静岡県伊東市に37年ぶりに映画館が開館。まちの映画館をコンセプトにした常設の16席のミニシアターで新作と旧作の作品を2024年9月14日から上映。
〜映画制作の現場で活躍する映画美学校の卒業生が映画館づくりに参加〜
静岡県伊東市吉田 573-1に2024年9月14日(土)、常設のミニシアター「金星(きんぼし)シネマ」がオープンします。JR伊東駅から車で15分ほどの生活施設が集中する街並みの一画に、140インチスクリーンと16席の客席を備え、新作と旧作を1日3〜4作品上映します。元は地域の人たちが通う眼科と耳鼻咽喉科であった建物を活かしカフェを併設、地元農家の野菜直売など、普段の暮らしの延長線上にある〝まちの映画館〟を目指します。
〝映画館のない〟伊東の地に 37 年ぶりに誕生する映画館*
伊東市は「キネマ通り」という駅前アーケード街の名称が残るように、かつては数多くの映画館が存在した映画のまちでした。映画やドラマなどのロケ地としても名高く、ロケ誘致は観光と並んで市が取り組む重要な施策のひとつです。しかし、市内には映画館がなく、映画を観るためには小田原や三島、沼津など、電車や車で1時間以上かけて移動しなければなりません。金星シネマは伊東駅から車で15分程の市民生活の中心の地にある〝伊東のまち〟の映画館です。
*伊東市史編さん委員会『図説 伊東の歴史』伊東市教育委員会、2009 年、p.190
〝まちの映画館〟というコンセプト
だれもがスマホや自宅のモニターで映画を楽しむことができる時代に、映画館で映画を観ることは〝特別〟なことのようになりました。でも、だからこそ〝ふだん〟の映画館があっても良いのではないか、そんな思いが金星シネマにはあります。一つだけのスクリーンに4つの上映プログラム。座席数も16席足らずですが、近所の家にお邪魔するように入り口で靴を脱いでスリッパに履き替えれば、そこには映画を観る前の待合室があったり、観た後の余韻に浸れるカフェがあったり、近くの農家さんから仕入れた野菜の直売所があったりします。オリジナルの映画ノートも用意して待合室の学習机で映画を観た後に感想を記入したり、預けたりすることもできます。映画を観るだけでなく、観る前と観た後も大切にしたい。金星シネマはそんな〝まち〟の映画館でありたいと思います。
手作りのみんなの映画館
「よそ者」「わか者」「ばか者」の思いつきが具体となった金星シネ マですが、そこには潤沢な予算などはなく25歳という若さと熱意があるだけです。映画館というビジネスモデルではなく、映画館という場をつくろう...、そうした思いに映画美学校時代に30〜40作の自主映画づくりの苦楽を共にした仲間が手を差し伸べてくれました。東京から仕事の合間を縫って総勢10人程の合宿生活がスタート。みんなで話し合い、みんなで考え、みんなで取り組む、1から10まで手作りの、映画制作とは違う〝現場〟から1本の映画作品をつくるように、1つの映画館が誕生しました。
館長メッセージ
ダラけた性格でなるべく働きたくない思考の私が映画館を開業するなんて、周りの人にも驚かれますが自分が一番びっくりしています。東京で過ごした学生時代、学校に行かずシネコンやミニシアター、名画座に通い詰めていた私ですが、シネコンのゆったりした椅子と大きなスクリーンでポップコーンを抱えながら観る映画が大好きだったので、ミニシアターは窮屈に感じてしまいあまり好きではありませんでした。
映画館を作ろうと思い立ったものの、とにかくお金は無いのでミニシアター、いやミニミニシアターしか作れない。ならミニシアター嫌いの自分が「ここなら通いたい」と思えるような映画館を作ろうと思いました。席数はもっと多くすることも できましたが、席と席との間を少し空けて16席。椅子も長時間座っても疲れないものを選びました。待合室やカフェもゆったりと過ごせるよう、家具や配置などお金がないなりにこだわりました。
私自身も学生時代から書いていた映画ノートの販売もこだわりのひとつです。元病院の建物というのをヒントに、カルテのように映画館にノートを預けられます。映画鑑賞料金は今はほとんどの映画館で一般1,900円から2,000円ですが、金星シネマではいつでも気軽に、ふだんの映画館としてご利用いただけるよう一般1,500円という料金設定にしています。
映画館の工事を全て自分たちの手でやると決めたのは、お金が無いがゆえの仕方の無い選択だった訳ですが、思っていた何倍も大変で、よくこんなことをやろうと思ったなあと、甘々な素人考えだった数ヶ月前の自分を叱ってやりたいです。東京から伊東まで来て、狭い私の家でぎゅうぎゅうになりながら寝泊まりして工事を手伝ってくれた映画美学校の元同期生のみんなには本当に感謝しかないです。
もうこんな大変なことは一生やりたくないです。ただ、自分で言うのもお恥ずかしいですが始めるまでは大変だなあ、やだなあくらいにしか思っていなかった映画館の手作りが、工事が進んでいくにつれて「手作りの映画館ってあまり聞いたことがないよな」、「これは結構凄いことをしているのではないか」と、少しワクワクした気持ちとともに映画館にとても愛着が湧いてきました。全部ド素人の手作りなので壁紙はよく見ると破けているところがあるし、ペンキもはみ出してるし、映画館の壁は所々シワシワだったりします。ご愛嬌ということで笑っていただけると幸いです。
学生時代に映画館でたくさんの映画を見た体験は私にとってかけがえのないもので、自分を救ってくれたし、今の私を形成しているものだと思います。今はサブスクで映画が簡単に見られますが、やはり映画館で見る映画はいいものだと思います。家を出て映画館に行くまでも、映画を見終わって入るご飯屋さんも、家に帰るまでも含めて、映画館で映画を見るという体験を楽しんでいただきたいです。
金星シネマで映画を見て、嫌なことをほんの少し忘れられたり、明日からも頑張ろうと思えたり、何よりも映画が好きになってくれる方が一人でも増えたら嬉しいです。
上映スケジュール
新作と旧作を織り交ぜて1日3〜4作品を2〜3週毎のプログラムで上映します。
2024年9月14日(土)〜9月29日(日)
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『湯を沸かすほどの熱い愛』監督:中野量太
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『ありふれた教室』 監督:イルケル・チャタク
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『パターソン』監督:ジム・ジャームッシュ
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『幸せなひとりぼっち』監督:ハンネス・ホルム
2024年10月2日(水)〜10月20日(日)
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『ある一生』監督:ハンス・シュタインビッヒラー
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『ぶあいそうな手紙』 監督:アナ・ルイーザ・アゼヴェード
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『アバウト・レイ 16歳の決断』 監督:ゲイビー・デラル
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『新聞記者』監督:藤井道人
金星シネマについて
代表・館長:梅澤舞佳 1999年東京生まれ。
※法人化に向けて準備中
映画館名:金星シネマ(きんぼししねま)
座席数:16席
上映設備:140インチスクリーン
所在地:静岡県伊東市吉田 573-1
開業スケジュール:2024年9月14日(土)
ホームページ:https://kinboshicinema.com/
インスタグラム:https://www.instagram.com/kinboshi_cinema/
お問い合せ
電話:0557-28-0479
HP最下部のフォームからもお問い合わせいただけます。
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