認。

・YAOKIは、ミッション全体を通じて最も活動的ペイロードの一つだった。

・YAOKI本体は、全機能が正常に動作することを確認。

・予定していた全機能の動作を地上からオペレーションすることに成功。

（※１）　デプロイヤー＝YAOKIを輸送時に格納しているケース

「Project YAOKI 1」（PY-1）について

　本プロジェクトは、NASAの月面開発プロジェクト「アルテミス計画」の一環として行われる「商業月貨物輸送サービス（CLPS）」（※2）プログラムのもと、月の南極地域に送り込まれるペイロードの1つです。

　日本の民間企業として参画し、民間初の月面探査を実施するものとなります。「PY-1」はダイモンが開発する月面探査車「YAOKI」の初めての月面ミッションです。YAOKIは超小型・超軽量・高強度を兼ね備えた月面探査車で、低コストでの月面探査を可能にし、民間プロジェクトとして初の月面着陸を実現。本ミッションは、地球からのリモート操縦による月面走行および画像データ取得の技術実証を行うことが目的です。YAOKIは、月面の写真画像を撮影し、それらの地球への送信に成功しました。今後、YAOKIは今回のPY-1に続いて順次打ち上げられ、最終的に100機による月の探査を目指し、将来的には月面基地建設や有人活動を支援するプラットフォームとしての役割も想定しています。

(※2)　CLPS＝ Commercial Lunar Payload Servicesの略で、NASAが民間企業へ委託する商業月貨物輸送サービス。

「Project YAOKI」の一員としてプロジェクトに参画

　国光施設工業は、2021年３月にダイモンと技術パートナー契約の締結をし、「Project YAOKI」の一員としてプロジェクトに参画するともに、同社の株主でもあります。

　Project YAOKIパートナー企業として、国光施設工業に加え、株式会社UCHIDA、株式会社緑舞、株式会社桂川精螺製作所、パンチ工業株式会社、株式会社中央エンジニアリング、東京海上日動火災保険株式会社、株式会社ピクシーズ、4th.ai（スマートインプリメント株式会社）、三菱ケミカル株式会社、株式会社ユニスト・ホールディングス、株式会社JAOPSが参画しています。

＜実際に搭載されたYAOKIが収納されたボックスと各社パートナー企業のロゴ Credit Dymon＞

ミッションを終えた「Project YAOKI 1」（PY-1）各社パートナー企業のロゴは永久に月面に残ります。

創業100周年を迎え、チャレンジ精神を忘れない国光施設工業

　今後、YAOKIは今回のPY-1に続いて順次打ち上げられ、最終的に100機による月の探査を目指しています。今回のPY-1では、その動力は内蔵電池で実施され、活動時間は約最大2.5時間と限られた時間となりましたが、今後のプロジェクトでは、充電・給電などの機能も搭載予定。創業100年を迎えた国光施設工業は、宇宙開発時代が本格的に到来する次の100年を見据え、電気のプロとして本プロジェクトに引き続き積極的な支援をして参りたいと考えております。